ガイドコメント
94年9月発表の5枚目。ドラマ『白線流し』の主題歌となった「空も飛べるはず」(アルバム・ヴァージョンで収録)は彼らを代表する名曲に。これはリマスタリング済の高音質で、プライス・ダウンされてのお買い得のリニューアル盤。
収録曲
01たまご
生命の力を象徴するごとく、圧倒的なパワーを放つポップ・チューン。君と僕の小さな世界で“はじめて感じた、宇宙・タマシイの事実”。そんな喜びを高らかに歌うも、魔法が冷めるかのごとくの不意のエンディングが、妙に意味深。
02スパイダー
かわいい君が汚される前に、僕が連れ去ってしまいたい。そんな想いを、軽快かつ煌びやかなリフに乗せて綴るアコースティック・ナンバー。シュール&キュートなマサムネ・ワールドは、女の子へのイノセントな憧れでいっぱい。
03空も飛べるはず (アルバム・ヴァージョン)
ドラマ『白線流し』の主題歌起用をきっかに、ロング・ヒットに。イノセンスとセンチメントが溶け合う、珠玉のアコースティック・バラードである。空も飛べる“はず”だよなあ、というどこか弱気な感が、まさにスピッツ・カラー。
04迷子の兵隊
茨の道さえも進んでやろうという、がむしゃらな力強さを感じさせるグルーヴィなロック・ナンバー。主人公が“撃ち落とせる雲に同情”してしまう“迷子”という、いわば心優しき弱者であるのがマサムネ・ワールドならでは。
05恋は夕暮れ
恋を、美しく切ないイマジネーションで様々な形に描き出していく、マサムネ・ワールドの極みに達した秀逸のスロー・ナンバー。珠玉の描写が連なるも、つまりは“恋は夕暮れ”。切なくて憧憬を掻き立てる、まさにあの風景だ。
06不死身のビーナス
ガッツ溢れるギター・ソロで幕を開ける、無邪気な日々からの旅立ちの歌。大人になるであろう僕に対し、“明日も風まかせ”であろう君。そんな天真爛漫なビーナスの美しさが、ダイナミックなロック・サウンドで力強く描き出される。
07ラズベリー
君にメロメロ、とろけちゃいそうな“僕”が歌う、ポップで可愛いラブ・ソング。なれど、キュートなリリックに被さったオブラートを剥がしてみれば、現われるのは大胆なセックス・ソング。これぞマサムネ流まぐわいの歌、である。
08ヘチマの花
まさに“夢見る二人”そのもの。寺本りえ子とのデュエットによる、甘〜い甘〜いスロー・ナンバー。フランク永井が歌えば一発でムード歌謡になるところだか、寺本の参加により、可憐でドリーミーなラブ・ソングに仕上がっている。
09ベビーフェイス (アルバム・ヴァージョン)
泣き顔にお別れして、明日へ進もうというポジティヴなメッセージを放つ、マサムネ・ワールドではごく貴重といえる応援ソング。バンドらしからぬ、スタンダード・ポップス調のつくりもまた他とは一線を画す、異色の名曲だ。
10青い車 (アルバム・ヴァージョン)
“君”と行く海へのドライブに“生の真理探し”というテーマを重ねた、圧倒的なスケール感を放つフォーク・チューン。瑞々しさとキラメキを放ちながら爽やかに駆け抜けるサウンドは、まさに夢に落ちていくような心地良さ。
11サンシャイン
部屋の片隅で、去っていった彼女へ想いを巡らせる孤独な男、といった感の哀愁漂うアダルトなスロー・バラード。無邪気な楽曲が並ぶ5thアルバム『空の飛び方』において、そのエネルギーを醒ますかのような、静寂な余韻に満ちたエピローグ。