ミニ・レビュー
『ホット・スペース』を引っさげた全英ツアーより最終日の模様を収録。時期が時期だけに内容が悪ろうはずもなく横綱相撲のパフォーマンスが続く。また、観客の声援や合唱もステージのパワーに勝るとも劣らずで、クイーンの圧倒的人気ぶりを饒舌に物語っている。
ガイドコメント
デビューから10年後の82年6月に英国のミルトンキーンズで行なわれた、絶頂期のライヴ・パフォーマンスが初登場。ファンの熱気と完成された演奏が聴く者の興奮を誘う。DVDも同時発売。
収録曲
[Disc 1]
01FLASH
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。前年に封切られた映画『フラッシュ・ゴードン』のテーマ曲に乗って、クイーンの4人が登場。当時のクイーンの登場テーマ曲としては最もふさわしい曲のひとつ。
02THE HERO
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。「フラッシュのテーマ」でステージに登場したクイーンが生演奏で披露する映画『フラッシュ・ゴードン』の挿入歌。挨拶代わりの一発、というニュアンスの強烈なハード・ロック。
03WE WILL ROCK YOU
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からのライヴ定番曲の快速ヴァージョン。歌いづらいくらい速いテンポでこの曲を極めるのが、クイーンのライヴの定番メニュー。全力疾走の短距離競走の快感。
04ACTION THIS DAY
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。当時の最新作『ホット・スペース』からの選曲。オリジナルはニューウェイヴ仕様のポップ・ソングだが、このライヴ・ヴァージョンではヘヴィなバンド・サウンドでロック化している。
05PLAY THE GAME
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ザ・ゲーム』巻頭を飾るヒット曲。ピアノの弾き語りから始まるフレディらしいバラードだが、ドラマティックな展開はライヴでも映える。フレディの熱唱とコーラスが光る好演。
06STAYING POWER
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。当時の最新作『ホット・スペース』からの選曲。ロジャーのヘヴィなビートに先導されたクイーン流ファンク・サウンドが楽しめる。ホーン・セクションがないからオリジナルよりもずっとクイーン的。
07SOMEBODY TO LOVE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『華麗なるレース』からのヒット曲。フレディのピアノの弾き語りからバンド演奏へと繋がる長尺のライヴ・ヴァージョン。やや速めのテンポでの演奏だが、フレディの熱唱が圧巻。
08NOW I'M HERE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。初期からのライヴ定番曲だが、70年代仕様の長尺版ではなく、速攻で駆け抜ける80'sロックンロール・ヴァージョン。演奏終了後にはフレディvs.観客のコール&レスポンスが聴ける。
09DRAGON ATTACK
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からの選曲。ロジャーのドラム・ソロに先導されたクイーン流ファンク・ロック。ヘヴィなビートに乗って、ブライアンのギター・ソロも披露されるライヴならではの1曲。
10NOW I'M HERE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。「ドラゴン・アタック」とのメドレー形式で披露されたライヴ定番曲。ドラムスの長めのフィルインをフィーチャーした超短縮版で、派手なエンディングのためのリプライズ・ヴァージョン。
11LOVE OF MY LIFE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。ブライアンのアコギによる伴奏でフレディと観客が歌うラブ・バラード。観客に歌わせるための曲だと言ってもいいくらいだが、クイーンのライヴを盛り上げるためには必要不可欠な曲のひとつ。
12SAVE ME
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からの選曲。フレディが朗々と歌い上げるクイーン流ゴスペル・ソング。愛の歌であると同時に祈りの歌でもあり、「僕を救って」と訴えるこの曲がフレディにはよく似合う。
13BACK CHAT
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。当時の最新作『ホット・スペース』からのシングル曲。ブラコン仕様のファンク・ロックだが、ライヴで再現するのは難しいはずのこの曲を、強引に披露するところがクイーンらしい。
[Disc 2]
01GET DOWN MAKE LOVE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からの選曲。フレディ主導の変則的なブルース・ロックだが、間奏のクイーン版「胸いっぱいの愛を」パートはやがてブライアンのソロ・パートへと繋がっていく。
02GUITAR SOLO
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。「ゲット・ダウン・メイク・ラヴ」の間奏から展開されたブライアンのギター・インストゥルメンタル・パート。ディレイを駆使した長尺のギター・ソロはまさにブライアンの独壇場。
03UNDER PRESSURE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。デヴィッド・ボウイとの共作・共演によるヒット曲。ボウイの不在は痛いけれど、フレディの奮闘とロジャーの助演が目立つクイーン・ヴァージョンもやや地味ながらチャーミング。
04FAT BOTTOMED GIRLS
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ジャズ』からのヒット曲。ア・カペラのゴスペル風クワイアから始まるこの曲は下品な歌詞が楽しい。できれば酒でも呑んで大笑いしながら聴きたい狂騒的なサウンドも快感。
05CRAZY LITTLE THING CALLED LOVE
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からのヒット曲。エルヴィスを気取ったフレディのヴォーカルが堪能できるクイーン版ロカビリー・チューン。主夫時代のジョン・レノンを触発したあのサウンドが蘇る。
06BOHEMIAN RHAPSODY
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。これを聴かなきゃ帰れない名曲中の名曲。もちろん「ママ・ミア」コーラスはテープだが、テープから生演奏への切り替えの瞬間のスリルもクイーンのライヴの醍醐味のひとつ。
07TIE YOUR MOTHER DOWN
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『華麗なるレース』からのライヴ定番曲。ライヴでやらないわけにはいかない曲のひとつだから、最初から最後まで全力疾走で駆け抜ける。ブライアンのギター・ソロも熱い。
08ANOTHER ONE BITES THE DUST
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『ザ・ゲーム』からのヒット曲。やや速めのタイトなビートに乗ってフレディがシャウトする。観客とのコール&レスポンスも控えめで、ここではコンパクトにまとまった演奏を披露している。
09SHEER HEART ATTACK
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。『世界に捧ぐ』からの選曲。オリジナルではロジャーが歌っているが、ここではフレディがヴォーカルを務めている。狂騒的な演奏でエンディングまでノンストップで雪崩れ込む。
10WE WILL ROCK YOU
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。クイーンのライヴでは定番のアンコール・メドレーの1曲目。観客の合唱をフィーチャーした短縮ヴァージョンで、観客と共に強力なフックを繰り返し、次の「伝説のチャンピオン」へと繋げる。
11WE ARE THE CHAMPIONS
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。観客も最初からフレディと一緒に歌っている定番のアンコール・ナンバー。これをやらなきゃ終われない曲を律儀に真面目に演奏してくれるところがいかにもクイーンらしい。
12GOD SAVE THE QUEEN
82年6月5日、英国のミルトン・キーンズ・ボウルでのライヴ録音。定番のクロージング・テーマ。クイーンの生演奏ではないものの、そのときのライヴによってフレディのMCと観客の歌声が異なるから、ライヴならではの臨場感もないわけではない。