ミニ・レビュー
ユーミンの最新アルバムです。荒井由実時代のユーミンを思わせる情景が浮かぶ曲があったりと、高いレベルを保ってアルバム造りをしているのはさすが。ファースト・アルバム『ひこうき雲』へ大きく廻って戻っていったような“女心”が歌われているようです。
収録曲
01もう愛は始まらない
アルバムのオープニングを飾るハード・ロック・ナンバー。恋人との別れを固く決意する歌で、ユーミンのパワフルなヴォーカルを堪能できる。“Dadida?”と合唱する部分はややベタではあるが、ライヴ映えする。
022人のストリート
リズミカルなアンサンブルが特徴的なミディアム・ロック。道路のど真ん中に車を放置したまま喧嘩する仲の良いカップルを描いた微笑ましいナンバー。イントロにエンジンのような音を入れるなど、遊び心も忘れていない。
03BABYLON
大都市を幻想的に描いたナンバー。故郷を離れて都会で暮らす女性が夜明けのビル街を通して、夢のような毎日を送っている自分を実感する。笛のかすんだ音色など、ファンタジックなサウンドが特徴的。1番の押韻にも注目。
04SUGAR TOWNはさよならの町
大雪の朝の別れを歌ったポップ・チューン。未練の言葉をかけるも、自分の元を恋人が去ってしまう悲しいストーリーだが、サウンドは極めて明るい。YMOの影響を感じさせるテクノ・ポップ風のアレンジが特徴的。
05メトロポリスの片隅で
シングルとしてリリースされた軽快なポップ・ナンバー。朝、恋人と別れたばかりのOLが仕事で気を紛らすうちに次第に元気になっていく姿を描く。キャッチー極まるメロディが魅力の“働く女性応援ソング”。
06月夜のロケット花火
ファンキーなワウ・ギターで始まるポップ・チューン。夏休みの最後に海辺で仲の良い友人らとロケット花火を打ち上げる、青春の1ページ。オリビア・ニュートン・ジョンを彷彿とさせるカラフルなアレンジが特徴的。
07シンデレラ・エクスプレス
「悲しいほどお天気」を彷彿とするような、必殺のAメロ・フレーズがとにかく最高。随所にファンキーな“キメ”を用意しつつ、それでいて穏やかな印象を崩さないナイス・メロウな節回しが彼女らしい。
08青春のリグレット
80年代らしいピアノのコード弾きで始まる、ストレートな8ビート・ロック。青春時代の恋人との別れを後悔する切ない歌。Bメロ前のクロマティックなコード・アレンジや軽快なサックス・ソロなどが聴きどころ。
09たとえあなたが去って行っても
アルバムを締め括るシャッフル基調の力強いロック・ナンバー。恋人と別れてでも自分の信じる道を進む女性の歌。勇ましいコーラスとの掛け合いや“Soldier(兵隊)”という表現などから、固い決意が感じ取れる。