ガイドコメント
ビリー自身が「聴いていて一番楽しいアルバム」と語る、R&Rテイストとライヴ感覚あふれる80年の7thアルバム。初の全米No.1に輝いた「ロックンロールが最高さ」ほかヒット曲を多数収録。
収録曲
01ガラスのニューヨーク
ガラスの割れる音から始まる曲。サックスのソロをフィーチャーしたロックンロール・サウンドに乗って、ビリーがアグレッシヴに歌う。「僕は狂っているのかも/でも君が間違っているのかも/いや君が正しいのかも」と繰り返すフックが楽しい。全米7位のヒット曲。
02真夜中のラブコール
電話のプッシュ音から始まる曲。ニューウェイヴ調のヒステリックなロックンロール・サウンドに乗って「これはただのファンタジー」とビリーが歌う。テレフォン・セックスを暗示するような歌詞。「こんなことはしたくないけど寂しくて」という冒頭の一節が怪しい。
03ドント・アスク・ミー・ホワイ
ビートルズへのオマージュに溢れた曲。ビートルズも愛用していたラテン調のリズムに乗って歌うビリーのヴォーカルは、ジョン+ポールばり。ジョンとポールを模したコーラスもナイス。もちろんタイトルも「アスク・ミー・ホワイ」のアンサー・ソング仕様。
04ロックンロールが最高さ
80年代版バディ・ホリー仕様のロックンロール。「みんなはニュー・サウンドの噂をしているけど/僕にはまだロックンロールがある」という歌詞の一節がこの曲の在り方を象徴している。それに賛同するアメリカ人は多かったようで、全米No.1ヒットとなった。
05レイナ
パーカッシヴなピアノの連打が印象的な曲。悪女レイナへの恋心に苦しめられている若者の独白を描いたポップ・ソング。ピアノとシンセサイザーをフィーチャーしたヒステリックなサウンドと、言葉を叩きつけるようなヴォーカルが主人公の心情を象徴している。
06孤独のマンハッタン
やや変則的なレゲエ調ビートから始まる曲。“ひとりぼっちにはなりたくない”というのがこの歌のキーワードで、彼女にそう言われたら断わるのは難しい。出来損ないの擬似レゲエ仕様のリズムが、フックではタフな8ビートへと変化するところがポイント。
07チャンスに賭けろ
真夜中にテレビ放送が終了するSEから始まる曲。跳ねるようなリズムに乗って、スキップするように歌われる風変わりなラブ・ソング。一晩中ワルツを踊っているダイアンに“僕”は語りかける。タイトルにもなっている一節を繰り返すフックが印象的。
08愛の面影 (セテ・トワ)
2ndヴァースではビリーがフランス語で歌うスウィートなラブ・ソング。本来ならスロー・バラードになってもおかしくはないタイプの曲だが、強力なビートに乗って「君がオンリー・ワン」と歌われる。フランス語の必然性は微妙だが、似合っていることはたしか。
09ボーダーライン
ニューウェイヴ調の狂騒的なロック・チューン。若き日のエルヴィス・コステロと張り合うかのような、ビリーの饒舌なヴォーカルが楽しめる。さまざまな音を詰め込んだ終盤や間奏のギター・バトルの騒々しさは、ヘヴィ・メタル以上といっても過言ではない。
10ロング・ナイト
長い物語のエピローグのような2分半のラブ・バラード。「長い夜を一緒に過ごすために君を待つ」と歌うビリーの一人多重唱が楽しめる。これまでの彼ならもっと穏やかな編曲を施しただろうが、ここでの一人多重唱はとても賑やか。だけど、それが楽しい。