ガイドコメント
74年にリリースされ、こちらも全米1位に輝いた。ビート・ボーイズのカール・ウィルソン、ブルース・ジョンストン、またダスティ・スプリングフィールドといった豪華ゲストが参加。
収録曲
01THE BITCH IS BACK
大好きなストーンズ・サウンドを継承した強力なロックンロール・チューン。エルトンの歌いっぷりも見事だが、帰ってきた“Bitch”が悪態を吐きまくる歌詞も最高にイカしてる。ライヴ・ヴァージョンやティナ・ターナーのカヴァーも要チェック。全米4位のヒットを記録。
02PINKY
アコースティックなサウンドが美しいチャーミングなラブ・バラード。ピアノ、アコギ、そしてレイ・クーパーのパーカッションが効いている。シンセサイザーの控えめな伴奏も良い。バーニー・トーピンならではの愛らしい歌詞とエルトンの優しいメロディも光る。
03GRIMSBY
英国北東部の港町、グリムズビーへのノスタルジックな想いを歌った曲。コーラスをフィーチャーしたミディアム・アップの賑やかな曲だが、テンポ・ダウンしたバラードのパートもあり、強い郷愁の念が伝わってくる。いかにもバーニー・トーピンらしい歌詞も良い。
04DIXIE LILY
ミシシッピ河を上るショーボードを歌ったエルトン版「プラウド・メアリー」。マンドリンやペダル・スティール・ギターをフィーチャーしたカントリー調のサウンドに乗って、牧歌的なメロディが陽気に歌われる。エルトン&トーピンらしい南部幻想曲のひとつ。
05SOLAR PRESTIGE A GAMMON
ナンセンスな歌詞とメロディで作られたナンセンスなポップ・ソング。歌詞を勝手に深読みして批判する連中へのアンチテーゼ。エルトンの意味不明な歌詞をカンツォーネ風のキザな歌い方と無表情なコーラスとで描写するさまが楽しい。
06YOU'RE SO STATIC
タワー・オブ・パワー・ホーンズをフィーチャーしたR&B調の曲。フラメンコなイントロが奇妙にうつり、フックや間奏もスパニッシュ風味。お楽しみの見返りに現金よりも高価な腕時計を欲しがるニューヨークの娼婦について歌っている。彼女がスペイン系なのか?
07I'VE SEEN THE SAUCERS
UFOに連れ去られた少年の独白を歌った曲。UFOを連想させるSEなども挿入されるが、基本的にはシリアスな展開のバラードで、エルトンもシリアスに歌っている。宇宙を飛び続けるUFOの中で「今夜の夕飯は何だろう?」と考える歌詞の一節がおかしい。
08STINKER
前科のある嫌われ者の自慢げなお喋りを歌った曲。この手のキャラクターから言葉を引き出すトーピンの能力は霊媒師ばりにリアリティがある。チェスター・トンプソンのオルガンをフィーチャーしたR&B調のサウンドが楽しめる。とりわけ終盤の熱気はライヴ仕様。
09DON'T LET THE SUN GO DOWN ON ME
ブライアン・ウィルソンの名曲を思わせる珠玉のラブ・バラード。ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンらのコーラスをバックに、エルトンが見事に歌い上げる。全米2位のヒット曲だが、91年にはジョージ・マイケルとのデュエットで全米・全英ともにNo.1ヒットを記録。
10TICKING
エルトンのヴォーカルとピアノ、デイヴィッド・ヘンツェルのシンセサイザーのみで演奏されたバラード。真面目な優等生だった少年が或る日突然、酒場で14人もの人々を殺してしまう不条理な物語を歌うドラマティックな大作。エルトンの多重録音コーラスも効果的。
11PINBALL WIZARD
自らも出演したケン・ラッセル監督の映画『トミー』(1976年)のサントラのために録音したザ・フーの名曲のカヴァー。オリジナルに勝るとも劣らない絶頂期のエルトンならではのパワフルなヴァージョン。エルトン・バンドの演奏も秀逸。全英7位のヒットを記録。
12SICK CITY
シングル「僕の瞳に小さな太陽」のB面収録曲。ニューヨークについて歌った狂騒的なポップ・ソングのひとつ。ツアーで訪れたNYをシニカルな視点から描いた歌詞がバーニー・トーピンらしい。大好きだけど住むことはできない、といった感情が込められているようだ。
13COLD HIGHWAY
交通事故多発地帯“魔のスポット”で事故死した友人について歌った、エルトン&トーピン版「デッドマンズ・カーヴ」。オルガンをフィーチャーしたR&B調のサウンドをバックに、エルトンが熱っぽく歌う。シングル「あばずれさんのお帰り」のB面収録曲。
14STEP INTO CHRISTMAS
エルトン&トーピンが書いたクリスマス・ソングの傑作。フィル・スペクターばりの“ウォール・オブ・サウンド”をバックに、エルトンが陽気に歌い上げる狂騒的なロックンロール・チューン。全英24位のヒットを記録。日本では1973年に来日記念盤シングルとして発表。