ガイドコメント
10年ぶりのツアーで感涙の洪水を巻き起こしている、生けるアメリカの作品を一挙7W、お値打ち価格のデジタル・リマスターで再発売! 初回分のみ紙ジャケ予定で、新装アート・ワークで登場。
収録曲
01NEBRASKA
19歳の殺人鬼チャーリー・スタークウェザーをモデルにしたバラード。アコギとマウスハープをバックに、連続殺人犯の死刑囚になりきったようなスプリングスティーンが「後悔はしていない」と淡々と歌う。どんな人生にも教訓はある、と改めて思い知らせる1曲。
02ATLANTIC CITY
絶望の果てに犯罪に走った男の歌。職を失い、運にも見放された男が犯罪に走り、そこで得た金を抱えて、ギャンブルの街アトランティク・シティへと向かう。アコギの弾き語りで歌われる「すべてのものは死ぬが/いつか帰って来る」というフックの歌詞が印象的。
03MANSION ON THE HILL
ニュージャージーでの少年時代のエピソードから生まれた曲。アコギの弾き語りで歌われる抒情的なバラード。地元の子供たちにとって「丘の上の大きな家」は別世界の象徴だった。“階級意識”以前の子供らしい憧憬の念が、この曲を魅力的なものにしている。
04JOHNNY 99
裏声のスキャットから始まる曲。アコギとマウスハープの躍動感は極めてロックンロール的。懲役98年+1年の殺人犯ジョニー99は「俺みたいな男は死んだほうがいい」と言う。「頭の中で考えていることに対して死刑を宣告できるなら」という歌詞の一節が秀逸。
05HIGHWAY PATROLMAN
ベトナム帰還兵の弟と警察官の兄の物語を歌ったバラード。物語の展開を予告するようなフックの歌詞が素晴らしい。暴れ者の弟と真面目な兄だが、家族思いの兄には弟を逮捕することはできない。米国のファンの間では最も愛されている曲のひとつ。
06STATE TROOPER
無免許運転で捕まった男を歌ったオリジナル・ブルース。不安感を煽るストロークをバックにブルージィなヴォーカルを聴かせる。「俺の人生は苦しみばかりだから見逃してください」と警察官に懇願する歌詞も極めてブルージィ。掛け声や叫び声も効果的。
07USED CARS
少年時代のエピソードを描いた自伝的な曲。家族そろって中古車を買いに行き、「新品の中古車」に乗って家に帰ると近所の人たちが集まってくる。まだブルースが子供だった頃のスプリングスティーン家の慎ましい暮らしぶりを想像させる牧歌的なバラード。
08OPEN ALL NIGHT
エレクトリック・ギターの弾き語りによるロックンロール・チューン。真夜中に改造車を飛ばして恋人が住む町へと向かう勤労青年の独白が歌われる。地元ニュージャージーを舞台にした自伝的な曲のひとつ。ラジオのDJに語りかける終盤の歌詞の一節も良い。
09MY FATHER'S HOUSE
父親との関わりを歌った自伝的なバラード。子供の頃の自分が家に帰る夢を見て、久しぶりに父の家を訪れたら、見知らぬ人が住んでいた、という展開が泣かせる。だが、最後の悪夢のごときヴァースの“this dark highway”の一節はホラー映画よりも怖い。
10REASON TO BELIEVE
死んだ犬を棒でつつく男、逃げた恋人を道端で待ち続ける女、洗礼を施された赤ん坊と孤独に死んだ老人など、4つのエピソードが歌われる。「辛い一日の終わりに人はまだ信じる理由を見出そうとしている」という歌詞の一節は重いが、それは唯一の希望でもある。