ガイドコメント
80年にリリースされた3rdアルバム。「C調言葉に御用心」といったヒット・シングルのほか、ジャズ風の小粋なナンバーから思いっきり歌謡曲テイストな曲まで、音楽ジャンルをごった煮したようなバラエティさが魅力の全11曲。
収録曲
01ふたりだけのパーティ〜Tiny Bubbles (Type-A)
派手やかなギター・ソロで始まる3rdアルバムのオープニング曲。高音域の多い主旋律と桑田佳祐のファンキーなヴォーカルが特徴的。お手製のあぶく音を経て全編英語によるブルージィなナンバーへ組曲的に展開する。
02タバコ・ロードにセクシーばあちゃん
老人の恋心を歌ったナンバー。ユーモラスなタイトルだが、歌詞はコミカルと真面目の狭間を行く絶妙な塩梅。80年代らしいストリングスやギターのカッティング音、スラップ・ベースなど、サウンドは極めて真摯。
03Hey!Ryudo!
スウィング・ジャズ風ナンバー。ホーン・セクションとストリングスによる豪華なサウンドをバックに、桑田がやや難解な女心をユーモアを交えつつ歌い上げる。タイトルはビートルズの名曲と宇崎竜童をかけている。
04私はピアノ
後に高田みづえが歌って大ヒットした名ナンバー。原由子初のソロ曲で、以降の彼女のヴォーカル・スタイルの基礎となる作品。サザン・ヴァージョンでしか聴けない2番のユーモラスな掛け合い部分が聴きどころ。
05涙のアベニュー
シングル5作品連続リリース企画の第1弾となったナンバー。横浜を舞台に男女の恋を歌ったメロウなラブ・ソングで、ブルージィなギター・ソロやシャレたサックス・ソロを交え、桑田らしい味わい深いヴォーカルを披露。
06TO YOU
シンプルなブラス・フレーズが印象的なポップ・ナンバー。ゆったりとしたリズムに乗る早口のヴォーカルや原由子の伸びやかなコーラスなどが魅力。無防備なまでに清々しいサウンドには、溢れんばかりの幸福感が満ちている。
07恋するマンスリーデイ
女性の生理をテーマにしたレゲエ調ナンバー。冒頭から登場する“ユウコさん”は原由子のこと。扱いづらいはずのテーマを、ユーモアと微妙な愛情をもってひとつの楽曲にしてしまうあたりが桑田佳祐の才能の深さでもある。
08松田の子守唄
ドラムの松田弘の初ヴォーカル曲。決してウマいとはいえないヴォーカルだが、微妙な揺れ具合が味わいともなっている。遠慮がちに3分弱で終わる潔さも好印象。どこまでが冗談なのかわからない点もサザンの魅力といえる。
09C調言葉に御用心
洗練された歌謡曲で、サザン初期の大ヒット曲。歌詞の“C調”とは“調子いい”という意味で、桑田佳祐お得意のHな歌詞が満載だが、さすがにセンスが良く、清々しさすら感じさせる。
10Tiny Bubbles (type-B)
アルバムの1曲目後半部分にも登場するブルース・フィーリングに満ちたナンバー。サザン初の全編英語による歌詞で、自分の前から姿を消した女性と“バブル”をかけている。桑田佳祐の歌唱スタイルも非常に洋楽的。
11働けロック・バンド (Workin'for T.V.)
アルバムを締めくくるバラード曲。デビューから頻繁にテレビ出演して来た彼らが、そうした状況に対して感じはじめた疑問を投げかける。恋愛の歌と拡大解釈できなくもないが、事実、この頃から彼らのメディア露出は減った。