収録曲
01ジャコビニ彗星の日
夜空を思わせる静かなエレピ・フレーズで始まるミディアム・ナンバー。恋人との関係が自然消滅する過程の寂しい心情がテーマ。モチーフとなっている1972年のジャコビニ流星群は、予想に反して大出現はしなかった。
02影になって
微妙にバウンスするグルーヴが心地良い、スムージーなポップ・チューン。霧の立ち込める真夜中の街路樹の影を“優しい”と感じるなど、ユーミンの鋭い感覚が際立つ。シンセやギターのスタイリッシュなソロも聴きどころ。
03緑の町に舞い降りて
元気をくれる町、盛岡を歌ったナンバー。風のように軽やかなメロディに乗せて、空港に降り立つ時のトキメキや五月の美しい自然を描写。空港も“銀河の童話”の作者・宮沢賢治の出身地も、厳密には隣の花巻市になる。
04DESTINY
05丘の上の光
初夏の夕暮れ時に恋人と自転車を走らせる、青春の1ページのようなスロー・ナンバー。その瞬間に実感した彼への愛が永遠であることを願う、健気で純粋な心が綴られる。独特の美しさを秘めたサビのメロディが印象的。
06悲しいほどお天気
8thアルバムのタイトル曲。美術の道を目指していた若かりし頃を思い返すナンバー。ユーミン特有の浮遊感のあるメロディやジャジィなヴィブラフォン・ソロなどが聴きどころ。かつての恋人への歌とも解釈できる。
07気ままな朝帰り
10代を懐かしく思い返す軽快なポップ・ナンバー。ベースは失恋ソングだが、今は朝帰りもできるほど自由だということにテーマが置かれている。“気ままな”雰囲気を演出しているパーカッションや口笛が心地良い。
08水平線にグレナディン
雪も降る寒い冬の海原を進む船をモチーフにした幻想的なナンバー。一部、声が裏返るなど存在感のあるヴォーカルや間奏のベース・ソロなどが聴きどころ。共通した雰囲気を持つ“リリィ・シュシュ”時代のSalyuが好きな人にもおすすめの1曲。
0978
タロットをモチーフにしたファンキー・チューン。スケールの大きい歌詞やキャッチーなサビ、上田正樹によるソウルフルなしゃがれ声のバック・コーラスなど、聴きどころ満載。“78”とはタロットのフルデッキの枚数。
10さまよいの果て波は寄せる
8thアルバム『悲しいほどお天気』を締めくくる壮大なバラード。悩んだり傷ついた“私”を黙って見守ってきてくれた母なる海を高らかに歌い上げる。ポジティヴな曲で終わるのは、3rdアルバム『COBALT HOUR』以来。