ミニ・レビュー
ロック・バンドとして、メンバーの結束が強まり、大きくステップ・アップをはかった3作目がリマスターで再登場。なんといっても、彼ら初の全米No.1ヒット(10)は、ここから誕生し、彼らが躍進するきっかけとなった。音の向上でハーモニーも、震えがくるほど美しく響く。
ガイドコメント
名盤をデジタル・リマスター復刻。ドン・フェルダーが正式加入し、よりロック色が強まった74年の3rdアルバム。初の全米No.1シングル「我が愛の至上」を収録。ハーモニーが美しい。
収録曲
01ALREADY GONE
フライが歌うジャック・テンプチンの曲。当初はゲスト・ギタリストだったドン・フェルダーのエレクトリック・ギターが唸りを上げる70年代的なカントリー・ロック・サウンドは当時のイーグルスが求めていたもの。コーラスも快調に疾走する新生イーグルスの1曲目。
02YOU NEVER CRY LIKE A LOVER
ヘンリーとJ.D.サウザーとの共作による劇的なバラード。囁き唱法から一気に絶頂へと駆け上がるヘンリーのヴォーカルが魅力的。「お前は恋人みたいに泣かない」という意味深な一節を、こんなにセクシーに歌えるのはイーグルスの中ではヘンリーだけ。
03MIDNIGHT FLYER
ポール・クラフトの名曲をカヴァー。マイズナーのヴォーカルとリードンのバンジョーをフィーチャーしたイーグルス版ブルーグラス・サウンドが堪能できる。フライのスライド・ギターも悪くはないが、何といっても絶妙のコーラス・ワークが素晴らしい。
04MY MAN
73年9月に27歳で急逝した畏友グラム・パーソンズに捧げられたリードンの曲。彼らしいジェントルなタッチのカントリー・ロック・サウンドが聴ける。パーソンズの名曲「ヒッコリー・ウィンド」を織り込んだ歌詞も良いが、何よりもその歌声の優しさが泣かせる。
05ON THE BORDER
ヘンリーが歌うR&B調の曲。コーラスとの掛け合いをフィーチャーしたそのサウンドは、イーグルス版ファンク・ロックとも言えないことはない。変化しつつあったバンドを象徴する曲であり、彼らのレパートリーの中では最も黒人音楽に接近した曲のひとつ。
06JAMES DEAN
フライ、ヘンリー、J.D.サウザー、ジャクソン・ブラウンによる共作曲。ジェイムズ・ディーンをモチーフにした狂騒的なロックンロールだが、西部開拓時代のヒーローを描いた「ドゥーリン・ドルトン」と同様の視点から描いているところがいかにも彼ららしい。
07OL'55
トム・ウェイツの初期の名曲のカヴァー。フライとヘンリーがヴォーカルをシェアし、イーグルスらしいコーラスとアル・パーキンスのメロウなペダルスティール・ギターがサウンドを彩っている。ウェイツの退廃的な原曲をポップに再生した祝祭的なバラード。
08IS IT TRUE?
『オン・ザ・ボーダー』ではマイズナーが書いた唯一の曲。控えめな態度の歌詞が彼らしいメロウなバラードだが、マイズナーのヴォーカル、哀愁のメロディ、そしてフライが奏でるスライド・ギターに彩られたサウンドはジョージ・ハリスンを連想させる。
09GOOD DAY IN HELL
フライとヘンリーが歌うミディアム・テンポのブギ。ドン・フェルダーが見事なスライド・ギター・ソロを披露しているが、このプレイで彼は正式メンバーとしてバンドに迎えられた。カントリー・ロック・バンドからの脱却を象徴する新生イーグルスの最初の1曲。
10THE BEST OF MY LOVE
ロンドン録音による、ヘンリーが歌う美しいバラード。コーラス主体のカントリー・ロック・バンドだった初期のイーグルスがここにはいる。リードンのペダル・スティール・ギターのメロウな音色が泣かせる。彼らにとって初めての全米No.1ヒット。