ガイドコメント
1973年に発表されたサンタナの代表的ライヴ盤。当時は3枚組LPとして発表され、横尾忠則のデザインによる22面体ジャケットでも話題となった。73年7月3日、4日大阪厚生年金会館での模様を収録。
収録曲
[Disc 1]
01MEDITATION
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。司会者のナレーションに続いて、1分間の黙祷。この黙祷にはどんな意味があるのか、などと考える必要はない。サンタナにとって必要なのだから、彼らの音楽を聴く者にも必要な1分間の沈黙。
02GOING HOME
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。『ウェルカム』からの選曲。アリス・コルトレーンの編曲を基にしたドヴォルザークの交響曲第9番『新世界』第2楽章。新生サンタナのコンサートのオープニングにふさわしい荘厳なプロローグ。
03A - 1 FUNK
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。フィードバックとエコー・ノイズの嵐の中から起動するサンタナ流ラテン・ファンク・ビート。バンドと観客のための準備運動みたいなものだが、パーカッション陣の演奏は徐々に本格的なエリアへと突入する。
04EVERY STEP OF THE WAY
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。『キャラバンサライ』収録のオリジナル版以上にフリーキーなジャム・セッションが展開される。特に中盤以降の高速マンボ・パートではカルロスのエモーショナルなギター・ソロがたっぷりと堪能できる。
05BLACK MAGIC WOMAN
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。サンタナの泣きのギター・ソロをはじめ、新生サンタナ・バンドによる演奏はオリジナル版とそれほど変わらないが、レオン・トーマスの歌声のせいか、まったく別の曲のように聴こえる瞬間もある。
06GYPSY QUEEN
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。大ヒット曲からのメドレーだが、サンタナの本領はこちらで発揮される。ほぼ全編でカルロスのギター・ソロがフィーチャーされているが、終盤のテーマ回帰後のチェピートのティンバレス・ソロも圧巻。
07OYE COMO VA
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。ラテン音楽の王様ティト・ブエンテの名曲をカヴァーしたヒット曲。間奏ではギター・ソロとキーボード・ソロがフィーチャーされている。どんなときにも楽しい気分にさせてくれる魅力的な曲。
08YOURS IS THE LIGHT
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。『ウェルカム』ではフローラ・プリムが歌っていたが、ここではギターやピアノのソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル曲として演奏されている。特にカルロスのギターはヴォーカル以上に饒舌。
09BATUKA
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。『サンタナIII』からの選曲。離陸寸前のパーカッション陣の助走のために演奏されたかのような1分足らずのトラック。もっと聴きたい、と思う人はメドレー形式で繋がった次の曲「シババ」を聴こう。
10XIBABA (SHE - BA - BA)
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。ブラジリアン・パーカッションの名匠アイアート・モレイラの曲のカヴァー。キーボード・ソロがフィーチャーされているが、真の主役はパーカッション。メロディを内包するリズムの楽しさを教えてくれる。
[Disc 2]
01STONE FLOWER
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲をアレンジした『キャラバンサライ』収録曲だが、これはイントロのみのショート・ヴァージョン。次の曲「ウェイティング」のためのプロローグのようなトラックだ。
02WAITING
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。1stアルバムから選曲された初期の代表作。初期の激しさはないものの、キーボードのソロとパーカッションのアンサンブルを中心に、クールな熱気が渦巻いているようなサウンドが楽しめる。
03CASTILLOS DE ARENA PART 1 (SAND CASTLE)
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。カルロスがフリーキーなギター・ソロを披露するインストゥルメンタル曲。ジャム・セッションに近い演奏が楽しめる。とりわけ最後のフリー・ジャズばりのエンディングの混沌は快感。
04FREE ANGELA
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。攻撃的なファンク・ビートから始まるバイエッテの曲。キーボード・ソロの後のブレイクを経て、サンバへとリズム・チェンジ。終盤ではエレクトリック・ピアノ&ギターの会話的なインタープレイが楽しめる。
05SAMBA DE SAUSALITO
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。『ウェルカム』から選曲されたインストゥルメンタル曲。ブラジリアン・フィーリングを満載したサンタナ流フュージョン・サウンド。カルロスやコスターのソロも楽しいが、真の主役はチェピートのティンバレス。
06MANTRA
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。当時は未発表曲だった新曲。ユニークなリズム・パターンに乗って、さまざまな音が鳴らされるフリー・フォームに近いセッション。後半にはカルロスの長いギター・ソロがフィーチャーされる。
07KYOTO
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。マイケル・シュリーヴのドラム・ソロ。リズムに対するセンスが抜群に良い彼のソロはリズミカルだから退屈させられることはない。ドラム・ソロよりもむしろパーカッションのソロに近いニュアンス。
08CASTILLOS DE ARENA PART 2 (SAND CASTLE)
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。ドラム・ソロを終えたシュリーヴのスネア・ロールから始まる「砂上の楼閣」パート2だが、わずか70秒で終わってしまう。このライヴ盤ではシュリーヴのドラム・ソロのためのコーダに近いトラック。
09SE A CABO
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。マンボとメレンゲを合体させたチェピートの曲。カルロスのエモーショナルなギター・ソロも強力だし、脇役カラベロのコンガも光るが、やはりチェピートの達人的なティンバレス・ソロが素晴らしい。
[Disc 3]
01SAMBA PA TI
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。カルロスのリリカルなギター・ソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル曲。ロング・トーンやブレイクの間でさえも、待ちきれないほど熱愛しているファンが日本には多いことがよくわかるライヴ音源。
02MR.UDO
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。日本公演を実現してくれた恩人“ミスター・ウドー”への感謝の気持ちをストレートに表現したインストゥルメンタル曲。こういったことを自然にできるのがカルロス・サンタナの凄いところだと思う。
03TOUSSAINT L'OVERTURE
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。ロック+ジャズ+アフロキューバンによるスリリングなセッションが堪能できる初期の代表作。パーカッション群が軽やかに疾走し、カルロスのギターが派手に吠えまくる展開はサンタナならでは。
04INCIDENT AT NESHABUR
1973年7月3〜4日、大阪厚生年金ホールでのライヴ録音。ハイチの黒人解放のための戦いをイメージして作られた名曲。マンボ、ハチロク、ワルツ……とリズム・チェンジを繰り返し、さまざまなソロがフィーチャーされるが、やはりカルロスのギター・ソロが圧巻。