ガイドコメント
通算8作目にして初のライヴ・アルバム。ヒット作『ストレンジャー』以前の初期4作品から選曲されており、ビリーが最も愛し、そっと胸にしまいこんでいた珠玉の名曲たちがステージで蘇る。
収録曲
01マイアミ2017
80年6月、マジソン・スクエア・ガーデンでのライヴ録音。『ニューヨーク物語』収録の近未来SF仕様のポップ・ソング。ニューヨークが壊滅した未来を歌ったビリーの歌声は、スタジオ録音版以上に力強く響く。バンドの演奏もよりロック的。
02夏、ハイランドフォールズにて
80年7月、ワシントンD.C.ビジューでのライヴ録音。『ニューヨーク物語』からの選曲。スタジオ録音版ではひたすら明晰だったビリーの歌声だが、このライヴ・ヴァージョンの歌声からはせつなさや虚しさなどの感情がひしひしと伝わってくる。
03街の吟遊詩人は…
80年7月、ミネソタ州セントポール・シヴィック・センターでのライヴ録音。『ストリートライフ・セレナーデ』からの選曲。スタジオ録音版では行儀よくまとめられていたが、このライヴ・ヴァージョンでは今を生きる音楽としてパワフルに再生されている。
04ロスアンジェルス紀行
80年7月、コネティカット州ニュー・ヘヴンのトーズ・プレイスでのライヴ録音。『ストリートライフ・セレナーデ』からの選曲。生演奏による説得力を改めて思い知らせてくれる強力なヴァージョン。終盤のインストゥルメンタル・パートの激しさも要チェック。
05シーズ・ガット・ア・ウェイ
80年6月、ボストンのパラダイス・クラブでのライヴ録音。『コールド・スプリング・ハーバー』からの選曲。ピアノの弾き語りによる美しいバラード。10年前と変わらない美しさと、さらに10年分の知恵を加えた新たな力もここにはある。
06エヴリバディ・ラヴズ・ユー・ナウ
80年7月、ワシントンD.C.ビジューでのライヴ録音。『コールド・スプリング・ハーバー』からの選曲。ビリーのヴォーカルはもちろん、ピアノのアルペジオにも、ドラムスのフィルインにも、ライヴならではのリアリティがあり、それが聴き手を納得させる。
07さよならハリウッド
80年6月、ウィスコンシン州ミルウォーキー・アリーナでのライヴ録音。『ニューヨーク物語』からの選曲。古びることのないエヴァー・グリーンなポップ・ソングだが、全米チャート17位のヒットを記録したこのライヴ・ヴァージョンではさらにその輝きを増している。
08キャプテン・ジャック
80年7月、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア・スペクトラムでのライヴ録音。『ピアノ・マン』からの選曲。ヤッピー予備軍みたいな若者たちを挑発する“キャプテン・ジャック”の説得力は80年代でも変わらず、曲中のロック濃度が確実に増している。
09僕の故郷
80年7月、ワシントンD.C.ビジューでのライヴ録音。『ピアノ・マン』からの選曲。作曲当時の愛妻、エリザベスへの愛を歌ったラブ・ソング。シンプルな愛の歌は作者の気持ちが変わってしまっても、その本質の良さは変わらない。シンプルな音楽は強いという好例。
10さすらいのビリー・ザ・キッド
80年6月、マジソン・スクエア・ガーデンでのライヴ録音。『ピアノ・マン』からの選曲。過剰なまでに凝ったアレンジをライヴでも再現してみせる、ビリーとバンドのガッツに最敬礼。ビリーのヴォーカルの表現力が大幅にアップしていることは言うまでもない。
11楽しかった日々
80年7月、イリノイ州シカゴのホライズンでのライヴ録音。『ニューヨーク物語』収録のスタジオ版は、歌詞もメロディも難解だったが、ライヴならではの迫力と世界観を構築したこのライヴ版を聴けば、曲の本質がみえて愛着がわくかもしれない。