ミニ・レビュー
大人の味が滲み出てくるような音楽を提供してくれる人がこのスティングだった。有名人のセッション流行りだけど、スティングの場合は相手の名前に負けていないし、へんな競争もしていない。ジャズに迎合もしていない。人格が音になったような作品だ。
ガイドコメント
85年6月発表のソロ・プロジェクト第1弾。オーディションにより集められたジャズ畑の凄腕ミュージシャンたちとのコラボレーションがアルバムの完成度を高めた。ヒット曲も多い。
収録曲
01IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE
ジャズのリズムを導入した、ダイナミックなロック・ナンバー。ポリス時代の名曲「見つめていたい」へのアンサー・ソングと言われている。多彩な楽器が生み出す重厚なグルーヴと力強いヴォーカルとのせめぎ合いは圧巻。
02LOVE IS THE SEVENTH WAVE
人類愛という壮大なテーマを陽気なレゲエ・サウンドで表現した、ポジティヴなオーラに包まれたナンバー。弾むシンセ音やホーンの旋律が柔和なヴォーカルを包み込み、カラフルでハッピーな雰囲気を醸し出している。
03RUSSIANS
ニュースを読む声のサンプリング、そしてスティングの哀愁漂う浮遊したヴォーカルと、厳かなストリングスの旋律で始まる導入が鮮烈。冷戦を題材にした政治的メッセージの濃い楽曲で、荘厳なアレンジに圧倒される。
04CHILDREN'S CRUSADE
05SHADOWS IN THE RAIN
06WE WORK THE BLACK SEAM
07CONSIDER ME GONE
08THE DREAM OF THE BLUE TURTLES
09MOON OVER BOURBON STREET
“バンパイアになった男の良心”をモチーフに、人間の二面性について歌った幻想的な楽曲。低いベース・ラインを強調したジャジィなサウンドとスティングのしっとりとしたヴォーカルが、夜の街のムードを巧みに描く。
10FORTRESS AROUND YOUR HEART