ガイドコメント
プロデューサーがロブ・フラボニに代わって制作された1976年発表作品。ボブ・ディラン、ロン・ウッド、ジョージィ・フェイムをはじめとする豪華ゲスト陣とのコラボレーションが楽しめる。
収録曲
01BEAUTIFUL THING
ザ・バンドのリチャード・マニュエルとリック・ダンコの曲。レイドバックしたクラプトンにはよく似合う米国南部風味のロッカ・バラード。イヴォンヌ・エリマンらコーラス陣とともに、クラプトンはメロウな歌声を披露。ロン・ウッドのスライド・ギターが好演している。
02CARNIVAL
陽気なサンバ調のリズムが炸裂する、クラプトン流ラテン・ロック。パーカッションやコーラスが活躍する賑やかな曲だが、クラプトンはギター・ソロも弾かず、リラックスした歌声を披露。ストーンズとの泥酔共演ヴァージョンが倉庫で眠っている異色の1曲。
03SIGN LANGUAGE
ディランの名曲をディランとのデュエットでカヴァー。レイドバックしたアンプラグドなサウンドをバックに歌う2人の歌声は恐ろしく渋い。ロビー・ロバートソンが全編にわたって特徴的なリード・ギターを聴かせる。クラプトンのドブロ・ギターは控えめなプレイ。
04COUNTY JAIL BLUES
アルフレッド・フィールズのブルース・クラシックをカヴァー。ミディアム・スローのバンド・サウンドをバックに、クラプトンはメランコリックな歌声を披露し、秀逸なスライド・ギター・ソロを聴かせる。とげとげしいムードのサウンドが、この曲にはよく似合っている。
05ALL OUR PAST TIMES
クラプトンの哀愁を帯びた歌声がよく似合うリック・ダンコの曲。ザ・バンドのフィーリングを濃厚に漂わせた南部風味のバラード。ロン・ウッドのギター・ソロに続いて、クラプトンもソロを披露。レイドバックした演奏には華やかさはないが、枯れた味わいがある。
06HELLO OLD FRIEND
ペダル・スティール・ギターをフィーチャーしたカントリー調のバラード。多くのギターが同時に鳴っているそのサウンドは、親友ジョージ・ハリスンの芸風を連想させる。1976〜77年のツアーでは定番メニューだったお気に入りの自作曲。全米24位のヒットを記録。
07DOUBLE TROUBLE
敬愛するオーティス・ラッシュの名曲を真正面からカヴァーした意欲作。ピアノとオルガンがムードを盛り上げ、クラプトンは感情を吐き出すような熱唱と鬼気迫るギター・ソロを披露している。テンションの高いソロは、この時期のスタジオ録音では出色の名演。
08INNOCENT TIMES
マーシー・レヴィのソウルフルなヴォーカルをフィーチャーした彼女との共作曲。ゴスペル・フィーリングも漂う珠玉のカントリー・バラードで、クラプトンは得意のドブロ・ギターでレヴィをバックアップ。間奏での短いソロも渋い。ディック・シムズのピアノも好演。
09HUNGRY
ディック・シムズとマーシー・レヴィとの共作によるファンキーなロック・チューン。レヴィ、クラプトン、イヴォンヌ・エリマンがヴォーカルをシェアしているが、メインはレヴィのソウルフルな歌声。クラプトンのスライド・ギター・ソロがフィーチャーされている。
10BLACK SUMMER RAIN
いかにもクラプトンらしい美しいラブ・バラード。アコギとオルガンを主体にした涼しげなサウンドをバックに、クラプトンがメロウな歌声を披露し、聴く者の心を蕩かすようなギター・ソロを奏でている。クールでスウィートなサウンドが素晴らしい、隠れた名曲。
11LASU NIGHT
1976年3月30日、クラプトンの31歳の誕生日の夜に行なわれたジャム・セッションからの曲。クラプトン作とクレジットされているが、原曲は作者不詳のブルース・クラシック。クラプトンの歌声は明らかに酔っているが、それが良い効果を与えている面もある。