ミニ・レビュー
1975年にリリースされた通算4作目。カントリー・ロックだけでなく、よりハードなサウンドを目指した前作の延長上の演奏で、初の全米No.1を獲得、人気を不動のものにした記念すべきアルバムだ。メンバーの個性がはっきり打ち出されているのも特徴。
ガイドコメント
名盤をデジタル・リマスター復刻。スケール・アップし、彼らの名を不動のものにした75年作品。名曲「呪われた夜」「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」を含み、アルバム全米1位に輝いた。
収録曲
01ONE OF THESE NIGHTS
不気味なイントロが印象的なR&B調の曲。ヘンリーのハスキーな歌声と中性的なファルセットのコーラスをフィーチャーしたもので、フェルダーのメロディックなギター・ソロも秀逸。新生イーグルスの新たな旅立ちを象徴する全米No.1ヒット。
02TOO MANY HANDS
レッド・ツェッペリン経由での英国古謡の影響を感じさせる曲。オープン・チューニングのアコギはともかく、後半にはタブラが導入され、よりツェッペリン風になる。終盤ではフェルダーとフライのギター・バトルも聴ける。イーグルスにとっては珍しい作風。
03HOLLYWOOD WALTZ
ヘンリーが歌うカントリー調のバラード。リードンが奏でるマンドリンとスティール・ギターの調べがサウンドの基調になっている。ひとりの女性を描いた歌詞だが、擬人化したハリウッドへのラブ・ソングではないかという解釈も可能。隠れた名曲のひとつ。
04JOURNEY OF THE SORCERER
05LYIN' EYES
当時のヘンリー=フライ作品では珍しいカントリー・ロック調の曲。フライの素直な歌声、爽やかなコーラス、アコースティックなサウンドなど、すべてがデビュー当時のイーグルスを思い出させる。初期イーグルスによる最後の1曲。全米2位のヒットを記録。
06TAKE IT TO THE LIMIT
ランディ・マイズナーが歌うバラード。フィラデルフィア・ソウルの名曲を思わせる秀逸なメロディ、イーグルスならではの的確なコーラス、ジム・エド・ノーマンのピアノとストリングスなど、すべてが魅力的な名曲中の名曲。全米チャート4位のヒットを記録。
07VISIONS
フェルダーが初めてヴォーカルを担当した曲。ギター・ソロとヒステリックなコーラスをフィーチャーした狂騒的なポップ・ロック。エコーの彼方から聴こえるその歌声は、ジョージ・ハリスン(withフィル・スペクター)を連想させる。
08AFTER THE THRILL IS GONE
B.B.キングのヒット曲へのアンサー・ソングのようなタイトルを冠した曲。フライとヘンリーがややメランコリックに歌うカントリー・ロック調のR&Bソング。「勝とうとは思わないが負けたくもない」という歌詞の一節が秀逸。
09I WISH YOU PEACE
アルバム『呪われた夜』を最後に脱退するリードンがイーグルスに残した最後の1曲。彼らしい優しさにあふれたカントリー調のバラード。流麗なストリングスをバックにした彼の歌声が寂しげに響く。すでに瀕死の状態だった初期イーグルスはこの曲で終焉を迎えた。