
「SUZUKI白書」(91年)以来、約24年ぶりに発表されたソロ・アルバム。“記録と記憶”というタイトル通り、意識、無意識、思い出、妄想などが混然一体となった歌の世界が広がる。フォークロア、カントリー、ポスト・ロックなどを自在に反映させた、即興性の高いサウンドメイクも素晴らしい。

鈴木慶一の音楽活動45周年を記念した3枚組オールタイム・ベスト。Disc 1は73〜87年の音源、Disc 2は88〜2015年、Disc 3は他アーティストへの提供曲集。このスペースで思いのたけは書き切れないが、細川たかしからソルベッツまで網羅するDisc 3が“慶一イズム”を伝えている。★

76年から30年以上にわたってムーンライダーズで活躍し、2003年に映画『座頭市』の音楽も手掛けたミュージシャンによる、北野 武監督映画サントラ第4弾。闘う老人たちの姿をコミカルに描いたストーリーと、バンドネオンの音色を多用した哀愁漂うメロディが絶妙にマッチする。

森山未來と星野源の声優初挑戦も話題を呼んだアニメ映画のサントラ。ムーンライダーズの鈴木慶一、白井良明が制作を担当、二人の共作による挿入歌「誰もいないね」も含む全50トラックを収録。エレクトロからアンビエントと振り幅広くフォーキーに、麗しき四畳半の薫りも漂う中央線BGMの新定番。

北野武監督作品で『アウトレイジ』の続編となるバイオレンス・エンタテインメントの大作『アウトレイジ ビヨンド』の音楽を担当するのは、ムーンライダースの鈴木慶一。ダークで混沌としていて緊張感のあるサウンドは、この映画の世界観にどっぷりはまっていて、とてもスリリングだ。

『バッテリー』などで知られる作家あさのあつこの近未来SF小説がテレビ・アニメに。そのサウンドトラックは鈴木慶一が手がけ、原作者自ら作詞した3曲以外すべてがインストゥルメンタル。ピアノやストリングスといった生楽器を中心に、スケールの大きな音楽を聴かせてくれる。

良質なアニメが楽しめることで好評のフジテレビ系の“ノイタミナ”枠。そこで放映された『NO.6』のサントラ。原作のあさのあつこが描く近未来の世界を意識し、電子的な音と生音を巧みに操るのはムーンライダーズの鈴木慶一で、色彩感のあるサウンドを丁寧にデザインしている。

73年に放映されたアニメ『ドロロンえん魔くん』のリメイク版の鈴木慶一によるプロデュースのサントラ。メンバー個人が作曲と編曲を行なって独演か数人による録音のインストの小曲がほとんどだが、打ち込み多用を感じさせない人間味滲むポップな音が楽しめる。メンバーも描かれたジャケは永井豪の画。

3作続いた曽我部恵一プロデュースも、今回が最終作。鈴木慶一が自身の来し方を振り返るという枠組みを得たことで、過去2作にはなかった音楽的な振り幅を獲得したよう。日本のポップスの記憶を、実験性をまじえつつ再構築。虚心なヴォーカルも素晴らしい。『火の玉ボーイ』と対を成す傑作。★

2010年最大のヒット作のひとつとなったドラマ『ゲゲゲの女房』。その映画版サントラ。音楽は北野武や今敏の作品などで映画音楽も担当してきた鈴木慶一。ゆったりとのほほんと和やかでエスニックな味付けの音楽が心地よい。「ゲゲゲの女房のうた」でムーンライダーズ(ヴォーカルは小島麻由美)も参加。14曲目以降はデモやアウト・テイク集。

北野武監督、話題のバイオレンス・エンタテインメント・ムービー『アウトレイジ』の音楽を担当するのは、『座頭市』以来となるムーンライダーズの鈴木慶一。ひんやりとした冷たい手触りのデジタル・サウンドを核に、見事に独自の世界観を表現することに成功している別格の音源集。

90年から2007年までに手掛けた映画/ゲーム音楽を自ら集大成した2枚組。作品ごとに多彩な曲想が飛び出して、意外と器用な作曲家なのだと再認識。『座頭市』のラストを飾った「Festivo」の躍動感、ファミコン・ゲーム『MOTHER』の音楽を基にした「POLLYANNA」「FLYING MAN」のポップな美しさが印象的。

鈴木と曽我部恵一の二人だけで録音した前作に対して、今回はツアー・メンバー5人でのレコーディング。その影響もあってか、往年のムーンライダーズが“英国趣味をつきつめていったら”こうだったかも、と思わせるコンセプト作に仕上がっている。上野洋子の参加も好アクセント。

恵一が慶一をプロデュースというだじゃれのようなコラボながら、プロデューサー・曽我部としては、スタジオの迷路にはまりがちな大先達・鈴木の“生(なま)の声”を、損なわずに音盤化する意図があったのでは。元祖グランジーな「煙草路地」の演奏にも、そう思うと納得。

映画『東京ゴッドファーザーズ』のサントラからのアルバム。ベートーヴェンの「第九」をモチーフに、SEが飛び交うマッドなミックスが施された作品。というと思い起こすのはヴァン・ダイク・パークス。しかもこちらは5.1chミックスでマッド度増量の傑作。

映画『うずまき』のサントラは“Butch&K”と、かしぶち哲郎と鈴木慶一が担当。ライダーズ・ファンは要チェック! ラストのDo As InfinityのJ−pop世界とのせめぎあいが聴きどころ。かなり凝った作りのCD−EXTRA付き。

メトロトロンからの慶一氏のソロ・アルバムは、東芝移籍までの空白期間を埋める80年代後期のデモ&ライヴ・マテリアル集。埋めるデモ・トラックにおいては、オフィシャル・テイクより音楽としての切実さにおいて勝る。興味のあるファンなら必聴。

ロンドン、台湾、東京という3都市で制作されたソロ作。オーブやA.ファルコナーによるハウスから、エキゾチックなコーラス、そして従来からのムーンライダース的サウンドが入り乱れて展開されるが、独特の詞の世界が統一感をもたらす。(3)(5)の詞は特に◎。