ガイドコメント
1979年に発表された9枚目。サンバ、カントリー、ダンス・チューン、バラードなどこれまでにないモダンな要素を取り入れ、ハード・ロックにとどまらない新機軸を感じさせた、最後のオリジナル・アルバム。
収録曲
01IN THE EVENING
3年半ぶりの新作の巻頭を飾った意欲作。幻想的な弓弾きギターのイントロに続いて、豪放磊落なギター・リフとプラントの精力的な歌声がバンドを先導する。ペイジが使用したギズモトロンの効果もあり、特別な力を感じさせる曲に仕上がっている。
02SOUTH BOUND SAUREZ
ジョーンジーのピアノが快調に疾走するファンク経由のロックンロール。マウスハープが効果的に使われているが、ペイジのギター・ソロも好演。プラントのヴォーカルはやや演技過剰気味だが、それはそれで楽しいし、最後のドゥーワップも面白い発想。
03FOOL IN THE RAIN
サンバを導入した意欲作。ペイジの劇的なギター・リフとボンゾの変則的なリズム・パターンに陽気なサンバのリズムを重ねる、という一見無謀なアイディアが見事に成功し、新たな領域を開拓している。再現は難しいだろうが、ライヴで聴いてみたかった。
04HOT DOG
ZEP版カントリー・ロックとも言えるロカビリー・チューン。ジョーンジーがホンキー・トンク・ピアノを叩きまくり、ペイジのギターがフィドルのパートを弾きまくり、プラントがエルヴィスばりの歌声でテキサス娘の逸話を歌いまくるのだから、楽しくないわけがない。
05CAROUSELAMBRA
さまざまな要素を詰め込んだ10分を超える大作。ジョーンジーのシンセサイザー群が全篇を覆い、ペイジのギターは脇役ながら細部に貢献し、プラントは謎めいた物語を歌っている。80年代のZEPを想像させる新時代のサウンドの萌芽がここにはある。
06ALL MY LOVE
1977年に病死した当時5歳の愛息カラックに父プラントが捧げたラブ・ソング。ジョーンジーのキーボードが奏でるクラシカルなストリングスをバックに、幼くして死んだ我が子への想いをプラントが切々と歌う。ZEPのレパートリーの中でも最も感動的な曲のひとつ。
07I'M GONNA CRAWL
映画音楽のようなストリングスをフィーチャーしたスロー・ブルース。ジョーンジーのシンセサイザーが奏でる流麗なストリングスをバックに、プラントがウィルソン・ピケットばりのソウルフルな歌声を披露する。ペイジのエモーショナルなギター・ソロも素晴らしい。