
近年のプライマル・スクリームから遠ざかっていたエモーショナルでポップなサイケデリック・ロックが、本作では見事に復活。ビヨーン・イットリングやスカイ・フェレイラ、ハイムらフレッシュ勢のゲスト起用もプラスに働き、ボビー・ギレスピーの歌も心なしか若々しい。11枚目のアルバム。★

前作『ビューティフル・フューチャー』からおよそ7年ぶりの通算10枚目。バンドのエンジンでありムードメイカーだったマニが抜け、紅一点ベーシストを迎えての本作は、ケヴィン・シールズやロバート・プラントをゲストに迎えてソウルフルかつアバンギャルドなサウンドに仕上がった。

2008年のメルトダウン・フェスティヴァルで実現した英米バンドの共演ライヴが、2枚組+DVDで登場。MC5はアリス・イン・チェインズのウィリアム・デュヴァル(vo)を加えた編成でともに約1時間ずつ熱い演奏を披露。目玉は両バンド総勢11名による5曲の合同演奏で、怒涛のエネルギーの放出に圧倒される。

セカンド・サマー・オブ・ラヴに沸いた91年の英国で、アシッド漬けになった彼らがアンディ・ウェザーウォールやアレックス・パターソン(ジ・オーブ)の協力を得ながら作り上げたサイケデリアの一つの到達点。リマスタリングを監修するのがマイブラのケヴィン・シールズというのも感慨深い。

ワーナー移籍第1弾となる2年ぶりの通算9作目。骨太な米南部風ロックンロールからダンス、エレクトロ、バラードなど、ある意味プライマルらしい“何でもあり”な内容だが、雑然とした感じはしない。作品全体に享楽的な雰囲気が漂うセクシーな傑作。

4年ぶり8枚目のアルバムは、かつてのストーンズを思わせるルーツ音楽に根差したロックンロール作。94年の『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』に近いが、歌や演奏に漲る活力や情熱、自然な感じは本作のほうが遥かに上。全ロック・ファン必聴。

フジロックも大成功、もはや“向かうところ敵なし状態”の彼らが去年、日本で行なったライヴを音源化。圧倒的な音圧とマニを中心に繰り出される重厚なグルーヴが、ライヴの臨場感そのままに封印された傑作だ。ケヴィン・シールズによるミックスが光る。

最新アルバム『イーヴル・ヒート』からの第2弾シングル・カット。(1)(2)はいいとしても、ビート感をより強調し、エキゾチックなムードを加えたリミックス(3)(4)がなかなかのもの。さらにはガレージ度アップのライブ音源(5)〜(8)も刺激的に響く。コンパクトにおいしい一枚だ。

一発目の音が鳴った瞬間、新作がヤバいことを確信した。時代性やトレンドを無視し、自身の悦楽だけを追求するエレクトリック・ビート。しかも、1曲で4つの味を求める貪欲さ。これだからプライマルズ(と書いて、ロックンロール快楽主義者と読む)は、最高にタチが悪い。★

最高傑作の呼び名が高い「xtrmntr」からの2ndシングル。マッシヴ・アタック、アンドリュー・ウェザーオールのリミックスや未発表曲、さらに、スクリーン・セイヴァ−も収録のメチャメチャ濃い内容だ。

早くも今年のベスト・ロック・アルバム最有力候補となったプライマルズの傑作。マイブラのケヴィン・シールズがミックスした(2)の滅茶苦茶カッコ良いハード・ロックを始め、ドラムン・ベース、ダブ、ファンクなど、リアルな今のロックとして重く鳴り響く。★

2000年1月登場予定の第6作『エクスタミネーター』からの先行シングル。ケミカル・ブラザーズの手によるミックスをはじめ、表題曲の4種のヴァージョンを収録。昔のユーロ・ディスコを超攻撃的に展開したかのような趣。大音量で聴いた時の刺激は保証。

ヨーロッパのサッカー熱は日本の比ではなく、サッカー選手権EURO96のためにアルバムが制作されたりする。この新曲も大会のために提供された書き下ろし。(3)は流行のポエトリー・リーディングで4文字言葉が連発されるが、心の叫びが伝わる好ナンバーだ。

名盤『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』からカットされたタイトル曲のほか、「ロックス」のライヴ・ヴァージョンや、クリス・ニーズ、ポーティスヘッド、ブレンダン・リンチという最高! の顔ぶれによるリミックスなどを収録したミニ・アルバム。

来日の興奮も醒めやらぬプライマルの最新シングルは、名盤『ギヴ・アウト、バット・ドント・ギヴ・イット・アップ』のオープニング・ナンバー「ジェイルバード」のリミックス・シングル。ダンサブルに、テクノデリックに生まれ変わった名曲を堪能せよ!

前作はハウスだったのに、今回はメンフィス録音で、60年代末のストーンズ風ダウン・トゥ・アース・ロックをやっている。わざわざトム・ダウドらを起用して、そこまではやらないだろう、普通。メッセージより深い批評性のあるバンドだと、音以上に主張する。

気がついてみれば、前作から3年も経っていた。アルバムごとにイギリスの音楽的時流を反映した音を展開しているが、ここではハウス転向へのキッカケとなった(7)をメインに、グルーヴ感溢れるロックンロールやコズミックなハウス・サウンドを聞かせる。3rd。

ガレージ・バンドさながらのチープなR&Rにサイケデリック調のノスタルジックなメロディが売りの彼ら。2年振りとなる本作(2nd)は、そのキャッチーな部分は残しながらもドロドロと湿った英国ロック特有の暗さを引きずっている。アナクロニズムが快感。

プライマルズ・ファン必携シングル登場だ。まったく原形をとどめていないマイブラのケヴィン・シールズによるタイトル曲のフリー・ジャズ風ミックス、古巣ジーザス&メリー・チェインのカヴァー(2)と、そのインスト(3)というマニアックな収録曲が最高!

『バニシング・ポイント』をまるごとダブ化しちゃったダブ・アルバム。エイドリアン・シャーウッドによるダブ・ミックスは比較的抑制の利いたものだが、ダビーな『バニシング・ポイント』以上にダビーな『エコー・デック』が気持ちよくないわけはない。

ケミカル・ブラザースがリミックスを行なったことで評判を取っている5作目『バニシング・ポイント』からのシングル。ダブっぽい処理がされた(1)と、そのリミックスもの(2)、タイトル通りにハモンド・オルガンを大フィーチャーした(3)など、尖がった感覚が心地好い。

97年のアルバム。巧い。ダブの質感を生かしつつ、きらびやかでダンサブルなロックに仕上げた。(9)はホークウインド/モーターヘッドでおなじみの曲。サイケデリックではなくサイケ風が好きな方は必聴であろう。表面的だからオシャレ。音作りには感心した。

アルバム『バニシング・ポイント』からピック・アップされたシングル。アーティスト・サイドの意向が強かった「コワルスキー」と、かろうじてラジオ・フレンドリーといえるかもしれない「スター」のカップリングだが、やっぱり彼らはアルバム・アーティストだろう。

プライマル・スクリームの『ギヴ・アウト〜』アウト・テイクではないか、と言われているのが(2)(3)。プライマルの連中が入っている。(1)は日本のみリリースの新曲。(4)は『ドープ・ドッグス』からこぼれたナンバー。ミニ・アルバムでも毒気がいっぱいだ。

87年発表のデビュー作。代表曲「ジェントル・チューズデイ」ほか、12弦ギターをきわ立たせた、フォークとサイケの融合を試みた楽曲が並ぶ。甘酸っぱい既視感を伴って展開される青年期特有の感傷と屈折を描いた世界が、リアルな痛みとして胸に突き迫る。

今聴くと、そういえばこんな頃もあったよなぁ、と思ってしまう。90年に発表された2枚のシングルをカップリングしたミニ・アルバム。ハウスに傾倒している本作を聴けば、彼らがいつの時代もやりたいことに忠実なバンドであることがわかるはず。

『スクリマデリカ』発表後に、バンドの精神的故郷ともいえるメンフィスを訪れ制作されたEP盤。最近の傾向として顕著なストーンズ・サウンドへの急接近を明け透けに露見した(1)(2)(3)、ハウスへの接触を見せる(4)、昨今の彼らの在り様を凝縮した。

おぉ、ライク・ア・ローリング・ストーンズ! 今年一番の話題となりそうなプライマル、ニュー・アルバムからの先行シングルがこれ。(2)(3)のミックスをジョージ・クリントンが担当しているが、そんな固い話はヌキにして、とにかくファンキーでいこう!

ストーンズ最盛期の名プロデューサー、ジミー・ミラーがプロデュースした2曲中1曲のシングル・カット。ニッキー・ホプキンス風ピアノはストーンズ風バラードを否応なく盛り上げるが、本物には遠くおよばない。(2)(3)のニュー・リミックスこそ彼らの真骨頂。