
“カンヌ映画祭”で賞を獲るべく山田孝之と映画監督の山下敦弘が奔走するテレビ東京系ドキュメンタリー・ドラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』OPテーマとして制作されたコラボ・シングル。名作映画のタイトルをちりばめつつ、感情むき出しのシャウトを響かせる。フジファブ単独での「Here」は名バラード。

前作『LIFE』から約2年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム。「SUPER!!」からあふれ出るギラギラの熱量が凄まじく、ドラマ『となりの関くん』の主題歌や「Green Bird」、アジアンテイストな世界観の「炎の舞」など全10曲を収録。沸き立つ興奮が覚めない仕上がり。

絶妙にエモい言葉やフレーズが次々と飛び出しつつ、ギター・ポップのお手本のようなアレンジで聞かせる「SUPER!!」こそ彼らの真骨頂だろうが、カップリングの「夜の中へ」ではジャジィでお茶目なカリプソ・アレンジをサラリとうまく聴かせてしまうあたり、かなりの才覚と見た。

「ブルー/WIRED」以来のシングルは、TVアニメ『マギ シンドバッドの冒険』のエンディング・テーマ。煌くエレクトロニックの粒子とストリングスのアレンジが壮大かつ爽やかな聴後感を生む、ダンサブルなロック・チューンとなっている。カップリングは牧歌的なメロディが印象的。

コンセプト・ミニ・アルバム『BOY』から4ヵ月というスパンでリリースされた第2弾。タイトルどおりアンサー・アルバムなのだが、恋愛も含め何かと不器用な男子に相対しキラキラと眩しくほとばしり、そしてロマンティックな女子の姿が描かれている。ダンサブル・ポップからバラードまで女子力一杯だ。

フジファブリックによる2枚連動ミニ・アルバム企画の第1弾。アップ・テンポな曲を集めた本作は、ヴォーカルの山内総一郎と旧知の仲である百田留衣(agehasprings)を共同プロデューサーに起用。ストリングスをフィーチャーしたドラマティックなサウンドに仕上がった。

2009年に逝去した志村正彦在籍時のシングル全11曲を収めたCDと、ビデオ・クリップ集などのDVDとの2枚組ベスト。「銀河」「若者のすべて」などの代表曲をはじめ、志村が作る楽曲は抑揚に富んだ歌謡曲的メロディと独特の節回しのヴォーカルが印象的な名曲揃い。彼の才能を再認識させられる。

2014年でデビュー10周年を迎えたフジファブリックの8枚目となるアルバム。フジテレビ“ノイタミナ”枠アニメ『銀の匙 SilverSpoon』第2期OPテーマ「LIFE」を含めた全15曲。チェンバー・ポップを彷彿とさせるピアノ・チューンが多く、彼らが持つポップさがより強調されている。

2014年11月に日本武道館での単独公演も決定したフジファブリックのシングル。TVアニメ『アオハライド』EDテーマとなった「ブルー」は、まさにタイトル通りのノスタルジックなメロディと歌詞が胸に響く切なくもまさにフジファブというナンバー。両A面の「WIRED」も含めて3人体制での成熟を強く感じさせる。

デビュ−10年目を迎えるFUJIFABRIC。表題曲の「LIFE」はTVアニメ『銀の匙』オープニング・テーマ。力強く一歩一歩を刻む心臓の鼓動のようなピアノのイントロが、主人公の成長を描く物語のテーマとしてぴったり。カップリングは70年代ハード・ロック風アレンジがツボ。

前作のアルバムからおよそ7ヵ月というタームでリリースされたEP作品。“ダンスロック”を基軸に色とりどりのポップ・センスを放つ4曲の多彩さに驚かされる。リード・トラックのうちの1曲である「バタアシParty Night」での節回しや言葉遊びは、印象的なリフと相まって中毒性抜群。

新体制での2作目、通算7作目となる約1年半ぶりのアルバム。いろいろな要素を複雑かつ綿密に配しながら、あざとさや不自然さをまったく感じさせず、極上のポップ・ロックとして昇華させるセンスに舌を巻く。3人の個性と才能が見事に融合し、新たな“フジファブ”サウンドを確立したマスターピースだ。

「Small World」は読売テレビ・日本テレビ系アニメ『宇宙兄弟』OPテーマ。ロケットが雲を突き抜けてぐんぐん上っていくような、高揚感あふれるアップ・テンポなナンバー。作品の世界観と“それでも夢をあきらめない”というメッセージが見事に音化されている。

通算13枚目のシングル。メランコリックな響きを持つミディアム・ナンバーだ。遠い日の胸の高鳴りに思いを馳せ、今再び歩み始める前向きな歌詞が涙を誘う。ホーン・セクションを迎え入れたドリーミーなアレンジが秀逸。カップリング曲ではワルツを取り入れるなど変幻自在のサウンドを聴かせる。

微妙にひねくれたところが聴いてるうちにクセになる「徒然モノクローム」とコズミックなディスコ・ロック・ナンバー「流線形」の両A面シングル。どちらの曲もフジファブリックの突き抜けたポップ・センスが光る。カップリングには小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」のカヴァーを収録。

急逝した志村正彦(vo,g)が残した財産を引き継ぎ完成させたのが前作『MUSIC』(2010年)とすれば、本作は三人体制として新たなスタートを切った第一歩となるアルバムだ。各メンバーが持ち寄ったイマジネーション豊かな曲は、どれも変わらぬ彼らの世界観。そしてもちろん進化も遂げている。

2009年12月24日に急逝した志村正彦(vo,g)の意思を継ぎ、残されたメンバー三人とサポート・ドラムの刄田綴色(東京事変)が完成させた5枚目のアルバム。解き放たれたポップ感が眩しい「Bye Bye」、快楽的なエレクトロ・サウンドを持つ「Hello」など、未来に広がっていくバンド・アンサンブルが力強く描かれている。

2009年末に急逝した志村正彦(vo,g)の軌跡がこの一枚に……。バンドにとって最初で最後のA面集であり全曲リマスタリング音源。聴き手の感性を刺激するエモーショナルな歌詞と、哀感あるメロディ、そしてフックの利いたロック・サウンド。彼らの音楽の質の高さが再認識できる永久保存盤だ。

ストックホルムで初の海外レコーディングを行なって完成した4枚目のアルバム。バンドとして原点回帰し、そぎ落として残った音楽のみで表現されたサウンドは、エレクトリックなクールさと、ロックの持つ熱さが融合した唯一無二のオリジナリティにあふれている。

亀田誠治プロデュースによる11枚目のシングル。普通にバンド・サウンドでよさそうな曲を、あえて打ち込み主体にしている。爽やかで甘酸っぱい青春ソング。完全生産限定盤に付くDVDには、2008年5月の富士五湖文化センターでのライヴを収録。

約2年ぶりのサード・アルバム。アップ・テンポの曲が多いが、いわゆる米国のインディ・ロックに通じるモダンな音作りを和風で活かし、歌声も音に溶け込んで日本語がわからない人にも訴えかける魅力がある。と同時に言葉が耳に染みつくヴォーカルなのも、さすがだ。

ヴォーカル・志村正彦の正統派メロディ・メイカーとしての才能を全開させた、叙情性あふれる表題曲がとにかくいい。まるで夕暮れ時の寂しさをそのままパッケージしたかのような、志村独特のロマンティシズムが爆発している名曲だ。★

チャカポコ・ギターとチョッパー・ベースをふんだんに取り入れたファンキーなダンス・チューン。ちょっとノー天気っぽいヴォーカルと妙に明るいノリだけど、どこか“同じアホなら踊らにゃソンソン”といった開き直り感が漂っているようで面白い。

7枚目のシングルにして本作は、東京スカパラダイスオーケストラのホーン奏者らが参加した、初のコラボ作品。アメリカ的マッチョな思想をニヒルに嗤うアヴァンギャルドなサーフ・ロック「Surfer King」が最高! マジカルな展開が気持ちいい「Day Dripper」も◎。ビデオ・クリップ付き。

10,000枚限定の7枚目のシングルは、映画『悪魔探偵』エンディング・テーマ。チェンバロ風のキーボードをバックにしたイントロから怪しさと不安をかもし出していておどろどろしい。ヘヴィな部分とクールな部分が見事に融合されていて、その対比がおもしろい。

各方面から絶賛の評価を受ける新鋭5人衆が、満を持して放つセカンド・アルバム。飄々とした志村節に乗って、変幻自在にくねるビートはより一層磨きがかかり、クリアさを増したサウンドと絶妙に溶け合っている。また一歩、新たな段階に踏み込んだ自信作。★

せつなさを引き立て合う深いサウンドと言葉でじっくり聴かせてくれるスローの(1)は、TX系『JAPAN COUNTDOWN』2005年9月度オープニング・テーマ。さらに独自の世界観を両極で映し出したような(2)と(3)を含め、そのアクの強さにまたしても圧倒される。

60年代の王道ロックを彷彿とさせる、ちょっぴりアナクロ気味のサウンドが、かえって新鮮な輝きを放つ。こういう音はおじさんロッカーも大好きで、今の時代に再現するとなると結構贅沢な機材が必要だ。そういう点ではリッチなサウンドを聴かせる希少なバンド。★

フジファブリックの鳴らすメロディは、即効性は薄いがじわりじわりと効いてきてしまいに虜にされてしまうものが多い。しかし、表題曲のキラー・チューンぶりはどうだ。タッタッタッ タラッタラッタッタッのフレーズは強力に僕の頭の中を駆けめぐる。困った。★

なんとも不思議な佇まいを持ったバンドのファースト・アルバム。詞の世界観やヴォーカル・スタイルはたとえば斉藤和義を彷彿とさせるし、サウンドの雑多性や妙にドラマティックなところはたとえばユニコーンを連想させる。それでいてオリジナリティ抜群だ。

道を歩いていて立ち止まると、季節の変化に気づきふいに感傷的になったりする。シングル「秋盤」はそんな秋の切ない雰囲気を巧みに表現。ゆったりした哀愁メロからスピーディに転調するアレンジの妙も光る。(2)はアコギ基調。コーラス・ワークも映える。

2000年4月に結成されたバンド、フジファブリックのシングルの第1弾“春盤”に続く、第2弾“夏盤”がこの「陽炎」。勢いと轟音まかせのロック・サウンドではなく、ピアノをフィーチャーした、趣向を凝らされたサウンド・プロダクションが心地よく響く楽曲だ。

インディーズで話題のバンド、メジャー・デビュー・シングル。“春”をテーマにした2曲入り。歌謡曲をうまく消化した和メロに、少し鼻にかかったヴォーカルがよくなじむ。2004年一番期待の新人でしょう! エレキ・フォーク+GS+ノイ! な(2)がまた、秀逸。★

2002年と2003年にリリースしたインディ盤よりセレクトしたプレ・メジャー・デビュー作。決して洗練された音ではないが、武骨なグルーヴや飾り気のない歌がかえって、このバンドのささやかな心象風景を鮮明にイメージさせる。“和”の雰囲気も心地よい。

トワイライト・ゾーンに迷い込んだような、不思議な感覚に誘われる一枚。本作は、東京を中心に活動を展開する4人組のセカンド・アルバム。サイケな音づかいに想像力豊かな言葉が映えて、面白いやら怖いやら……一度聴いたら離れがたい、罪作りな魅力がある。

ソウルフルなグルーヴを放つ緻密なサウンドにのせたヴォーカルは、YO-KINGさながらのストレートな味わいをたたえている。ギターのカッティングがスピード感を与える(1)、独特のメロディ・ラインが印象的な(3)など、曲調のバリエーション、音と声のバランスなども興味深い。