ミニ・レビュー
前記の「赤盤」では初期の躍動感と中期の叙情性が凝縮されているのに対し、こちらの「青盤」では中期の前衛性と後期の円熟味が味わえる。と一言でまとめてしまうのは実はかなり無謀だが。少なくともポピュラー音楽に関心のある人はやはり2枚とも聴かないと。
ガイドコメント
『1962〜1966』『1967〜1970』としてよりも“赤盤”“青盤”として知られている編集盤。シングルを発売順に並べ、間にポツポツと人気曲を挟んである。手始めにこの2枚からビートルズを聴きはじめる人も多い。ともに73年4月発表。
収録曲
[Disc 1]
01STRAWBERRY FIELDS FOREVER
1967年2月発表。ジョン・レノンが育った家の近くにあった救世軍の施設を取り上げたナンバー。レコーディングを重ね、さまざまな技術を駆使した不思議なサウンドはサイケデリックの先駆けともなったことで知られる。
02PENNY LANE
03SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
04WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS
05LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS
“ダイヤモンドのルーシーは空の上”というジョン・レノンによる幻想的なポップ・ナンバー。三部構成によるもので、曲の途中でインドの楽器シタールが被さってくるといった、東洋風の味付けがサイケデリックだ。
06A DAY IN THE LIFE
名盤『サージェント・ペパーズ〜』の最後を飾るダイナミックな大曲。ジョン・レノンとポール・マッカートニーが作った歌をつなぎ合わせ、さらにオーケストラを使って徐々にキーをあげてゆき、最後にピアノの強打で終わる。
07ALL YOU NEED IS LOVE
08I AM THE WALRUS
09HELLO GOODBYE
10THE FOOL ON THE HILL
11MAGICAL MYSTERY TOUR
1967年発表。ビートルズ自らが製作したTV用同名映画の主題歌。これから始まる不思議な旅、という期待感をあおっていく見事な構成、最後にストレンジなピアノなどの音でフェイド・アウトしてゆく……といった圧倒的な出来栄え。
12LADY MADONNA
13HEY JUDE
14REVOLUTION
1968年8月「ヘイ・ジュード」とのカップリングで発表。冒頭から歪んだギターで迫るロック・ナンバーで、当時の社会風潮を少しクールに揶揄した歌詞、ジョン・レノンの「All right!」という叫びなどが印象的。
[Disc 2]
01BACK IN THE USSR
02WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS
03OB-LA-DI, OB-LA-DA
通称“ホワイト・アルバム”こと『ザ・ビートルズ』に収録。カリブ海を思い出させる、カリプソ風でテンポ・アップして喧騒的になったリズムに、ブラス・セクションをまじえた楽天的なメロディによるナンバー。
04GET BACK
05DON'T LET ME DOWN
1969年4月「ゲット・バック」のカップリングで発表。ジョン・レノンのリードによる曲で、女性へのストレートかつピュアな愛情を感じさせるロック・ナンバー。叫ぶように愛を歌うジョンの真骨頂を感じさせる名曲。
06THE BALLAD OF JOHN AND YOKO
07OLD BROWN SHOE
08HERE COMES THE SUN
清らかなアコースティック・ギターで始まるジョージ・ハリスン作の名曲。途中のリフレインでは当時珍しかったシンセサイザーの音色が聴ける。ジョージがエリック・クラプトンの家で曲を思いついたというエピソードは有名。
09COME TOGETHER
10SOMETHING
11OCTOPUS'S GARDEN
12LET IT BE
13ACROSS THE UNIVERSE
1970年のアルバム『レット・イット・ビー』などに収録。ジョン・レノン主導によるナンバーで、“何も僕の世界を変えることはできない”とまっすぐに歌う。インド風味を感じさせるアレンジなど広がりの空間も感じさせる。
14THE LONG AND WINDING ROAD