
87年リリースのインスト・アルバム『SEA IS A LADY』収録曲の大半を同一アレンジで再録したものに新曲を追加したという企画作。ファンクっぽいアレンジが当時の時代性を感じさせ、エアプレイのジェイ・グレイドンを思わせるようなギター・トーンもまた懐かしいAOR全盛時代へとタイム・スリップさせてくれる。★

角松敏生が選曲したフュージョンジャズ・コンピレーションの第3弾。本人の楽曲は収録されていない。春から初夏に向けての高揚を意識した選曲で、デイヴィッド・サンボーン、アル・ジャロウ、ジョージ・ベンソンなど良質な70〜80年代フュージョン・ジャズを取り上げている。

角松敏生が“夏”をテーマに200枚のフュージョン・アルバムから選曲したコンピレーション盤。街の夏をイメージするソウルテイストなナンバーから、リゾートの夏をイメージするチルアウトな曲まで、夏のシーンを想起させる、角松敏生のセンスが最大限に活かされた選曲になっている。

シンガー&ギタリストの角松敏生が選曲監修したフュージョン・ベスト盤。フュージョン系のギタリストとしても人気がある角松が影響を受けた人気曲、名曲がズラリ。フュージョンの一時代を築いたワーナーミュージック傘下の豊富な音源からのセレクションである。

イエスへのオマージュ作という21分におよぶ「The Moment of 4.6 Billion Years」をメインに据えた角松敏生のアルバム。角松流プログレは往年のジノ・ヴァネリのようだ。「Get Back to the Love」は本格的なゴスペルクワイアと五十路を越えてなお、この飽くなきチャレンジ精神は凄い。

デビュー30周年記念となる、自身のセレクトによる初のリメイク・ベスト盤。初期の作品、ファンに人気のナンバー、ライヴでおなじみの曲などを織り交ぜながら、全編通じて一つの世界観が浮かび上がる。都会の夜をすり抜け、キラキラと輝く夏の海へ……ドライブにも最適!

2011年でデビュー30周年を迎える角松敏生のCD2枚組ベスト・アルバム。98年から2010年の直近の作品群からのセレクト。ジェリー・ヘイとのコラボ曲「Lunafairymiena」などのR&Bサウンドに加え、「風車」では日本の伝統楽器を加えダイナミックな広がりを垣間見ることができる。

デビュー30周年を2011年に控え、約1年半ぶりのリリースとなる本作は、“都会・夜”をテーマにしたコンセプト・アルバム。センスが光る今剛のギターが、角松の柔らかい歌声にぴったり。遊び心のあるファンク・ナンバーから、タイトで緻密なロック・チューンまで、酸いも甘いも噛み分けた大人のラブ・ソング。

約2年8ヵ月ぶりのオリジナル・アルバム。新しいのにどこか懐かしい。“振り返らない”という角松自身の力強い決意が込められたタイトル。その一方で、本人が撮影したジャケット写真の雰囲気そのままの爽快なサウンドには、良い意味での脱力感がある。

89〜2005年にリリースしたアルバムの中から、バラード曲をセレクトした編集盤。その多くは2000年代になってからの曲だ。広がりのある選曲で、バラードといっても結構ミディアムと言えそうな曲も収録している。生ギター音から始まる透明度の高い「We're Together」は新曲となる。

デビュー25周年記念アルバム。ファンクな(2)といい、スティーリー・ダンみたいな(3)といい、変わらない芸風がうれしい。ルックスも変わらない(これは驚異的)。アルバム前半のドラムはスティーヴ・ガッド。ボーナス・トラックの(13)は2003年の横浜アリーナのライヴ。

81年のデビューから25年目という区切りを意識したかのように、作りあげられたオリジナル・アルバム。前期の特徴だったNYファンク/パンク風のサウンドと内省的な内容をかいまみせながら、明るさを取り戻した“凍結”解除後の力強さも十分に楽しめる内容だ。

25周年記念シングルは映画『ミラクルバナナ』の主題歌。沖縄のグループ、しゃかりのヴォーカル、千秋とのデュエットでサビに向けてだんだんと盛り上がるバラードを歌い切った。(2)は沖縄のメロディを随所に入れたポップ・ソング。(3)は中野サンプラザのライヴ・ヴァージョン。

2006年春全国公開の映画『ミラクルバナナ』のオリジナル・サントラ。効果的なパーカッションの波が舞台のハイチの空気を伝え、風景が目に浮かぶ。(2)は宮古島の方言で唄われ、これが見事にハマっていて、角松のアイディア恐るべし。サントラとして上々吉。

新曲5曲とセルフ・カヴァー5曲で構成されたアルバム。新旧の楽曲はそれぞれ交互に収録されていて、それと知らない者にはなんの違和感もなくそれらの楽曲が耳に入ってくる。それというのも、彼の楽曲が普遍性を持っている証だろう。

Solid sideとElastic sideにそれぞれに8曲ずつ収録された、2枚組のアルバム。前者はファンク・テイスト、後者はアコースティック・テイストの楽曲が集められ、それぞれ参加ミュージシャンも違う。が、どちらもそれぞれに角松が持っている味だ。

3曲目のライヴ・ヴァージョンである「桃色の雲」も含めて、3曲ともミディアムの曲調で、歌われていることもひと言でいうなら“希望”というキーワードで結べそうな3曲。いずれもメロディアスで、気持ちよく聴ける作品。

初回盤は小林克也のDJ入りスペシャル・ディスク付き2枚組。強烈な色があるわけではないのに存在をシッカリと示す角松サウンドはJ-POPの源であるシティ・ミュージックの嫡流と言える。神経の行き届いた曲づくり・音づくりで今回も高品質のポップスを提供してくれた。

しなやかなメロディに乗せて、普遍的な愛を力強く歌い上げたラブ・ソング。“勇気という言葉”を信じ過ぎないようにと、大人の分別をにじませた歌詞が、じわっと染み込んでくる。「Last Flight」は、空港を舞台にAORサウンドでまとめた80年代感覚あふれる作。

約2年ぶり、通算16作目にあたるオリジナル・アルバム。角松は、デビュー21年目のこの作品で、日本人の精神性の原点を見詰め、日本人としてのアイデンティティを表現しうるポップスを追究しようとしている。未踏の領域への第一歩を踏みだした充実作。

海、緑、風……島根県出雲地方の小さな漁村を舞台とする映画の情景がおのずと目に浮かぶ、実に自然な仕上がりである。初アレンジとなるオーケストレーションに加え、主題歌29に代表される三線、トンコリ、神楽太鼓など古来の楽器が独特の奥行きを与える、心に優しい一枚だ。

映画『白い船』の主題歌でもあるナンバーのマキシ。オリジナル・ヴァージョンのほかにアコースティック・ヴァージョン、沖縄民謡とアイヌの要素を採り入れたヴァージョン、さらにインストなども収録。1曲が形を変えながらイメージをさまざまに広げていく。

女性アーティストに提供してきた作品のセルフ・カヴァー集は丁寧なアレンジに彩られ、各楽器の響きもゴージャス。角松らしさがあふれる仕上がりだ。(2)のようなメロウな曲の自演は真骨頂。曲自体の出来は、やはり中山美穂が歌ってヒットした(10)がベスト。

杏里や中山美穂のプロデュース・ワークでも知られる角松が、これまで女性歌手に提供してきた楽曲を自ら歌うアルバム『The gentle sex』よりの先行カット。リード・トラックは中山美穂がヒットさせた名バラード。夢見る女心を繊細に歌い上げる。

ライヴの模様とインストゥルメンタル作品を合体させた、ちょっと珍しい構想の2牧組アルバム。タイトルは『voices〜』とあるが、ヴォーカルを前面に押し出して彼の歌を聴くというよりは、その歌とサウンドが渾然一体となった作品という印象。

7年ぶりのオリジナル・アルバムは、カドマツ流ポップスの真髄をとことん堪能させてくれる充実作となった。一つ一つの音を奏でることが嬉しくてたまらないと言わんばかりの伸びやかなサウンドは、とても酔いも甘いも知り尽くしたベテランの業とは思えない。

ひさかたぶりのシティ・ポップ路線の復活だが、この男にかぎって言えば形を変えながらも常に意識してきた70年代の日本のロックへの憧憬が、ようようたくましさをつけてきた、と解釈したい。クレジットに相変わらず居並ぶ女の名前にはまいるけど…。

87年のギター・インスト盤『SEA IS A LADY』に続いて、ギター奏者としての角松敏生をフィーチュアした90年のアルバム。前作よりも陽気に歌いまくっている饒舌なギター・ワークが如何にも彼らしい。女性を口説く時の多彩な手練手管を音楽化したようなインスト集だ。

基本的にはフュージョンだが、ロックやジャズのテイストを加えて、変化のあるサウンドを展開したのは、角松敏生の力によるものなのだろう。曲によってデコボコがあるが、全体としては「心地よさ」を追求したというコンセプトが感じられて気持ちいい。

デビューから1987年までの作品から20曲を選び、2枚のディスクに収めた。といっても単なるベスト盤ではなく、モノによっては手を加え、お色直しがされている。プロデューサー角松が、過去の作品を新たに蘇らせたといった趣のアルバム。

メロディックな楽曲からダンス・チューンまで軽くこなしちゃうサウンド・メーカーの5曲入りアルバム。スロー〜ミディアムのバラードを中心に、それなりに凝ったアレンジなのに、メロディーと歌詞とが聴き手に迫ってくる。ヤンチャな小僧も大人になった。

70年代フォークのような暗いジャケット。本当に角松のアルバムかと一瞬我が目を疑った。タイトルも随分今までとイメージが違うじゃないか、何があったんだ角松? 辛い恋でもしているのだろうか。一つ一つのフレーズが冷たいシャーベットみたい。しみる。

角松敏生のバラード集。角松というと、サウンド志向のアーティストというイメージが強く、それも彼の一面だが、バラード・シンガーとしても人気が高い。こうしてバラードばかり集めるとその楽曲のトーンの似ていることに、改めて気づく。

パーカッション奏者の斉藤ノブを中心に結成されたスーパー・グループのデビュー盤。角松敏生のプロデュースで、メンバーは村上秀一、島村英二、松原正樹ら。鈴木茂の名曲のカヴァー(8)は、ヴォーカルは角松で、ギターは作者自身。特にリズム隊が強力だ。89年作。

昨年9月に発表したアルバム『Reasons for Thousand Lovers』に収録されていた「OKINAWA」と「RATIRAHASYA〜Time for Kari」のリミックス・ヴァージョン集。聴くだけでも楽しめないことはないが、踊った方がより楽しめるミニCD。

サマー・ミュージックともダンス・ミュージックとも呼べそうなリズムをきかせた明るいサウンドが、角松敏生のアルバムの特徴。このアルバムはL.A.で録音されている。アレンジはソウル系のTOMTOM84が担当している。カフェ・バーのBGM向き。

夏の浜辺のBGMといった雰囲気のサウンドと角松敏生のボーカル、そしてハワイのFM局KIKIの名物D.J.カマサミ・コングのしゃべりによる構成の、86年のアルバム。のりの良いポップなBGMです。

洗練されたファンク調の「イフ・ユー」で始まるこのアルバム、軽快さがポイント。リズムを強調しながら、あくまで軽くってのが売り。BGMに最適。

ちょいと涼しげな山下達郎といったイメージがこのアルバムで定着した角松敏生だが、その細い声が魅力である一方で、もの足りなさだったりもする不思議なシンガー・ソングライター。リゾート・ミュージックですね。

89年8月26日、日比谷野音でのコンサートを収録したライヴ盤。はっぴいえんどの(1)、鈴木茂の(2)(5)(6)、小坂忠の(4)等、日本のロックの70年代の名曲を鈴木茂、今剛、村上秀一、斎藤ノブらによるスーパー・セッション楽団と共に熱演する。(8)(9)はスタジオ録音。

1曲7分前後になるダンス・ヴァージョンを、これまで角松敏生は12インチ・シングルで発表してきた。それを集めたベスト・アルバムがこれです。とにかく踊りたくなったらどうぞってタイプの音楽なのだが、これはクロッぽくないダンス・ミュージック。

『SEA IS A LADY』でのオール・インストゥルメンタルでリスナーに抱かせた驚きと不安はどこへやら、圧倒的な存在感を感じさせる88年のアルバム。NY録音でプロデューサーを5人も起用した結果は吉と出、逞しさも感じさせる。

3万枚限定のゴールドCD。アート・リンゼー、フィリップ・セスら在NYモダン・クリエイターを総動員した『Before The Day Light』(今年2月発売)から、ロング・ヴァージョン4曲を収録。ビートと処理がビシバシっときまって、気持ちいい。