収録曲
01TILL VICTORY
パゾリーニ監督の映画『奇跡の丘』(1964年)に触発されて書かれた“聖歌”風ロックンロール・チューン。ロック版ジャンヌ・ダルクのように勇敢に「勝利をつかむまで」とパワフルに歌い上げている。ギターを武器だと断言していたパティらしい“開戦”宣言の歌。
02SPACE MONKEY
アイヴァン・クラールとトム・ヴァーレインとの共作曲。トムのアレンジによるキーボードをフィーチャーしたサウンドをバックに「私のスペース・モンキー」についてパティが歌う。ネイティヴ・アメリカン的なフィーリングが楽しい。もちろんお気に入りのUFOも登場する。
03BECAUSE THE NIGHT
ブルース・スプリングスティーンとの共作曲。スプリングスティーンが書いたキャッチーなメロディとパティがフレッド“ソニック”スミスに向けて書いた恋文的歌詞によるパワフルなポップ・ソング。原曲の魅力を生かした編曲も秀逸。全米13位、全英5位のヒットを記録。
04GHOST DANCE
ネイティヴ・アメリカンのリズムを採り入れたアコースティックなバラード。歌詞では輪廻転生について描かれているようだが、タイトルの通り、降霊の儀式のための音楽のようにも感じられる曲。エスニックな楽器の音色や旋律が効果的なスパイスになっている。
05BABELOGUE
ライヴ録音によるポエトリー・リーディング。パティの詩集『バベル』(思潮社)からの抜粋によるもので、アジテーションに近い激烈な語り口のリーディングが披露されている。アルバム『イースター』では「ロックン・ロール・ニガー」とのメドレー形式で収録。
06ROCK N ROLL NIGGER
アルバム『イースター』では「ベイブローグ」とのメドレーで収録されたアップ・テンポのブギ。ジミ・ヘン、キリスト、ジャクソン・ポロックら、既成の社会から疎外されたアウトローの表現者たちをパティは“ニガー”と呼んでいる。レニー・ケイのヴォーカルも聴ける。
07PRIVILEGE (SET ME FREE)
マンフレッド・マンのヴォーカリスト、ポール・ジョーンズ主演の映画『傷だらけのアイドル』(1967年)の主題歌をカヴァー。詩篇23を挿入した独自のアレンジによるもので、原曲のキリスト的な受難のイメージをより強調している。英国ではシングル化(全英72位)。
08WE THREE
R&B調のメランコリックなロッカ・バラード。ピアノをフィーチャーしたバンド・サウンドをバックに、ひとりの少女と2人の兄弟による奇妙な三角関係の恋愛模様が歌われている。パティとアラン・レイニアとトム・ヴァーラインの関係をモデルにした、という噂もあった。
0925TH FLOOR
ヘメヴィメタル調のギター・リフが先導するロック・チューン。性的な暗喩、デトロイトの街を見下ろすビルの25階、ロック、環境汚染、神などについてパティは歌い、さらにポエトリー・リーディングも披露する。アルバムでは「ハイ・オン・リベリオン」とのメドレーで収録。
10HIGH ON REBELLION
アルバムでは「25階」とのメドレー形式で収録。クライマックスへと進行する演奏はより激しさを増し、パティはロックンロールとエレクトリック・ギターについての即興的なポエトリー・リーディングを披露する。詩の一部は詩集『バベル』(思潮社)にも収録されている。
11EASTER
自身とフレッド・スミスをモデルに書かれたパティ流ゴスペル・ソング。オルガン、バグパイプ、チャイムをフィーチャーしたスピリチュアルなサウンドをバックに、詩人ランボーと兄フレデリック、妹イザベルが登場する昇天と復活のストーリーが歌われている。
12GODSPEED
アイヴァン・クラールとの共作曲。シングル「ビコーズ・ザ・ナイト」のB面に収録されていた。ピアノとアコギをフィーチャーした演奏をバックに、ポエトリー・リーディングに近いヴォーカルを披露。歌詞のキーワードは海、河、罪、吸血鬼、レザー、アドレナリンなど。