ガイドコメント
1stに続いてグリン・ジョンズがプロデュースを務めた73年発表の2nd。ウエスト・コースト・ロックにしては珍しいトータル・アルバムで、実在した強盗団一味を題材にしたコンセプチュアルな楽曲が並ぶ。
収録曲
01DOOLIN-DALTON
90年代初頭のカンザス州で強盗団として名を馳せたダルトン兄弟とビル・ドゥーリンをモチーフにした哀愁のバラード。ヘンリーとフライがヴォーカルをシェアしているが、1stヴァースを歌うヘンリーがやや優勢か。勇ましいコーラスの味わいも見逃せない。
02TWENTY-ONE
21歳で死んだ西部開拓時代の英雄ビリー・ザ・キッドをモチーフにしたと思われるリードンの曲。バンジョーをフィーチャーしたブルーグラス調の演奏をバックに「若くて強い俺様が死にたいなんて思うわけないだろ」という主人公の独白が陽気に歌われる。
03OUT OF CONTROL
フライ、ヘンリー、トミー・ニクソンの共作による狂騒的なロックンロール。アルバム『ならず者』の中では最もハード・ロッキンな曲。女と博打と揉めごとを偏愛する男が羽目を外しまくる歌詞がおかしい。ジタバタと終わりを引き延ばすエンディングもナイス。
04TEQUILA SUNRISE
フライが歌うメロウなバラード。アンプラグドなサウンドが心地よいソフト・ロック仕様の名曲。メキシコのローカルなカクテルの名を一躍有名にした曲として知られているが、当時の全米チャートでは64位と大苦戦。のちに「ならず者」と共に再評価された。
05DESPERADO
06CERTAIN KIND OF FOOL
マイズナーのハイトーン・ヴォイスが炸裂するバラード。最初から最後までハイノートで歌いまくる曲だから、たぶん彼以外のメンバーには歌えない。早撃ちの名手を主人公にした歌詞は、冴えない男がたどった皮肉な運命の物語。哀しいけど、おかしい。
07DOOLIN-DALTON
フライ、ヘンリー、J.D.サウザー、ジャクソン・ブラウンによる共作曲のインストゥルメンタル・ヴァージョン。リードンのバンジョーとフライのアコースティック・ギターをフィーチャーした小品。イーグルスがカントリー・ロック・バンドだったことを思い出させてくれる。
08OUTLAW MAN
ジョニ・ミッチェルの唄にも登場する強面のシンガー・ソングライター、デヴィッド・ブルーの曲をフライのヴォーカルでカヴァー。荒々しいドラミング、唸りまくるベース、ノイジーなエレキ・ギター、そして哀愁のコーラスが、さすらいの無法者の姿を描き出す。
09SATURDAY NIGHT
メンバー全員の共作曲。イーグルスならではの流麗なヴォーカル・ハーモニーをフィーチャーした美しいバラード。アコギの背後で鳴っているマンドリンの響きが泣かせる。「土曜の夜に何が起こったのか?」は最後までわからないが、これはやはり名曲。
10BITTER CREEK
リードンが書いた風変わりなバラード。ラテン系のリズムと複雑なコーラス・ワークをフィーチャーしたもので、大袈裟な息つぎの音が効果的。簡潔だが意味深な歌詞も面白い。多分にドラッギーでもあり、カルロス・カスタネダの『ドンファンの教え』の影響も感じさせる。
11DOOLIN DALTON|DESPERADO
メドレー形式で歌われる二つの名曲のリプライズ・ヴァージョン。全篇が感動的なバラード・メドレーだが、とりわけ終盤の“Is there gonna be anything left?”コーラスからの“Maybe tomorrow”パートが泣かせる。ライヴの最後を飾る定番のメドレーでもあった。