ミニ・レビュー
ボストン出身ながら、イギリスの音楽ジャーナリズムから圧倒的な支持を受けているピクシーズ。ノイジーなギターを基調とした演奏は決して聴きやすくはないが、たしかに“ワン&オンリー”の魅力はある。前作に比べると、ポップ風味も増した。
ガイドコメント
この機会にピクシーズを聴こうかな、と思ったらまずこれから聴け、というべき超名盤の再発。疾走する轟音ギターと甲高いヴォーカル、真直ぐに見せかけて捻くれまくっている彼らの出世作。3枚目。
収録曲
01DEBASER
02TAME
ベースのイントロで静かに始まる序盤部で感情を溜め、“Tame”の箇所で一気に爆発させるアグレッシヴなナンバー。静と動のコントラストを極端につけたダイナミックなサウンドだ。ギター・リフはジミ・ヘンドリックス直系。
03WAVE OF MUTILATION
日本のナンバーガールもカヴァーした美しく躍動感のあるナンバー。歌詞には自動車での入水自殺が描かれるが、サーフ・ミュージック好きのフランシスは、そこで主人公を死なせることなく、奇妙な波乗り劇へと発展させている。
04I BLEED
05HERE COMES YOUR MAN
フランシスが15歳の時に作ったポップ・ナンバー。本人はR.E.M.の影響を吐露しているが、ほんわかとしたメロディやギター・リフは、古き良き60年代ポップスを思わせもする。彼らの音楽の多様性を象徴したような一曲だ。
06DEAD
07MONKEY GONE TO HEAVEN
解釈の難しいシュールで抽象的な歌詞が、美しく躍動的なメロディ/サウンドと合致。わからないことをわからないこととして享受してこそ初めて堪能できる名曲だ。彼らにしては珍しくストリングスが使われた曲でもある。
08MR.GRIEVES
09CRACKITY JONES
10LA LA LOVE YOU
11NO.13 BABY
12THERE GOES MY GUN
13HEY
14SILVER
15GOUGE AYAY
ロックの古典的エッセンスが主成分の曲調ながら、殺伐としてざらざらとした空気は、ピクシーズならでは。歌詞は、旧約聖書におけるサムソンとデリアの物語が下敷きだが、そこにマリファナを絡める屈折ぶりはさすが。