ガイドコメント
ユーミン初期のベスト。アンニュイなボサ・ノヴァ風名曲「あの日にかえりたい」を筆頭に彼女ならではの的確な描写と絶妙なメロディとコード進行に酔いしれたい。本当に天才です。
収録曲
01あの日にかえりたい
1976年に発表したシングルで、初のチャート1位を獲得した記念すべき楽曲。ボサ・ノヴァのリズムが印象的で、イントロの有名な「〜ダバダバ」はユーミン曲の良き理解者、ハイファイ・セットの山本潤子によるもの。
02少しだけ片思い
03やさしさに包まれたなら
1974年発表、不朽の名盤『ミスリム』に収録されたナンバー。アニメ映画『魔女の宅急便』のテーマ曲として89年にリヴァイヴァル・ヒットとなった。当時シングルで出たヴァージョンは微妙に演奏内容が違う。
04魔法の鏡
シングル「やさしさに包まれたなら」のカップリング曲のアルバム・ヴァージョン。ユーミンにしては比較的珍しいキャッチーな王道的歌謡ナンバーで、後に早乙女愛や中森明菜などがカヴァーしたことでも知られる。
05ルージュの伝言
1975年リリースの、泣く子も踊り出す歴史的名盤『COBALT HOUR』に収録された曲で、米国ポップス黄金期のブリルビル系オールディーズへのオマージュというべき楽しい一曲。コーラス・アレンジは山下達郎。
0612月の雨
軽快なポップス調の失恋ソング。別れた恋人をいまだに身近に感じながらも、時が経てば傷も癒えるだろうと理解しはじめる。そんな微妙な時期の心情がテーマ。シュガー・ベイブの爽やかなコーラスが前向きな印象を与えている。
07瞳を閉じて
海に囲まれた地元の島と、そこを離れて暮らす友人への愛情を綴った歌。長崎県・奈留島の高校生の依頼でユーミンが作り、後にNHKが紹介したことでも知られる。鮮やかなバック・コーラスはシュガー・ベイブが担当。
08きっと言える
2ndシングルとなったストレートなラブ・ソング。好きという気持ちをそのまま綴った単純明快な歌詞と巧みなコード進行が特徴的。2番以降のサビ・フレーズで披露するファルセットがかった歌声が、実にメルヘンチック。
09ベルベット・イースター
シンプルだが独特の味わいを持つ名ナンバー。曲調もユーミンの歌も雨の降る日曜の物憂気な雰囲気に満ちているが、歌詞では「いちばん好きな季節」と綴る。Aメロにわずかながら四畳半フォークの匂いがするのも特徴的。
10翳りゆく部屋
オリジナル・アルバムには収録されなかった荒井由実の傑作。荘厳なパイプ・オルガンの音色に乗せて歌われる少女の内省的世界が儚くも美しい。「私が今死んでも〜」のフレーズはかなり強烈だ。