
ハード・ロック界の伝説が放つ、最後のアルバムとも噂される通算20作目。リード・トラック「タイム・フォー・ベドラム」を耳にするだけで、70年代への回帰とも言えるスタイルに、オールド・ファンなら誰しも頷かされるだろう。プロデュースを務めたのはボブ・エズリン。★

時代を経て正当に評価された好盤だ。リッチー・ブラックモアの脱退を受け、元ディッキー・ドレッグスの技巧派ギタリストだったスティーヴ・モーズを迎えた96年作のBSCD2化。各人が自由に伸び伸びプレイするとともに、フラットな姿勢で新たなパープルを作ろうとする姿が刻み付けられている。

大御所UKバンドの美意識と技があますことなく出された、サイケデリックでもある1968年作。インスト・ヴァージョンやラジオ・セッション曲など、5曲のボーナス・トラックを収録。なお、紙のWジャケと帯は1969年日本初リリース時のものをそのまま再現している。

ご存知ディープ・パープルが2013年に行なったツアーのライヴ音源を集めたライヴ盤2枚組。名作『ファイアボール』『マシンヘッド』あたりの名曲をディキシー・ドレッグスの超絶ギタリスト、スティーヴ・モーズのギターで聴くというのも一興。「グリーン・オニオン」から「ハッシュ」への流れも面白い。★

デビュー45周年を迎えたディープ・パープルの約8年ぶりのスタジオ・アルバム。今作でもスティーヴ・モーズ(g)が加入して以降の洗練されたハード・ロック路線は変わっておらず、ポップなナンバーからプログレッシヴ・ロック的な曲まで、圧倒的な表現力でプレイされた深みのあるナンバーが並んでいる。

英国ハード・ロックの大御所がスイスのモントルー・フェスで行なった、オーケストラをビッグバンド的に起用したショウを収める2枚組作。誰もが知る超有名曲に加え、ちょっとニッチな選曲、スティーヴ・モーズ(g)主体のインスト、ドン・エイリー(key)のソロ・タイムなども楽しめる。

カンサスなどで活躍したスティーヴ・モーズ(g)加入後の第7期メンバーによる、96年と2000年、モントルー・ジャズ・フェスでのライヴ作。テクニカルな速弾きが得意のモーズの多彩なプレイを活かしたベテランならではの演奏で聴かせるロック名曲の数々は、パープル・ファンならずとも楽しめるはず。

2006年に40回目を迎えた“モントルー・ジャズ・フェスティバル”の大舞台で披露したパフォーマンスを収録の2枚組ライヴ盤。新旧取り混ぜた楽曲だが、いつになくプログレッシヴなアレンジを施し、観客を魅了する熱気がダイレクトに伝わってくる大御所らしい一作だ。

ディープ・パープルの2年ぶりのアルバム。ジョン・ロードが脱退後の2作目に当たるが、ハード・ロック的なスタイルを保持しつつも、どこか東洋的なメロディ・ラインをフィーチャーした楽曲が印象的。躍動感と勢いには欠けるが、じっくり聴ける点では悪くない。

ロッド・エヴァンス(vo)とニック・シンパー(b)を擁した第1期パープルの貴重音源やミックス違いを集めた編集盤。未発表曲はないが、これまでほとんどレア・テイクが出てこなかっただけに、マニア垂涎と言えるだろう。(9)が途中までなのが実に惜しい……。

第3期ディープ・パープルの貴重なライヴ音源がリマスター&紙ジャケで登場。リッチー・ブラックモア在籍時最後のパフォーマンス。とはいえ、リッチーのたたきつけるギターをはじめ、メンバーも客も大興奮状態。やっぱりDisc-2の(3)には燃える! 75年パリでの収録。

第2期グループのレアな音源を収録する『ライヴ・アンド・レア』(80年)の続編。BBCテレビ出演時のテイク、編集ヴァージョンなど、ほとんどが初登場だからファンは要チェックだ。貴重だが70年前後のロックの息吹、パワーが感じられる熱演でもある。

80年発表の第2期メンバーによるレア音源集が紙ジャケ仕様で再発。オリジナルよりハードさを増した(1)や、『イン・ロック』『マシン・ヘッド』制作時に録音されながら収録されなかった曲など、パープル・マニアには聴き逃せない曲が収められている。

第3期のパープル、最後のツアーを収録。完成度の高い第2期とは、また違った味わいの荒々しいライヴを展開。メンバー各人がエゴ丸出しのプレイを行ないながら、バンド全体としてそれがスリリングでテンションの高いパフォーマンスを生んでいる。かっこいい。

第2期〜4期(70年代)のライヴ・テイクを集めた新編集のCD4枚組セット。これまでになんらかの形で公表された音源ばかりだが、ベスト選曲的な内容でパフォーマンスの内容もそれぞれ悪くない。パープルの凄みを早わかりできる便利なライヴ・アンソロジーだ。

第4期パープルの76年米ツアーを収めたライヴの再発盤。ボーリンのファンキーなギター・プレイとカヴァーデイル、ヒューズのソウル指向が合致したパフォーマンスはリッチー在籍持とは違う面白味がある。このメンバーによるライヴ盤のなかではベスト。

リッチー・ブラックモアが去り、故トミー・ボーリンを加えた彼らの75年、武道館公演を収録したレア・ライヴ。トミー加入によりファンク色が強まった頃のステージに往年のパワーは削がれたが、それが当時のバンドの醍醐味でありマニア心を刺激する。

紙ジャケ再発シリーズの1枚だが、ファン注目! オリジナル盤(82年発表)未収録の「スペース・トラッキン」30分プレイを収めたCD2枚組にヴァージョン・アップした新装版だ。第3期ラインアップによる74年5月ロンドン公演の模様。丁寧かつ熱気あふれる演奏も麗しく。★

故トミー・ボーリンが新ギタリストとして加入した直後のスタジオ・リハ、ジャム・セッションの模様を収録したマニア向けのレア音源集(75年6月録音)。当時、彼らがリッチー在籍時とはまったく異なった音楽的アプローチを試みていたことがよくわかる。

70年11月にスウェーデンで行なわれた貴重なライヴ音源がひさびさに公式CD化。大ヒット・アルバム『イン・ロック』、つまり第2期パープル人気爆発直後の凄まじいプレイが、そっくりそのまま編集なしで聴けるというロック・ファンは悶絶必至の2枚組。驚愕の遺産だ。

イアン・ギラン加入前の第一期パープルの終わりを告げたサード・アルバム。クラシカルな要素とプログレッシヴなアレンジで幻想的な世界観を構築。日本においては初期作品の中で最も評価の高い一枚だ。原始的なビートが印象的な(1)などあらためて聴くとかなり新鮮。

68年末発表の2作目。ハード・ロックの基盤を築いた彼らは第2期が全盛期と言えるが、この第1期も当時、ミステリアスな部分があって魅力的だった。ニール・ダイアモンドやビートルズなどの作品を積極的にカヴァー。アート・ロック的なアプローチもみせる。

イアン・ギラン加入前のファースト(68年)。ジョン・ロードのソロから始まる(1)に、後年顕著になる大仰なアレンジの萌芽が見られるものの、演奏全体としてはまだまだポップ。クリームからの影響がうかがえるのがほほえましい。リッチー・ブラックモアのギターも若さ爆発。

70年にロンドンで行なわれたパープルとライト・ミュージック・ソサエティー・オーケストラとの共演ライヴ。当然作曲者のジョン・ロード好みのクラシック色が強いが、各メンバーの個性を活かしたソロ・パートもフィーチャーされて熱のこもった演奏が聴かれる。

74年の米巨大フェス出演の模様を収める歴史的ライヴ・アルバム。所謂第3期パープルの始動間もない頃の演奏は、30年前とは思えない凄まじいエネルギーに満ちている。デジタル・リマスター&紙ジャケ再発シリーズの一枚で、ボーナス1曲追加が嬉しい。

最強の布陣と言われた第2期ラインナップによる72年、コペンハーゲンのライヴが紙ジャケ仕様により初CD化。とはいえ、これは映像も商品化されているだけにマニア・アイテムか。ただ、名盤『マシン・ヘッド』発表時ゆえ、アドリブ満載のプレイが圧巻。

荘重なキーボードからギター・リフへとなだれ込む展開。イアン・ギランのメタリックなヴォーカル。いまや形骸化したハード・ロックのお約束も、このライヴ音源が録音された70年初頭は十分大した“発明”だった。デジタル・リマスタリング。しかも完全収録は今回が初。

全盛期のメンバーによってリユニオンされて以降のベスト盤。84,87,88年に発表された3枚のアルバムから編集。(4)(9)(10)は往年の名曲のライヴだが、同じメンバーによる再録でも手応えはかなり変わっていて、バンドの姿勢が変質しているのがよく納得できます。

ベスト盤。ハード・ロックだろうが、ハードコアだろうが、時代の新旧とか、そんなことはどうでもよい。ここには葛藤と挑戦と悲哀と勝利があり、少なくとも今の俺の心を捕らえるのだ。そういや去年、4tを運転してサバスを聴いたら本当に頭が変になった。

87年のワールド・ツアーを収録した再結成パープルのライヴ盤。当時アナログ盤のみに入っていた3曲も収録。『メイド・イン・ジャパン』ほどの緊張感はないが、余裕を持った遊び心ある構成や、各人の職人芸は聴き応えたっぷり。ブラックモアはすごい! のひとこと。

99年9月に行なわれた、ロンドン・シンフォニー・オーケストラとの共演ライヴ。元気の良いロックンロールもあるが、俺は全体から余裕となごみ、そしてある種の到達感を感じとり、天に昇った人を見るようで寂しい気も。演奏が“立派”なだけになおさらです。

全盛期のメンバーによってリユニオンされて以降のベスト盤。84,87,88年に発表された3枚のアルバムから編集。(4)(9)(10)は往年の名曲のライヴだが、同じメンバーによる再録でも手応えはかなり変わっていて、バンドの姿勢が変質しているのがよく納得できます。

再結成後の2作目。ハード・ロックでもへヴィメタのハチャメチャなドラマ志向とは一味ちがった、ベテランらしいポップなロックに仕上がっている。あのリッチー・ブラックモアがひかえめなんだから。でも全体にやっぱり70年代中盤という感じが漂うのがよい。

ヘヴィメタでなくハード・ロックの頃を彷彿とさせる王者の復活。この音を聴くと相変らずグループが続いてきたかの如く錯覚する。リッチーのギターも、I.ギランのヴォーカルも、I.ペイスのドラムも皆同じだ。彼らがロックの王道であり続ける証拠でもある。

デビュー以降、ギタリストがリッチー・ブラックモアからトミー・ボーリンに交代する第4期まで(68〜76年)を集大成したベスト。ライヴを中心にインストなどを収録。マニアックな内容かもしれないが、当時の勢いを感じさせる演奏が堪能できる。

ディーブ・パープルの作品の特徴は「様式美」であると言われている。みごとな起承転結で、ロックを超えたシアトリカルな大きさを感じさせた。この10枚は、アルバム・タイトルがそのまま中身を象徴している。つまり、『イン・ロック』とか『詩人タリエシンの世界』とか、タイトルから想像出来る音楽にいつわりなしである。最大のヒット曲“スモーク・オン・ザ・ウォーター”を含む『マシン・ヘッド』が有名だ。スイスのモンタレーのホテルに、レコーディング・ユニットを持ち込み録音したといういきさつも、当時は話題になった。ライヴ感覚を出すためだそうだが、その頃から音に対する気配りには定評があった。

第一期のパープルは、基本的にはハード・ロック・グループであったが、アート・ロックやプログレッシヴ・ロック的な要素を多く秘めていた。(7)などは良い例で三部構成で生楽器をクラシカルに多用した叙情的なナンバー。プログレッシヴ・ファンにもお勧め。

68年の『ハッシュ』から98年の『アバンドン』まで、バンド30年の歴史を、レーベルを超えて集大成した究極のボックス・セット。日本盤初収録となる5曲を含む未発表曲も満載、とさすがはライノ編集。ロックをわかりやすく提示した功績大、と再認識させられる。

元レインボーのジョー・リン・ターナー(vo)を迎えての再結成第3弾。前任イアン・ギランの粘りのあるノドに比べてジョーはあくまでストレートでメロディ派。で、アルバム全体もマイルドな仕上がりだ。良くも悪くもレインボーを彷佛させるのは仕方がないか。

米国人ギタリストのスティーヴ・モーズを新メンバーに迎えた、“新生パープル”の第1弾。ブルース・ロックやカントリー・ロック的なアプローチが印象に残る、従来のパープルとは一線を画するサウンドを満載した、ファンの賛否も分れそうな問題作だ。

大胆なメンバー・チェンジを繰り返しながら時代と格闘してきた彼らのBMG移籍後初のベスト・アルバム。ジョー・リン・ターナー(VO)をフィーチャーした名曲「キング・オブ・ドリームス」や歴史に残る(11)もライヴ・テイクで収録。90年代を振り返るベスト盤。

デビュー25周年を記念した3枚組ベスト。本邦初CD化によるシングル・ヴァージョン/未発表曲を含んでいるのが目玉だ。もっとも、彼らはアルバム単位のバンド。シングル用の音源は尻切れトンボみたいで味気ない。ビギナーとマニアにおススメの作品だ。

パープルの周辺アーティストを集めたオムニバス。エルフやムーディ・マースデン・バンドまで入れてしまうのはどんなもんかと思うが、コアなパープル・ファンでないと、なかなか聴く機会のないものが多く、楽しめる。サウンドもバラエティに富んでいる。

結成30年を祝した2枚組ベスト。オルタナ的視点で語らせてもらえば、特にジョン・ロードが主導権を握った時代は、ピストルズやデッド・ボーイズやスイサイダル・テンデンシーズに通じる曲もあり、ハード・ロックを超えた影響力を感じる。多くの曲がリマスター。

91年に英国でCD用に編集された2枚組ベスト盤。76年に解散するまでの彼らの代表曲が網羅された内容で、収録時間の問題上、数曲のラストの部分が数分カットされているが、選曲はなかなかだし、詳細な英文解説(日本語訳つき)も実に読みごたえがある。★

彼らは基本的にアルバム主体のバンド。が、その一方でこまめにシングルも発表していた。そのため、シングルのみのヴァージョンなど、貴重音源も少なくない。これはそうした音源を集めたシングル集。代表曲とレア・トラック集を兼ねた編集盤として価値ある一枚。

ロック史に残る名盤として知られる、72年8月の初来日公演の実況盤のリマスター盤。ディスク[2]の(1)と(3)は2年前に出た同公演の3枚組完全版にも入っていない、今回が初CD化という貴重な音源で、その2曲のために手を出しても損のない傑作だ。

アルバム・コレクションに引き続き、結成30周年記念オリジナル・シングル・コレクションが登場だ。70年代にリリースされたアナログ・シングル盤をマニアを唸らせるほど忠実にCD化。ロック・スタンダードを連発した色褪せることのない彼らの黄金時代。

ギタリストにスティーヴ・モーズを迎えてから2作目となる新作。彼の加入で若干サウンドの質感が変わったが、4人のコンビネーションは前作以上に強固になっている。何より伸び伸びとしているのが印象的だ(『イン・ロック』収録の(12)を再演)。

カヴァーデイルをフロントに置いた第3期パープルのライヴ。同期の代表曲を中心に、エイヤって感じのパフォーマンス。ジェフ・ベックもやってた非オリジナルの「ゴーイン・ダウン」がなんか楽しそうだなあ。75年初頭、オーストリアとフランスでの録音。

伝説と呼ぶにふさわしいライヴの完全盤の登場。3枚組で日時違いの公演が各盤単位で収録、1セットで3回美味しい内容だ。彼らならではのアドリブの妙や選曲違いがテンコ盛りだ。全貌明らかとは必ずしもいえないが、ステージの臨場感を味わうには十分。

再結成間もない頃の作品を集めたコンピレーション盤。メンバー間の愛憎劇は未だ話題のタネであるが、この時期の彼らがやっぱり心機一転ということもあり、楽曲にも余裕と緊張感がみなぎる。代表曲(6)(7)は共に80年代のライヴ・ヴァージョン。念のため。

デビュー25周年を記念した3枚組ベスト。本邦初CD化によるシングル・ヴァージョン/未発表曲を含んでいるのが目玉だ。もっとも、彼らはアルバム単位のバンド。シングル用の音源は尻切れトンボみたいで味気ない。ビギナーとマニアにおススメの作品だ。

ディープ・パープル結成25周年ということで、黄金期と呼ばれる第2期のメンバーで制作されたのが本作。なんだか、どこかで聴いたようなメロディーのオン・パレード、それになによりリッチーのギターに元気がないのだ。無事、続いてくれるといいのだが…。

ロジャー・グローヴァーを中心としたパープル・ファミリーによるプロジェクト作2組をパッキング。両作に共通していえることはクラシカルな要素を踏まえながらアルバム全体に大作感を漂わせていること。職人派ならではの重量感が貫禄となって押し寄せる。

有名な『メイド・イン・ジャパン』より2年前の70年に、ストックホルムで録音されたライヴ。ブートレッグの匂いもするが、「ディープ・パープルのライセンス」とクレジットされている。はっきりいって、今頃、出すに値しないスカスカの演奏で録音状態も悪い。

イアン・ギランが在籍していた第2期パープルの未発表集、77年のアルバムだ。アルバムの性格上トータル性はないけれど、でも通常のイメージからは想像できない様々な側面がうかがえる。特に3曲のライヴ・テイクは、大きな聴きもの。

リッチー・ブラックモアの後を継いだギタリスト、トミー・ボーリンの追悼盤になってしまった武道館ライヴ。全体のテンションの高さはさすがだが、トミー自身この時腕を寝違えたとかで万全の調子じゃなく、プレイにやや精彩を欠いているのが残念だ。

R・ブラックモア脱退直前の75年4月のパリ公演を中心に構成された第3期パープルのライヴ盤。第2期から受け継いだハード・ロック路線と新メンバーのソウル趣味が合体した時期の演奏だが、名盤『ライヴ・イン・ジャパン』とはひと味違う展開が楽しめる。

伝説の第2期パープルのお披露目となった記念すべきアルバム。ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとの斬新なコラボレイションはロック史上革命的な試みだった。いわゆるヘヴィ・ロックの様式美とは本作を境に浸透し始めてきたといえる。

第一期のパープルは、基本的にはハード・ロック・グループであったが、アート・ロックやプログレッシヴ・ロック的な要素を多く秘めていた。(7)などは良い例で三部構成で生楽器をクラシカルに多用した叙情的なナンバー。プログレッシヴ・ファンにもお勧め。

元レインボーのジョー・リン・ターナー(vo)を迎えての再結成第3弾。前任イアン・ギランの粘りのあるノドに比べてジョーはあくまでストレートでメロディ派。で、アルバム全体もマイルドな仕上がりだ。良くも悪くもレインボーを彷佛させるのは仕方がないか。

好評のリマスター・シリーズにいよいよ72年の最高傑作が登場。ワーキング・テープが保管されていなかったため、既発分のような未発表曲/完全別テイクはなしというのが残念だが、代わりにまるまるリミックスの1枚をフィーチャー。アルバム未収の(8)も貴重。

S.モーズ(g)を迎えた新生パープルのパリ公演を収録したライヴ盤。欧州では絶大な支持を得る彼ら、ここでもそのパリっ子の熱狂的な声援を後ろ盾にベテランならではの演奏を披露。特に各曲に挿入された小粋なアドリブは職人芸で最大の聴きどころ。

最強の布陣と言われた第2期パープルの71年度作の発売25周年記念盤。新たにリマスタリングを施したほか、9曲ものアウト・テイク、リミックス、シングル・テイクを追加収録、作品の全体像に肉迫。クリアなサウンド処理が70年代初期の空気をリアルに再現。

ディープ・パープルの珍しいライヴ作品。イアン・ギランが、初期の作品で味を出す69年の録音からカヴァーデール時代の76年まで時期が散っているのが玉にキズだが、音質が今イチな分は、演奏のテンションが補ってくれる。ファンには興味深い1枚だろう。

『イン・ロック』の発売から25周年ということで、全曲をリミックス、さらに未発表テイクなどを加えた記念盤。音質の補正により、さらに奥行き感と迫力を増したサウンドは、当時のパープルが持っていた圧倒的なエナジーをリアルに伝えてくれる。

D.カヴァーデイル、G.ヒューズを迎えた第3期パープルの74年ライヴ盤。カリフォルニアの屋外会場を舞台にアドリブ満載のプレイが圧巻。当時、ブルージーな方向に進みつつあった過度期の彼らを捉えている。以前から映像化もされている定番アイテム。

英ハードの代名詞として駆け抜けたメンバーたちのソロ・ワークを集約したオムニバス盤。ただ、御大の曲が多く、家族構成がボヤけたのにはやや不満が残る。基本的にはレア・トラックを収録しているが、全体的には中途半端な不完全燃焼で終わっているのが残念。

新しいギタリストを迎え、ニュー・アルバムを発表したばかりのディープ・パープル。彼らの黄金期、第2期から第4期のナンバーをライヴ音源を中心に収録したのが本作。時をへた今でも色褪せることのない数々の名曲が、ライヴならではの迫力で楽しめる。

米国人ギタリストのスティーヴ・モーズを新メンバーに迎えた、“新生パープル”の第1弾。ブルース・ロックやカントリー・ロック的なアプローチが印象に残る、従来のパープルとは一線を画するサウンドを満載した、ファンの賛否も分れそうな問題作だ。

レインボー復活でまたまたパープル人気再燃の最中に組まれたベスト。結成25周年記念のボックス・セットのオムニバス的な内容だが、70年代に発表となったハード・ロックの古典が凝縮されている。シングル、モノラル・ヴァージョン収録がマニア心をくすぐる。

故トミー・ボーリン在籍時のディープ・パープルのライヴ。貴重だということ、懐かしいということ以外には何もないという気もするが、マニアックなブートレッグの正規盤(?)と思えば許せるかな。でもパープルはこんなもんだと思って欲しくない。

70年のジェミニ組曲初演のライヴを収録。共演はライト・ミュージック・ソサエティ・オーケストラ。「イン・ロック」や「マシン・ヘッド」と同時期にこのような試みが行なわれていたことに改めて驚かされる。ロード色が強いが、他のメンバーの力量もさすが。

ロジャー・グローヴァーのソロ・プロジェクト色の強い『バタフライ・ボール』とエディー・ハーディンが中心となったセッション・アルバム『ウィザーズ・コンベンション』のベスト・テイクを収録。それがこんなタイトルになっちゃうのだから世の中不思議だ。

69年、70年のI.ギランが在籍した第2期パープルのライヴ・テイクが中心のレア・テイク集。全盛期の彼らの代表曲をほぼ網羅した選曲はレアじゃなくベスト盤志向。5曲を占めるBBCでのライヴなど音質はまずまず。当時を反芻するのも悪くない。

看板ギタリストのリッチーが脱退する直前の93年秋に行なわれたヨーロッパ・ツアーの実況盤。日本盤のみ3曲多く、選曲もベストといえる内容だが、イアン・ギランのヴォーカルがもうよれよれで、これではパープルを去ったリッチーの気持ちもわかる気がする。

日本中でファンがひっくり返ったリッチー脱退事件を考えるとタイミングをハズした感はあるが、このアルバムはイアン・ギラン加入前の第1期のもので、限りなくプログレに近いプレイそのものは楽しめる。この頃はジョン・ロードが主役だった…。

全盛期のメンバーによってリユニオンされて以降のベスト盤。84,87,88年に発表された3枚のアルバムから編集。(4)(9)(10)は往年の名曲のライヴだが、同じメンバーによる再録でも手応えはかなり変わっていて、バンドの姿勢が変質しているのがよく納得できます。

ディープ・パープルほどベスト盤やライヴ盤が多いバンドも珍しい。つまり何を発売しても売れるからだろう。本作品は80年にアナログ盤で発売済みだが、未発表の曲を入れたり、ヴァージョン違いでアクセントをつけている。どうしても手が出ますよね。

再結成後も何かとお家騒動が絶えぬ彼らだが、本ベスト盤には文句なく彼らの最高傑作ばかりが収録されている。どの楽曲もハード・ロックの古典に匹敵するもので、ムダな曲など一曲もない。まさに、フグの様なCDだ、といったら彼らに失礼か。でも味は絶品。

パープルのI期〜III期の代表作を集めた。といっても、あんまり頭を使わずに構成されちゃったね的内容で、ファンにとっては「なんでこうなるの?」と文句のひとつもでそうだ。とりあえずの入門編と考えれば、それはそれで楽しめるとは思うけどねぇ。

第2期ディープ・パープルの5人によりスイスはモントルーで録音された'72年の傑作アルバム、絶頂期のイアン・ギラン(vo)、リッチー・ブラックモア(g)のコラボレーションが「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」などから窺える。

『ディープ・パープル・イン・ロック』('70)は、ロックとクラシックの融合を目指すプログレ方面のバンドだったパープルがハード・ロック・バンドに生まれ変わった記念碑的アルバムで、『マシン・ヘッド』と並ぶ第2期パープル(つまり全盛期)の最高傑作。特に(3)は名曲だ。当時のアマチュア・ミュージシャンにとって、パープルは必修課目であり、『ディープ・パープル・イン・ロック』は教科書だった。『紫の炎』('74)は、第3期の代表作。新メンバーのデヴィッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズは、プル・サウンドにブルージーでソウルフルなフィーリングを加味した。原題の“BURN”は後にヘビメタ専門誌の誌名となり、タイトル曲(1)はその雑誌のCMソングとして今もお茶の間に闖入し続けている。

ディーブ・パープルの作品の特徴は「様式美」であると言われている。みごとな起承転結で、ロックを超えたシアトリカルな大きさを感じさせた。この10枚は、アルバム・タイトルがそのまま中身を象徴している。つまり、「イン・ロック」とか「詩人タリエシンの世界」とか、タイトルから想像出来る音楽にいつわりなしである。最大のヒット曲“スモーク・オン・ザ・ウォーター”を含む「マシーン・ヘッド」が有名だ。スイスのモンタレーのホテルに、レコーディング・ユニットを持ち込み録音したといういきさつも、当時は話題になった。ライブ感覚を出すためだそうだが、その頃から音に対する気配りには定評があった。

以前、アナログ盤で発売されたが、その後廃盤となっていた彼らのライヴ、未発表曲集、計3タイトルがCDとして再登場。『イン・コンサート』は黄金の第2期パープルのライヴを収録。加えて、『ライヴ・アンド・レア』も、2期のライヴ、未発表曲をコレクト、とりわけ『イン・コンサート』は、『イン・ジャパン』には及ばぬが充実した演奏が堪能できる。また、リッチー脱退寸前の『イン・ロンドン』では、新顔D・カヴァーデル(vo)のソウルフルなノドをフューチャー、ぎこちないがスリリングな臨場感が伝わってくる。

再結成後の2作目。ハード・ロックでもへヴィメタのハチャメチャなドラマ志向とは一味ちがった、ベテランらしいポップなロックに仕上がっている。あのリッチー・ブラックモアがひかえめなんだから。でも全体にやっぱり70年代中盤という感じが漂うのがよい。

ヘヴィメタでなくハード・ロックの頃を彷彿とさせる王者の復活。この音を聴くと相変らずグループが続いてきたかの如く錯覚する。リッチーのギターも、I.ギランのヴォーカルも、I.ペイスのドラムも皆同じだ。彼らがロックの王道であり続ける証拠でもある。