ガイドコメント
前作『ホンキー・シャトー』同様に全米1位を獲得した、73年リリース作品の再発盤。ここでは、「クロコダイル・ロック」が全米1位、「ダニエル」が全米2位とヒット・シングルを連発。
収録曲
01DANIEL
ラテン調のリズムが心地よいメロディックなバラード。同性愛の歌だという噂もあったが、実際にはベトナム戦争の帰還兵を主人公にした控えめなプロテスト・ソング。エルトンの優しい歌声とフルート仕様のメロトロン・サウンドが美しい。全米2位のヒットを記録。
02TEACHER I NEED YOU
女性教師に恋をした少年の気持ちを歌ったラブ・ソング。分厚いコーラスをフィーチャーしたキャッチーなフックがイカしてる。ボビー・ヴィーを意識したとエルトン自身が語っているように、1960年代前半のアメリカン・ポップ仕様のナンバー。
03ELDERBERRY WINE
ホーン・セクションをフィーチャーしたR&B調の曲。いまはいない妻(死別?)が作ったワインにまつわる想い出を歌ったミディアム・ナンバー。アルバム『ピアニストを撃つな』の中では地味な曲だが、佳作。全米No.1シングル「クロコダイル・ロック」B面収録。
04BLUES FOR MY BABY AND ME
西海岸を目指したグレイハウンドバスでの旅の想い出を歌ったバラード。2人の旅立ちを祝福するブルースがラジオから流れる。デイヴィー・ジョンストンのワウ・ギターとシタールが効果的。ポール・バックマスターのストリングスも素晴らしい。隠れた名曲のひとつ。
05MIDNIGHT CREEPER
ティナ・ターナーの名前も飛び出すR&B調のロック・チューン。エルトンのソウルフルなヴォーカルも見事だが、デイヴィー・ジョンストンのリード・ギターとホーン・セクションをフィーチャーしたファンキーなサウンドも飛びきりカッコいい。隠れた名曲のひとつ。
06HAVE MERCY ON THE CRIMINAL
「いとしのレイラ」ばりのスリリングなリフで幕を開けるドラマティックなバラード。哀れな囚人を描いた恐ろしい歌詞を、エルトンが剛柔自在のヴォーカルで劇的に表現してみせる。この曲のパワーを増幅させるポール・バックマスター編曲によるストリングスも圧巻。
07I'M GOING TO BE TEENAGE IDOL
友人でもあったマーク・ボラン率いるT・レックスにインスパイアされ、“ティーン・エイジャーのアイドル”になりたいと願う少年の夢想を歌った曲。ドリーミーなフックが効いている。ホーン・セクションもフィーチャーされているが、エルトンのファンキーなピアノが秀逸。
08TEXAN LOVE SONG
マンドリンとハーモニウムをフィーチャーした、アンプラグドなサウンドが心地よいカントリー調のバラード。新参者を嫌う頑固なテキサス男の独白を歌ったバーニー・トーピンらしい歌詞も楽しい。カントリーのスタンダード曲にもひけをとらない佳作。
09CROCODILE ROCK
ロックンロール黄金時代への素敵なトリップに聴き手を誘うロックンロール・チューン。パット・ブーンの1962年のヒット曲「スピーディ・ゴンザレス」など往年の名曲の秀逸な断片をちりばめた贅沢なサウンドが楽しめる。エルトンにとって初の全米No.1ヒットを記録。
10HIGH - FLYING BIRD
去っていった恋人を“高く飛ぶ鳥(「野心家」の意味もある)”にたとえた曲。コーラスを配したアンプラグドなサウンドをバックに、エルトンが情感を抑えたヴォーカルで見事に歌い上げる珠玉のロスト・ラブ・バラード。オールド・ファンの間でも評価の高い名曲。
11SCREW YOU (YOUNG MAN'S BLUES)
シングル「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」のB面収録曲。アメリカ盤では“Young Man's Blues”と改題された、英国の下層階級の人びとの暮らしについて歌った曲。前半は穏やかだが、荒れ狂うサックス・ソロをフィーチャーした後半のサウンドは狂騒的。
12JACK RABBIT
13WHENEVER YOU'RE READY (WE'LL GO STEADY AGAIN)
14SKYLINE PIGEON
オリジナルのハープシコードに代えてピアノをフィーチャーした1972年の再録音ヴァージョン。盟友バーニー・トーピンとの共作による最初期の名曲の魅力的な再演で、エルトンのヴォーカルとピアノが素晴らしい。シングル「ダニエル」のB面に収録された。