ミニ・レビュー
69年発表の初期ベスト・アルバム第2弾。同年に急逝したブライアン・ジョーンズに捧げられており、有名曲満載の全11曲は入門編としても重宝されるはず。DSDリマスターによる直輸入デジパック再発盤に日本語解説を封入。六角形ジャケではありません。
ガイドコメント
米国では(英国でも、だが収録曲は違う)1969年9月にリリースされたベスト・アルバム第2弾。同年7月にオリジナル・メンバーのブライアン・ジョーンズが急逝し、本作は彼に捧げた作品。
収録曲
01PAINT IT, BLACK
英米チャートを制覇した英国ラーガ・ロックの金字塔。失恋の痛手を描いたメロディと歌唱に、エキゾティックなシタールとブンブン唸るベースが禍々しく味つけ。狂おしい曲調が心の闇の部分を触発しまくる名曲だ。
02RUBY TUESDAY
ジャガー=リチャーズが新たな領域に踏み込んだ意欲作。ブライアンのフルートとリコーダーをフィーチャーしたアコースティックなサウンドをバックに、詩を読むように歌うミックのヴォーカルとコーラスが美しい。全米チャートでNo.1ヒットを記録している。
03SHE'S A RAINBOW
ニッキー・ホプキンスのピアノが先導するサイケデリック・バラードの名曲。女性コーラスを引き連れたミックのヴォーカルがとても力強い。ジョン・ポール・ジョーンズ編曲の劇的なストリングスも効果的。シングルは全米チャートで22位のヒットを記録した。
04JUMPIN' JACK FLASH
イントロのギター・カッティングに、ロックンロールの何たるかが詰まっている名曲。世間一般で言う一体感とはまた違う、微妙に歩調の合わないルーズなグルーヴが絶品。特撮ヒーローの必殺技みたいな曲題もセンス抜群。
05MOTHER'S LITTLE HELPER
ピルや母娘間の世代ギャップなど、当時のポップ・ソングとしてはかなり異色となる題材を取り上げた哀愁漂うナンバー。終始深刻な雰囲気で進行しつつ、なぜか最後は元気に掛け声で幕。12弦ギターの音色も絶妙だ。
06LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER
ジャガー=リチャーズの会心作。イアン・スチュワートのピアノが先導する当時最新型のストーンズ流ロックンロール。ミックの饒舌なヴォーカルとポップなコーラスが性的な歌詞を陽気に、そして攻撃的に歌いまくる。全英チャートでは3位をヒットを記録。
07HONKY TONK WOMEN
ルーツ音楽への敬愛を忘れない彼らならではの古くて新しいムードの土臭いロックンロール・ナンバー。ミック・テイラー加入後最初のシングル曲は、完璧に近い完成度で、その後の黄金時代到来を高らかに告げている。
08DANDELION
イギリスに伝わる“タンポポ占い”を題材にした乙女チックでドリーミーな佳曲。ハープシコード、メロトロン、オーボエなどの音色で鮮やかに彩られた曲調は、サイケデリック・ポップ時代の香りを今でも届けてくれる。
092000 LIGHT YEARS FROM HOME
宇宙の旅を歌ったサイケデリック・ソング。ブライアンが奏でるメロトロンとハープシコードに彩られたドラッギーなサウンドが聴き手を幻想の宇宙へと誘う。意外にもキースのお気に入りの1曲で、89〜90年のストーンズのツアーではセットリストに加えられた。
10HAVE YOU SEEN YOUR MOTHER BABY, STANDING IN THE SHADOW?
演奏のほどよきヘタウマぶりと、適度な大衆性、そして不良性の同居。当時の彼らの魅力のすべてが詰まった見事な実況録音版。同時代のガレージ・バンドがストーンズの後を追った理由がよく分かるパンクな演奏ぶり。
11STREET FIGHTING MAN
60年代後半のキナ臭い空気を象徴する名曲。ドラムスとマラカスが刻むリズムに、ブライアンのシタールやタブラ、キースとデイヴ・メイスンのギターなどが絡むサウンドがとても新鮮に響く。ミックのヴォーカルも雄々しいし、隠し味のピアノも効いている。