収録曲
01GLORIA
ゼムの、というよりもヴァン・モリスンの名曲のカヴァー。有名なキリストについての一節から始まるポエトリー・リーディングとロックンロールとの合体によるパティらしいパフォーマンス。詩の朗読からキャリアをスタートさせた彼女のスタイルの原型がここにある。
02REDONDO BEACH
ポップな擬似レゲエ・ビートをバックに、海で溺死した女の子について歌う。レズビアンのカップルが喧嘩をして、片方の女の子が入水自殺、という歌詞が軽快なビートに乗って歌われる。カリプソとドゥー・ワップを足してパンクで割ったような、おかしな曲。
03BIRDLAND
パティの即興的なポエトリー・リーディングの才能が発揮された9分を超える意欲作。異端の心理学者ヴィルヘルム・ライヒの葬儀の様子が歌われ、父の死を受け容れられない息子の妄想が暴走し、UFOが登場する。ピアノとギターの即興的な演奏も秀逸。
04FREE MONEY
リリカルなピアノから始まり、徐々にテンポを上げていく豪快なロックンロール・チューン。「金があったら、あんたに何でも買ってあげる」という景気のよい歌詞をパティがシャウトする。レニー・ケイのギター・ワークも光る。初期のライヴでは最も盛り上がる曲だった。
05KIMBERLY
1960年代ポップのスタイルを踏襲したポップ・ソング。私生児を産んだ自身の経験も織り込んだこの歌で、パティは13歳年下の妹キンバリーの母親役を演じている。焼けた納屋のエピソードもファンには有名。最初期のレパートリーの中では最もキャッチーな1曲。
06BREAK IT UP
テレヴィジョンのトム・ヴァーレインとの共作・共演曲。ジム・モリスンについてのパティの夢想とアーティストとしての彼女の覚醒の瞬間を合体させた劇的な歌詞が秀逸。2ndヴァースでの胸を叩きながらのヴォーカルも効果的。トムのリード・ギターも素晴らしい。
07LAND
1stアルバム『ホーセス』のタイトル曲を含むパティ・スミス流のミニ組曲。同性愛のレイプ、馬たち、ナイフ、アルチュール・ランボー、「ダンス天国」、バベルの塔など、様々なイメージが多分に即興的に歌われている。ロック詩人パティが生んだ初期の傑作。
08ELEGIE
ブルー・オイスター・カルトのアラン・レイニアとの共作・共演によるバラード。ピアノ、ベース、ギターによるメランコリックなサウンドをバックに歌われる美しい哀歌。パティの歌声がとてもセクシーに響く。彼女が愛したヒーローやヒロインのための鎮魂曲のようだ。
09MY GENERATION
1976年1月26日、クリーヴランド公演でのライヴ録音。ザ・フーの1965年のヒット曲をカヴァー。ジョン・ケイルが本家ジョン・エントウィッスルばりのリード・ベースを披露している。パティの“若者宣言”の絶叫をフィーチャーしたノイジーなエンディングも素晴らしい。