ガイドコメント
紙ジャケ・シリーズにクイーンのライヴが初登場。79年春のヨーロッパ・ツアーから収録した本作には、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」以下ヒット曲が目白押しだ。2001年のマスターを使用。
収録曲
[Disc 1]
01ウィ・ウィル・ロック・ユー
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。雷鳴から始まるライヴ定番曲は通常よりも速いテンポで最初から最後まで一気に駆け抜ける。フレディは少し歌い難いだろうが、ライヴならではのバンドの勢いがダイレクトに楽しめる。
02レット・ミー・エンターテイン・ユー
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。当時の最新作『ジャズ』からの選曲で、ハード・ロック仕様のサウンドとバンドの基本姿勢を伝える歌詞はライヴ向き。俺たちはこんな調子で頑張るよ、という挨拶代わりの1曲、といったところか。
03デス・オン・トゥ・レッグス
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』からの選曲だが、悪口雑言罵詈讒謗満載の問題作。フレディのMCも軽くヤバい。不気味なイントロから始まる演奏は見事なものだが、残念ながら途中でフェイド・アウト。
04キラー・クイーン
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。誰もが知っている大ヒット曲だから観客も手拍子で迎える。ライヴ向きの曲ではないが、ほぼ完璧にオリジナル版を再現。もっと聴きたいが、ギター・ソロ終盤で次の曲へとバトンタッチ。
05バイシクル・レース
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。当時の最新作『ジャズ』からの最新ヒット曲。劇的に再構成されているために原曲を知らない人は混乱するかもしれないが、クイーンらしい面白い試みではある。最後は唐突にカット・アウト。
06アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』収録のロジャーの曲。オリジナル以上に迫力のある演奏が楽しめる。ドラムスを叩きながらのロジャーのヴォーカルもいい。収録時間は短いが、ロジャーのファンなら聴いておきたい。
07ゲット・ダウン・メイク・ラヴ
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からの選曲で、フレディ主導の変則的なブルース・ロック。SEが飛び交う間奏が見せ場だが、音だけで楽しむのは難しい。しかし、ライヴで活きるタイプの曲であることも確か。
08マイ・ベスト・フレンド
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』からの選曲で、初期クイーンを代表するキャッチーなポップ・ソング。どちらかといえばライヴ向きの曲ではないだろうが、なにしろヒット曲だから、観客の反応が悪いわけはない。
09ナウ・アイム・ヒア
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『シアー・ハート・アタック』収録のロックンロール。ライヴ向きの曲だから演奏時間も長く、間奏ではフレディvs.観客のコール&レスポンスもあり、終盤ではロジャーの短いドラム・ソロも聴ける。
10ドリーマーズ・ボール
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。当時の最新作『ジャズ』収録のクイーン流ジャズ・ソング。声とギターによる擬似ホーン・セクションも楽しい。彼らが単なるハード・ロック・バンドではないことを改めて証明する1曲。
11ラヴ・オブ・マイ・ライフ
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』収録のオリジナル版ではピアノをバックにフレディが歌っているが、ライヴではブライアンのアコギによる伴奏でフレディと観客が歌う。ラブ・バラードの大合唱がクイーンらしい。
12'39
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』収録のオリジナル版ではブライアンが歌っているが、ここではフレディがリード・ヴォーカルを担当。スキッフル調のアコースティックな演奏と賑やかなコーラスが楽しい。
13炎のロックン・ロール
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『戦慄の王女』からの選曲で、彼らのデビュー曲でもある。ライヴ映えする派手なロックンロールで、間奏前にはロジャーのドラム・ソロも挿入される。これはもう盛り上がらないわけがない。
[Disc 2]
01ドント・ストップ・ミー・ナウ
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『ジャズ』からの選曲で、当時の最新シングル。極上のポップ・ソングだが、ライヴ向きのロックンロールでもあるから、オリジナルにほぼ忠実なアレンジでプレイしても、溜息が出るほどカッコいい。
02永遠の翼
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からのシングル曲。観客が一緒に歌っていることからもわかるように、この曲は良質のポップ・ソング。ライヴでは観客の大合唱を誘う、強力なレパートリーのひとつだ。
03ブライトン・ロック
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『シアー・ハート・アタック』からの選曲。ブライアンの津軽三味線ばりのギター・ワークがバンドを先導する。間奏のドラム・ソロとギター・ソロを経て、クライマックスへと至る劇的な展開も鮮やか。
04ボヘミアン・ラプソディ
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。観客の“ムスタファ”コールに応えてフレディがア・カペラで同曲のサワリを披露した後、彼らの最高傑作の本編が始まる。“ママ・ミア”コーラスはテープだが、ライヴならではの生演奏パートは圧巻。
05タイ・ユア・マザー・ダウン
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『華麗なるレース』収録のクイーン流ブギ。ライヴ向きの曲のひとつだから、ブライアンのギターをはじめバンドの演奏は力強く、フレディのヴォーカルもライヴならではのノリで楽しませてくれる。
06シアー・ハート・アタック
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からのロジャーの曲。最初から最後まで全力疾走で駆け抜けるアップ・テンポのロックンロール。ドラムスを叩きながら激しく歌いまくるロジャーの臨場感あふれるヴォーカルもいい。
07ウィ・ウィル・ロック・ユー
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からのライヴ定番曲。同ライヴ盤収録の超速版とは異なり通常のテンポでの演奏で、観客の大合唱も聴ける。もっと聴きたいと思ったところで「伝説のチャンピオン」へとバトンタッチ。
08伝説のチャンピオン
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からのライヴ定番曲。コンサート・ホール全体をクライマックスへと煽動するパワフルな歌と演奏を披露。観客の大合唱もあり、これ以上はあり得ないくらいの盛り上がりでエンディングへ。
09ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
79年1〜3月のヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音。『オペラ座の夜』からの選曲だが、生演奏ではない。フレディの最後のMC“See you soon”に続いて、クイーン版「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」が流され、今夜のコンサートの終了を観客に告げる。