ガイドコメント
1973年にリリースされた衝撃のデビュー・アルバム。疾走するギターとヴォーカル、躍動感あふれる重厚なコーラスとメロディ。ドラマティックなクイーン・サウンドの原点がここに。
収録曲
01炎のロックン・ロール
1stシングルでもあった1stアルバムの1曲目。華麗なギター・オーケストレーションから鋭角的なコーラスまで、彼らの個性を強調する編曲を施した劇的なロックンロール。この曲を聴いただけでも彼らが単なるハード・ロック・バンドではないことは明らか。
02ドゥーイング・オール・ライト
フレディの繊細な歌声をフィーチャーした曲。抒情的なヴォーカル・パートと狂騒的なロックンロール・サウンドとの対比が鮮やか。その後のクイーンを予感させる曲でもあり、フレディの曲のようにも思えるが、実はスマイル時代にブライアンが書いた曲。
03グレイト・キング・ラット
初期クイーンならではの劇的なロックンロール。芝居がかったフレディのヴォーカルとノイジーなギター・サウンドが“偉大なる王ラット”について饒舌に語りまくる。エレクトリック・サウンドの迫力をより強調してみせるアコギの使い方も効果的。
04マイ・フェアリー・キング
フレディのドラマティックなヴォーカルと華麗なコーラス・ワークをフィーチャーした曲。ブライアンの流麗なギター・オーケストレーションも美しい。その後のクイーンを予感させる劇的なアレンジも見事。ピアノが効果的に使われている。
05ライアー
初期クイーンらしい劇的なハード・ロック。抒情と激情を巧みに使い分けるフレディの歌声に絡む鋭角的な“Liar”コーラスが特徴的。並のバンドなら力わざで押し切ってしまうところだろうが、全体の構成はよく練られたもので、細部の工夫も彼ららしい。
06ザ・ナイト・カムズ・ダウン
アコギを効果的に駆使した美しいバラード。キャッチーなメロディはビートルズ(特にポール)を連想させる。ヴォーカル・パートではストリングスの役割も務め、終盤のインストゥルメンタル・パートでは主役を演じるギター・オーケストレーションも見事。
07モダン・タイムス・ロックン・ロール
ロジャーのヴォーカルをフィーチャーした問答無用のロックンロール。最初から最後まで小細工抜きで一気に突っ走ってしまうところがいかにもロジャーらしい。本職はドラマーだが、ロック・シンガーとしての実力も余技のレベルではなく本格的。
08サン・アンド・ドーター
華麗なヴォーカル・ハーモニーを効果的に駆使したクイーン流ブルース・ロック。ブライアンの曲だが、“I want you/To be a woman”という一節はフレディが歌うと意味深長。あまり派手な曲ではないが、初期クイーンならではの歌と演奏が楽しめる。
09ジーザス
タイトルの通り、イエス・キリストについての歌。変則的なリズム・パターンとフレディの芝居がかったヴォーカルが楽しいクイーン流ワルツ。ロック・ミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』の挿入歌のような、ドラマティックなタッチが彼ららしい。
10輝ける7つの海 (インストゥルメンタル)