ガイドコメント
オリジナルは92年9月発売のミニ・アルバム。全編にオーケストレーションを施し、ストリングスやブラス、キーボード・アレンジも効いた作品となっている。ヴォーカルも安定してきた頃ですね。
収録曲
01魔法
“あの河越えれば君と二人きり”と、高らかに歌うホーンで出発を告げる、夢の世界への華麗なる逃避行。吹き荒れる現実に身をさらしつつも、“魔法”という武器で君との世界を守り抜こうとする主人公の姿は、弱々しくも凛々しい。
02田舎の生活
君との慎ましやかな田舎生活……、そんな儚くも幸せな幻想が、美しく流れるアルペジオの上に紡がれてゆく静かなアコースティック・ナンバー。あまりに穏やかに終わりを迎えるその幻は、聴き終えてもなお、柔らかな残像を残す。
03ナイフ
静かで雄大なオーケストレーションをバックに淡々と描き出される、“君とナイフ”のイメージ。ぞっとするような美しさを湛えた詞世界には、“無邪気な者を汚してしまいたい”というサディズムにも似た強烈なエロスが匂い立つ。
04海ねこ
明日のことはわからない、だから今を精一杯満喫にしよう、というストレートでポジティヴなナンバー。ホーンをフィーチャーしたアレンジは、生を謳歌するかのごとく陽気だが、幸せの儚さを悟った“僕”の歌声が、妙に切なかったり。
05涙
“選ばれて君は女神になる、誰にも悟られず”というシーンに象徴される、神聖で密やかな美を湛えた珠玉のバラード。チェンバロをフィーチャーしたバロック調のアレンジが、詞世界を幻想的な空気で包み込む。