ガイドコメント
『スローハンド』同様プロデュースはグリン・ジョンズ。ブルースのみならず、米国ルーツ音楽への深い愛情が感じられるアルバム。ディラン・ナンバーも2曲取り上げている、78年発表作品。
収録曲
01WALK OUT IN THE RAIN
ディランからプレゼントされたディランらしいバラード。デモ・テイクでのディランがそんなふうに歌っていたのか、クラプトンが歌詞をひと言ずつ明確に発音しながら歌っているのが珍しい。メロディをなぞってみせる控えめなギター・ソロも悪くない。
02WATCH OUT FOR LUCY
快調に疾走するミディアム・アップのシャッフル・ビートに乗って、クラプトンが気持ちよさそうに歌う自作曲。マーシー・レヴィのハーモニーも好サポート。ヴォーカル以上によく歌うギター・ソロも楽しく、ストーリー仕立ての歌詞も面白い。全米40位のヒットを記録。
03I'LL MAKE LOVE TO YOU ANYTIME
お気に入りのJ.J.ケイルのカヴァー。特徴的なリフに乗って、クラプトンがケイルばりのヴォーカルを聴かせ、いかにも彼らしいワウ・ギターでの巧みなバッキングと印象的なソロを披露している。1978年のヨーロッパ・ツアーでは定番曲のひとつだった。
04ROLL IT
マーシー・レヴィとの共作曲。ジャム・セッションから生まれた曲だと思われる。タルサ・トップスらしいタイトなファンク・ビートに乗って、レヴィのヴォーカルとクラプトンのスライド・ギターが踊っている。性的な比喩を詰め込んだ歌詞も極めてシンプル。
05TELL ME THAT YOU LOVE ME
クラプトンが書いたカントリー調のバラード。熱烈なラブ・ソングだが、淡々と歌うクラプトンのヴォーカルはいかにも彼らしい。決して弾き過ぎることのないリード・ギターが巧みにヴォーカルをサポートしている。ディック・シムズの繊細なキーボードも光る。
06IF I DON'T BE THERE BY MORNING
07EARLY IN THE MORNING
08PROMISES
カントリー調のポップ・ソング。オリジナルではないが、クラプトンの声質にはよく似合っている。マーシー・レヴィの控えめなハーモニーもチャーミング。ペダル・スティール・ギターとオルガンをフィーチャーしたサウンドも心地よい。全米9位のヒットを記録。
09GOLDEN RING
クラプトンらしいタッチの力強いラブ・バラード。ミディアム・テンポのアンプラグドなサウンドをバックに、クラプトンは言葉を噛みしめるように歌っている。クラプトンのハミングが心地よく響く。ギャラガー&ライルらの控えめなハーモニーも良い。地味ながら佳作。
10TULSA TIME