ガイドコメント
緻密に計算されたライヴとスタジオ録音という組み合わせで、躍動感と熱気あふれるサンタナ中期の傑作。なかでもアルバム・タイトル曲における卓越したギター・プレイは圧巻だ。
収録曲
[Disc 1]
01DAWN|GO WITHIN
清冽なストリングスから始まるアルバム巻頭のプロローグ。男性的なハミングが効いている。その後のファンク・ビートのパートはルーズなグルーヴが心地よい。トム・コスターのピアノ・ソロが始まった直後にフェイド・アウトし、ライヴでの観客の歓声が挿入される。
02CARNAVAL
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。当時の最新作『フェスティバル』巻頭メドレーの1曲目。ラテン・パーカッション群が快調に疾走し、スパニッシュ・コーラス隊が陽気に歌うサンバ・カーニヴァル仕様のパーティ・チューン。
03LET THE CHILDREN PLAY
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。当時の最新作『フェスティバル』巻頭メドレーの2曲目。マンボ・ビートに乗って、カルロスのギターとコスターのオルガンが唸りをあげる。英語とスペイン語が混在するコーラスも楽しい。
04JUGANDO
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。当時の最新作『フェスティバル』巻頭メドレーの3曲目。チェピート率いるパーカッション陣が叩きまくり、シンセサイザーがウネりまくり、ギターがワイルドに吠えまくる強力なラテン・ロック・チューン。
05I'LL BE WAITING
グレッグ・ウォーカーが表情豊かに歌う爽やかなラブ・ソング。男女の恋の歌でもあるが広義の愛をも含んだニュアンスがカルロスらしい。ニュー・ソウル調の軽快なR&Bサウンドだが、間奏のジェントルなスキャットと囁くようなギター・ソロが効いている。
06ZULU
グレアム・リアが叩き出す強靭なファンク・ビートに乗って、カルロスのギターとコスターのシンセサイザーが激烈なインタープレイを繰り広げる。終盤の派手なティンバレス・ソロも目立つが、チェピートではないようだ。ではラウル・リコウか、それともカルロスか?
07BAHIA
ピート・エスコヴェードが参加したラテン・ファンク調のインストゥルメンタル曲。ティンバレス、ピアノ、ギターの音色が心地よく響く100秒足らずの小品だが、できれば5分くらいは聴いていたい1曲。コスターの息子が“プロ・ソロイスト”でクレジットされている。
08BLACK MAGIC WOMAN|GYPSY QUEEN
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。グレッグ・ウォーカーのヴォーカルをフィーチャーした大ヒット曲。オリジナルよりも少しだけ洗練された編曲だが、カルロスのギターは良い音色で泣きまくっているし、パーカッション陣の熱演も光る。
09DANCE SISTER DANCE (BAILA MI HERMANA)
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。『アミーゴ』からの選曲。タイトにシェイプアップされた1976年型ラテン・ロックが聴ける。初期よりはずっと洗練されているが、カルロスのギターは泣きまくり、チェピートのティンバレスは暴れまくる。
10EUROPA (EARTH'S CRY HEAVEN'S SMILE)
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。カルロスのラテン歌謡魂が炸裂する哀愁のギター・インスト曲。十八番のロング・トーンもキマってる。日本で最も愛されている曲のひとつだが、愛好者ならこのライヴ・ヴァージョンも聴いておきたい。
[Disc 2]
01SHE'S NOT THERE
ゾンビーズの1964年全米2位のヒット曲をラテン・ロック調にアレンジ。メロディアスな原曲の良さを残しながらも、見事にラテン・ロック化してしまう手際はさすがサンタナ。ティンバレスとコンガが効いているし、カルロスのギターも泣きまくっている。
02FLOR D'LUNA (MOONFLOWER)
同題アルバムのタイトル曲。「哀愁のボレロ」をテンポ・アップしたような哀愁路線のギター・インスト曲。カルロスのギターが見事に泣きまくる曲なので、シングルを発売していたら大ヒットになったかもしれない。その場合の邦題はやはり「哀愁の夜顔」だろうか?
03SOUL SACRIFICE|HEAD, HANDS & FEET (DRUM SOLO)
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。各人のソロをフィーチャーしたジャム・セッション仕様の曲。前半のギター、コンガに続いて、グレアム・リアのドラム・ソロを挟み、後半はギター、オルガン、ギターという順番でソロを披露している。
04EL MOROCCO
カルロスのエレクトリック・ギターとコスターのシンセサイザーとの激烈なインタープレイをフィーチャーしたサンタナ流ハード・ブギ。音楽的な仕掛けや何度かの小休止はあるものの、ほぼ全編でひたすら弾きまくる展開なので、ライヴ録音との違和感も皆無。
05TRANSCENDANCE
恋愛と瞑想と舞踏と人生を凝縮したような、いかにもカルロスらしい曲。グレッグ・ウォーカーが歌うジェントルなバラードから高速マンボ・パートへと移行し、カルロスが狂騒的な速弾きギター・ソロを披露し、終盤は再びメロウなバラードへと回帰する。
06SAVOR|TOUSSAINT L'OVERTURE
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンでのライヴ録音。初期の2曲の代表作を合体させた豪華なセッション・メドレー。ギター、オルガン、ティンバレス、コンガのソロやインタープレイがたっぷりと堪能できる。限りなくスポーツに近いジャム・セッション。
07BLACK MAGIC WOMAN
1976年12月、ロンドンのハマースミス・オデオンで収録されたライヴ音源のシングル・ヴァージョン。グレッグ・ウォーカーのヴォーカルをフィーチャーしたもので、オリジナルよりも洗練されたアレンジが楽しめる。「ジプシー・クイーン」に入った直後にフェイド・アウト。
08I'LL BE WAITING
グレッグ・ウォーカーが歌う爽やかなラブ・ソングのシングル・ヴァージョン。グレッグのジェントルな歌声とニュー・ソウル調の軽快なR&Bサウンドが心地よい。間奏のスキャットも効果的。アルバム・ヴァージョンより2分も短い短縮版だが、これも端正で良い。
09SHE'S NOT THERE
ゾンビーズの1964年のヒット曲をラテン・ロック調にアレンジ。原曲の良さを残しながらも見事にラテン・ロック化してしまう手際はさすがサンタナ。パーカッションが効いているし、カルロスのギターも泣きまくる。全米27位のヒットを記録したシングル・ヴァージョン。