ガイドコメント
前作『ジャズ』で見せたディスコやR&Bの要素を、クイーン的なサウンドで花咲かせた80年の8作目。初めて使用したシンセサイザーも話題になった、ポップ路線への脱皮を図った1枚。
収録曲
01プレイ・ザ・ゲーム
フレディらしいメロディックなバラードだが、これまで敢えて避けてきたシンセサイザーを初めて導入し、狂騒的なまでにドラマティックなサウンドを構築している。新境地と新機軸をアピールした意欲作『ザ・ゲーム』の巻頭を飾るヒット曲。
02ドラゴン・アタック
ブライアン主導のクイーン流ファンク・ロック。パーカッシヴなサウンドが特徴的で、ドラムのフィル・インもティンバレス風。ギターやベースにもそれぞれの見せ場があり、ライヴでの演奏をイメージしたようなアレンジになっている。
03地獄へ道づれ
04夜の天使
ソングライターとしてのジョンの成熟を感じさせる曲。1980年前後の音楽シーンにはよく似合うハード・ロッキンなポップ・ソング。決して大袈裟にならない抑制されたアレンジだが充分にラウド、というバランス感覚もナイス。
05愛という名の欲望
06ロック・イット
ロジャー主導のラウドなロックンロール。フレディのヴォーカルによるイントロデュースを経て、本編ではロジャーが雄々しく吠える。ロックンロールがヤバいほどよく似合うロジャーのタフなヴォーカルをたっぷりと堪能できる、ファン感涙の1曲。
07ドント・トライ・スイサイド
狂騒的なまでに陽気なポップ・ソングだが、歌詞のモチーフは“自殺”。“Don't try suicide”と歌っているのだから自殺を奨励しているわけではないが、あまりにも陽気すぎる曲と歌詞に潜む狂気の対比が、聴き手を混乱させる。
08スウィート・シスター
実際には妹のいないブライアンが架空の妹に捧げたラブ・ソング。「もしも僕に妹がいたら……」という想像の産物。作者のブライアンが歌うことで心地よいリアリティが生じた例のひとつ。“妹を励ます兄”の歌声は力強くて頼もしい。
09カミング・スーン
大胆にイコライジングされたヴォーカルも含めて、ニューウェイヴ仕様のサウンドが新鮮なロジャーの曲。1980年型のポップ・ソングだが、シンプルだから古びてはいない。80年代のクイーンのスタイルを予告した曲のひとつでもある。
10セイヴ・ミー