ガイドコメント
ヒット・アルバム『君の歌は僕の歌』と同年の70年にリリースされた3rdアルバムの紙ジャケット再発盤。シングルもなしに全英6位、全米5位を記録したというからすごい。
収録曲
01BALLAD OF A WELL-KNOWN GUN
多くのアーティストにカヴァーされたカントリー・ロック調の名曲。エルトンならではの心地よいグルーヴによるバンド・サウンドとゴスペル・クワイア調コーラスが素晴らしい。エルトンのピアノとカレブ・クエイのギターがこの名演を雄々しく先導している。
02COME DOWN IN TIME
若きエルトンのメロウな歌声が堪能できるロマンティックなラブ・バラードの名曲。ハープとオーボエをフィーチャーしたサウンドは聴き惚れるほど美しい。ドラマティックなストリングスも効果的。アル・クーパーやスティングによるカヴァーでもよく知られている。
03COUNTRY COMFORT
多くのカヴァーを生んだカントリー・バラードの名曲。ペダル・スティール・ギター、フィドル、マウスハープをフィーチャーしたサウンドも秀逸だが、やはりエルトンのヴォーカルとコーラス陣の歌声が素晴らしい。初めて聴いても懐かしく思えるメロディがここにある。
04SON OF YOUR FATHER
ジョゼフとヴァン・ブシェルという兄弟の衝突を描いた短篇映画のような曲。マウスハープを配したカントリー・ロック調の演奏に乗って、映像を喚起する西部の物語をエルトンが歌い上げる。粘り腰のリズムが心地よく、しかも最後には有り難い教訓もある。
05MY FATHER'S GUN
南北戦争時代の南軍の若者の独白を歌ったバラードの名曲。北軍との戦闘で死んだ父を埋葬し、今日から僕は父の銃を持つという秀逸な歌詞とゴスペル調のメロディとが絶妙なコラボレーションをみせる。エルトンとクワイア調コーラスの歌声が深い感動を呼ぶ。
06WHERE TO NOW ST.PETER ?
聖ペテロと魔術師マーリンが登場する神秘的なバラード。天国と地獄の間で目的もわからずにあがき続ける人間のジレンマを歌い、最後には悪い知らせと教訓が残される。エルトンの鮮やかなヴォーカルを巧みにサポートするワウ・ギターの響きが効果的。
07LOVE SONG
盟友レズリー・ダンカンが書いたラブ・バラードの名曲をカヴァー。レズリーが弾くアコギと彼女のハーモニー・ヴォーカルをフィーチャーしたシンプルな演奏をバックに、エルトンがつぶやくように丁寧に歌っている。楽しげな歓声などを含む牧歌的なSEの挿入も効果的。
08AMOREENA
アモリーナという女性との想い出を歌うロスト・ラブ・バラード。哀しげな歌声が印象的。のちにエルトンとは長い付き合いになるディー・マレーとナイジェル・オルソンのリズム・セクションが健闘している。ダウン・トゥ・アースなフィーリングが魅力的な佳作。
09TALKING OLD SOLDIERS
ピアノの弾き語りによるランディ・ニューマン風のバラード。「墓場が友達さ」と語る老兵に酒を奢る歌だが、妙にメランコリックな曲調が印象的。米国で共演した同業の友人デイヴィッド・アックルズに捧げられている。エルトンの表情豊かなヴォーカルが素晴らしい。
10BURN DOWN THE MISSION
物騒な曲名や歌詞の割には牧歌的に始まるバラードだが、後半には大いに盛り上がり、ピアノとパーカッションが躍る終盤のアップ・テンポのインストゥルメンタル・パートへとなだれ込む。その劇的な展開で初期のライヴでも人気のある曲のひとつ。
11INTO THE OLD MAN'S SHOES
12MADMAN ACROSS THE WATER
1970年に録音されたが91年まで未発表だった「マッド・マン」のオリジナル・ヴァージョン。デヴィッド・ボウイの右腕だったミック・ロンソンの奇抜なギター・ソロがフィーチャーされている。やや過剰すぎる感じもあるが、そこがまた曲の面白さとして映える曲。