ガイドコメント
70年の2月にリーズ大学で行なわれた歴史的ライヴの25周年記念盤。70年発表のオリジナルに当時の未発表ヴァージョンなどを追加。後にデラックス・エディション盤もリリースされた。
収録曲
01HEAVEN AND HELL
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。当時はまだスタジオ録音されていなかったジョンの曲でオープニング。キースがジョンの歌声をかき消しそうなほど凄まじいドラミングを披露しているが、ジョンのベースやピートのギターも負けてはいない。
02I CAN'T EXPLAIN
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。ややテンポを落としてヘヴィにアレンジされた1965年のデビュー曲。ニュー・ロック時代にふさわしいハード・ロッキンなサウンドだが、フックのキャッチーなメロディは相変わらずチャーミング。
03FORTUNE TELLER
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。ニューオリンズの親玉アラン・トゥーサンの曲のカヴァー。最初はミディアム・テンポでR&B色が濃厚な歌と演奏を聴かせるものの、後半には一気にテンポ・アップするところがいかにもザ・フー。
04TATTOO
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。『ザ・フー・セル・アウト』からの唯一の選曲。ピートのお気に入りの1曲だったと言われている。キャッチーなフックのコーラスも魅力的だが、静と動との対比を強調する劇的なアレンジも彼ららしい。
05YOUNG MAN BLUES
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。モーズ・アリスンのカヴァーだが、ザ・フーのアグレッシヴな演奏はほとんど戦争のようなもの。リズム・セクションのじゅうたん爆撃に対抗するために、ピートとロジャーも最初から全力で攻撃している。
06SUBSTITUTE
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。ザ・フーの最高のシングル曲のひとつ。ニュー・ロック仕様のハード・ロッキンな演奏だが、そのポップな輝きはライヴでも異彩を放っている。ポップとロックが矛盾しないところも彼らの最大の長所のひとつ。
07HAPPY JACK
70年2月14日、英国のリーズ大学での公演で収録されたライヴ音源。キャッチーなメロディとヘヴィなサウンドとの幸福な結婚。あきれ返るほど能天気なコーラスも、地鳴りのごときリズム・セクションも、どちらもザ・フーならではの大切な要素のひとつ。
08I'M A BOY
70年2月14日、英国のリーズ大学での公演でのライヴ録音。近未来SFばりの歌詞とキャッチーなフックを持つこのヒット曲も、ライヴでは爆音ロックへと変貌する。90年代のグランジのさきがけともいえるサウンドだが、ポップな輝きも失ってはいない。
09A QUICK ONE, WHILE HE'S AWAY
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。6曲のポップ・ソングで構成されたミニ・ロック・オペラをライヴで再現。ア・カペラのコーラスからハード・ロックまで、何でもありのパフォーマンスを1966年からやっているのだから、並みのバンドではない。
10AMAZING JOURNEY|SPARKS
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。前年5月に発表したロック・オペラ『トミー』からの2曲のメドレー。ライヴでの再現が容易な曲ではないが、彼らは爆発的な演奏を披露している。特に終盤のインストゥルメンタル・パートが素晴らしい。
11SUMMERTIME BLUES
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。エディ・コクランの……というよりも、これはすでにザ・フーの「サマータイム・ブルース」。百万匹のスズメバチが巨大な斧と化して敵に襲いかかるさまを連想させるそのサウンドはザ・フーならでは。
12SHAKING ALL OVER
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。ザ・フーとほぼ同期のザ・パイレーツの全英No.1ヒットのカヴァー。キースやピートも大暴れだが、ジョンの饒舌なリード・ベースがバンドを先導している。ロジャーの雄々しいヴォーカルも素晴らしい。
13MY GENERATION
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。稀代のモッズ讃歌からベース・ソロやギター・ソロを経て『トミー』のクライマックスへと移行し、さらに過激なインストゥルメンタル・パートへと進攻する。世界で最もゴージャスなロック・メドレーかもしれない。
14MAGIC BUS
70年2月14日、英国のリーズ大学でのライヴ録音。ボ・ディドリー風ジャングル・ビートのこの奇妙なヒット曲がライヴのクライマックスにふさわしいかどうかはともかく、ザ・フーはどんな曲でも最高のライヴ・ナンバーに変えてしまう魔法をもっている。