ガイドコメント
元ヤードバーズのギタリスト、ジミー・ペイジの新バンドによる1969年のデビュー・アルバム。ヘヴィなハード・ロックでありながらアコギも巧妙に取り入れ、70年代ロックを切り拓いた記念すべき作品。
収録曲
01GOOD TIMES BAD TIMES
飛行船の出発を告げる序曲。4人の猛者の高度なスキルを紹介する役割もこの曲にはあり、初期ZEPの魅力が詰め込まれている。イントロだけでも充分に強力だが、プラントが歌い始めたら、このバンドの画期的な革新性はもはや誰の耳にも明らかだろう。
02BABE I'M GONNA LEAVE YOU
ジョーン・バエズが歌うフォーク・ソングを大胆に改造した曲。ZEPはすべての断片を過剰なまでにドラマティックに再構成し、血が流れるほど深い陰影を刻み込み、誇大妄想的なまでにダイナミックなブルース・ロック・ナンバーへと変貌させている。
03YOU SHOOK ME
特に派手な改造を施さず、比較的ストレートにカヴァーしても、他のバンドとは異なる独自の世界を構築できることを彼らはウィリー・ディクソンのこの曲で証明してみせた。終盤のペイジとプラントとのエロい絡みはライヴでその本領を発揮することになる。
04DAZED AND CONFUSED
ヤードバーズ時代からのレパートリーだったジェイク・ホルムズの曲をアップデイトさせたニュー・ヴァージョン。特に加速化した後のテンションは圧巻。ヴァイオリンの弓でギターを弾くペイジのパフォーマンスはZEPのライヴでは定番メニューとなった。
05YOUR TIME IS GONNA COME
ジョーンジーが弾く教会音楽風のオルガンをフィーチャーした曲。擬似アンプラグドなサウンドを背景に、プラントがその歌唱力を見せつける。4人のコーラスも珍しい。平凡なハード・ロック・バンドではないことを彼らはこの曲で証明してみせた。
06BLACK MOUNTAIN SIDE
英国古謡「ブラック・ウォーター・サイド」を下敷きにしたインストゥルメンタル曲。ペイジは“CIA”チューニングの生ギターでプレイし、打楽器にはタブラを使っている。彼が追求してきた英国古謡とインド音楽との融合による成果のひとつ。
07COMMUNICATION BREAKDOWN
秀逸なギター・リフから生まれた初期の名曲。当時のZEPが必要としていた強力なフックを持つアップ・テンポのロック・チューン。プラントのセクシーなヴォーカルを全面的にフィーチャーし、さらにペイジの印象的なギター・ソロもあって、しかも2分半で終わる。
08I CAN'T QUIT YOU BABY
ウィリー・ディクソンのスロー・ブルースをZEP的に増幅。特に大胆な改造はないものの、4人の達人が揃えば、それでもZEP特有の世界を作り上げることができる。ヴォーカリストとしてのプラントの魅力を最大限に利用したエレクトリック・ブルースの名演。
09HOW MANY MORE TIMES
初期ZEPの可能性を詰め込んだ8分半のミニ組曲。「No Place To Go」「Rosie」「The Hunter」など、ブルース・クラシックの曲想や引用を満載し、さらに4人の得意技の数々を惜しげもなく披露している。初期のライヴでは常に最後の1曲として演奏されていた。