ガイドコメント
大ヒットを記録した前作『マッドマン』から約1年、ここでエルトンは初全米1位を勝ち取る。代表曲「ロケット・マン」「ホンキー・キャット」収録。フタ付き・エンボス加工ジャケを再現。
収録曲
01HONKY CAT
ガス・ダッジョン編曲によるR&B調のホーン・セクションを導入した陽気なポップ・ソング。スキップするように跳ねながら歌うエルトンのリズミカルなヴォーカルが素晴らしい。オリエンタル調のピアノやボードヴィル調のバンジョーも楽しい。全米8位のヒットを記録。
02MELLOW
タイトルの通り“メロウ”なラブ・バラード。敬愛する先輩レオン・ラッセルを思わせる曲想だが、これもまた彼の大好きなストーンズ風でもある。ジャン・リュック・ポンティのヒステリックなエレクトリック・ヴァイオリンのソロをフィーチャーしたのはエルトンらしい。
03I THINK I'M GOING TO KILL MYSELF
自殺を夢想する少年の独白を歌った風変わりなバラード。陽気なパートと陰気なパートとの落差が面白い。ガス・ダッジョンがエルトンには内緒でダビングしたレッグズ・ラリー・スミスのタップダンスも効果的。エルトンはとても歓び、スミスはライヴにも登場した。
04SUSIE (DRAMAS)
力強いリフが先導するミディアム・テンポのアーシーなロックンロール・チューン。エルトンならではの跳ねるようなリズム感覚が楽しめる。田舎を舞台にした歌詞はいかにもバーニー・トーピン。デイヴィー・ジョンストンのポスト・サイケデリック的ギター・ソロも面白い。
05ROCKET MAN (I THINK IT'S GOING TO BE A LONG, LONG TIME)
「科学なんて理解できない」とつぶやく宇宙飛行士を主人公にしたメロウなバラード。これまでの劇的なストリングスに代わって導入されたシンセサイザーの軽やかさが功を奏し、よりポップなサウンドで多くのファンを獲得した曲。全米6位、全英2位のヒットを記録。
06SALVATION
パワフルなクワイアをフィーチャーしたエルトン流ゴスペル・ソング。飢えた子供たちを救うための助けが欲しい、というシリアスな歌詞はまるでチャリティのためのキャンペーン・ソング仕様。ペダル・スティール・ギターの音色がサウンドに彩りを加味している。
07SLAVE
南北戦争以前の時代の米国南部で生きる黒人奴隷の独白を歌ったアーシーなバラード。ペダル・スティール・ギターやバンジョーをフィーチャーしたサウンドはニューオリンズ調。ザ・バンド風でもあるが、ストーンズ風でもあるスワンプ・ロック仕様の1曲。
08AMY
敬愛するレオン・ラッセルを思わせるアーシーなバラード。ヴォーカリストとしてのエルトンの成長を感じさせる意欲作。ジャン・リュック・ポンティのヒステリックなエレクトリック・ヴァイオリンのソロがフィーチャーされている。無数の音が飛び交う終盤の混乱状態も圧巻。
09MONA LISAS AND MAD HATTERS
マンドリンをフィーチャーしたドラムレスのサウンドが心地よいセンチメンタルなバラード。ニューヨークを舞台にしたエピソードの数々を歌うエルトンのヴォーカルはいつも以上に温かく感じられる。多くのファンに愛される曲であり、ライヴでは常に大合唱になる。
10HERCULES
当初“ハーキュリーズ”という名のカバの歌だったという風変わりなロックンロール。ドゥー・ワップ・コーラスとビーチ・ボーイズ風コーラスを同時に歌わせる大胆な荒技や、賑やかなスライド・ギターが効果的。ちなみにエルトンのミドルネームも“ハーキュリーズ”。
11SLAVE
驚くほど速いテンポで演奏される「スレイヴ」のロックンロール・ヴァージョン。アナログ時代なら回転数を間違えたかと思うほど速いが、実はこちらが原型。あまりにも速すぎるので、逆に死ぬほど遅く演奏してみたら、あの名曲「スレイヴ」が生まれたらしい。