
5年前のベスト盤『日本の恋と、ユーミンと。』を作家的視点から補完する性格を持つ、念入りに選ばれた3枚組45曲。手書きの言葉を添え、詩集のような味わいを醸したブックレットが素晴らしい。音だけでは完結しない、ユーミン流“展覧会の詩”だ。アルバム曲との新たな出会いをしみじみ楽しめる佳品。★

2012年秋のリリース以降ロングセラーを続ける究極の3枚組ベストが100万枚出荷を達成。本作はそれを記念したもので、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』の日本語吹替版主題歌「気づかず過ぎた初恋」を追加収録。期間限定リリースなので、お見逃し、お買い逃がしのないように。

2年7ヵ月ぶりのアルバムは機微と機智を抱えたポップ曲がそろい、半数近くの曲は映画やTV番組やCFと関連している。東京とLAで録音されていて、LA録音ではリー・スクラーら大御所スタジオ奏者がずらり参加。贅沢なゆとりレコーディング方策が曲を香り立たせる。

2013年夏のジブリのアニメ映画は『風立ちぬ』。そのテーマ曲になった「ひこうき雲」のほか、タイトル曲「ANNIVERSARY」など、ユーミンの名曲ばかり全13曲収録のオルゴール作品集。楽曲選定がキモだが、ここでは大手CDショップのバイヤーやスタッフが選曲を担当したという。ジャケの猫写真もかわいい。

ユーミンは日本情緒を大切にする点、描く世界の凝ったディテールなどから詞にスポットの当たる機会が多い。そのためか詞が異国語になると途端、メロディの存在感が浮き上がってくる。日本的と思っていた曲に、こんなに異国語もハマることにも驚いた。ジャニス・イアンの「いちご白書をもう一度」が白眉。

懐かしい思い出を鮮やかに蘇らせる松任谷由実のヒット曲をオルゴール・サウンドで再現。素朴なトーンとα波の揺らぎが安らぎの時間を生み出す。人工的なのに温かなその音色は、抑揚を抑えたユーミンの歌声にも似て、夢想空間を最大限に押し広げながら不思議に聴き手の胸中を満たしていく。

ユーミンのデビュー40周年記念ベスト。荒井由実から松任谷由実まで新旧ミックスされた選曲の中から立ち上がる圧倒的なユーミン・パワー。いまさらながら曲が凄いです。目玉はラストの「翳りゆく部屋」に続いて収録された「青い影」ウィズ・プロコル・ハルム。ユーミンの声の迫力が凄い。

2012年7月でデビュー40周年を迎える松任谷由実の41枚目のシングル。シュープリームスへのオマージュともとれる今作、使い古されたモータウンのリズムではあるが、絶妙な濃度でトレースされたポップ・ソングに仕上がった。カップリング「夜明けの雲」はこれぞユーミンというべき珠玉のバラード。

衝撃の『ひこうき雲』(73年)から数えて多様と充実の36作目。前年度に発表されたシングル「ダンスのように抱き寄せたい」「バトンリレー」をはじめ、映画やCMなどに提供した作品が多いこともあり、各楽曲が独自の魅力をアピールする一方、アルバム全体も洒落た統一感がある。

約3年ぶり、40枚目のシングル。「ダンスのように抱き寄せたい」は映画『RAILWAYS』主題歌で、「バトンリレー」は第一生命グループ・ソングとなっているが、それぞれの企業とタイアップしたオーディオ・コンテンツの「CDCM」も収録されているのが新趣向だ。「ダンス〜」「バトンリレー」ともにユーミンらしいメロディアスなミディアム曲で、思わず胸がキュンとなる。

ユーミンの名曲を主にロック系アーティストがカヴァーしたヴァージョンをコンパイルしたアルバム。そりゃ、どうせ聴くならオリジナルが一番なんだけど、みんなユーミンを愛してるんだなあ……と感じられるのがウレシイ。「ひこうき雲」で聴けるソリッドな解釈もよかった。★

デビュー36年で35枚目のアルバム。ビートルズの「イン・マイ・ライフ」をユーミン流に発展させたような内容で、郷愁と未来が絶妙に手を取り合って踊る。“時間”とか“人生”、“旅行〜移動”などがキーワードと言え、同世代への優しい励ましのようにも思える。

ステージ『シャングリラ』のテーマ・ソングを収録したシングル。初回盤は、プロモ・ビデオやライヴのダイジェスト映像DVD付き。「人魚姫の夢」は曲のつくり方、サウンドの組み立て方や歌唱すべてがユーミンの世界だが、新鮮な感覚に満ちているのはさすが。

寺岡呼人が主宰するライヴ・イベント“Golden Circle”の10回記念に出演したユーミン、ゆず、さらに飛び入りの桜井和寿も作詞で参加した作品。透明感あふれるエヴァーグリーン的ポップ・チューンで、それぞれのソロと全員のコーラスが楽しめる。

彼女の膨大なライブラリーから“日本の四季”をテーマに選曲するシリーズの第1弾。淡いトーンの曲が続き最後にパッと散る桜のような「春よ、来い」で終わるディスク1。波の音から始まり、叙情的な旋律が琴線を鳴らし続けるディスク2。感極まる2枚組。

1年半ぶり、通算34枚目のアルバム。最近のユーミンは肩の力が抜けてイイ感じ。タイトル通り、(広い意味での)“夏の少女”というテーマはあるが、難しいこと抜きで、ここは彼女独自の清涼感に身を任せたい。CMでお馴染みの(7)(9)(11)を聴くと今さらながら、ほとばしる才気に驚く。

松任谷由実のシングル。JR東日本&au by KDDI“モバイルSuicaキャンペーン”のCMソングでもある(1)は、いつものユーミン節を全面に押し出した超癒し系ポップ・ナンバーで、カップリングの(2)は生ピアノをベースにした心和む曲である。

結婚する娘と送り出す父の姿を描いたTBS系『夢で逢いましょう』の主題歌である(1)は、娘の成長を写真で振り返るタイトルバックにぴったりの青春ソング。サビにバックで流れる鐘の音が結婚シーズンを盛り上げる。スケール感のある(2)はNHK『探検ロマン世界遺産』のテーマ曲。

ユーミンのアルバムは、サントラ仕立てのプロローグに続き、田島貴男とのデュエット曲で幕を開ける。最適の音を求めLA〜ミネアポリス〜東京での分業録音もスムーズ。定番サウンドのようでフォロワーの一段上を登り続ける意志の強さとプライドはさすが。

ソングライターとして多彩な顔を示す初期の10曲を選び、新たにレコーディングした初のセルフ・カヴァー・アルバム。たぶん初めて歌う「〈いちご白書〉をもう一度」のキリッとした歌い口とドラマティックなアレンジなど、実作者ならではの解釈が随所に窺えて興味深い仕上がり。

松任谷(荒井)由美のデビュー30周年を記念したトリビュート盤。楽曲の良さは保証付きだから、参加ミュージシャンがそこに寄りかかって間が抜けやしないか心配したが、それは杞憂。井上陽水とともに歌い手としてのオリジナリティを見せつけたaikoが恐るべし。

ユーミンというアーティストの真骨頂を見たような気がする。それほど素晴らしいトータル・アルバムだ。リゾートを離れても、日常に戻っても、決して色あせることなく心の奥でそっと鳴り続ける、そんな穏やかな力を持っている。メロディも本当に瑞々しい。★

目黒のサンマじゃないが、ユーミンは荒井に限るという世代には嬉しいベストでしょう。憧れのライフ・スタイルと洗練されたサウンドとが一体となり具現化したのがユーミンであった時代をここに見るのは、70年代に青春を送った世代の内の10万人程度かも。

荒井由実だったころのユーミンのベスト・セレクション。ユーミンの第1期黄金時代ともいえるフレッシュな感性と独持のユーミン・サウンドが美しくマッチした名曲ぞろいで、上品でさわやかなメロディはいつ聴いても新鮮な印象を受ける。懐かしき時代の息吹を伝える名コンピレーション。

シティ・ポップスの第一人者としての地位をユーミンが確立したアルバム。歌を聞いて情景が浮かんでくる「中央フリーウェイ」は、しっかりとロケハンまでしてつくった曲。見事に70年代の青春している(!?)アルバム。

今の松任谷由実が荒井由実と呼ばれていた頃のアルバム、と言ったら十代の子にはわかるかな?もっと年を重ねた人にはもちろんわかるよね。“ユーミン、あなたは私の青春そのもの”と目尻下げる君に。今聞いても不思議と新しい。

74年10月に発表されたユーミンのセカンド・アルバム。「海を見ていた午後」や「12月の雨」といった初期のユーミンの代表曲が聞ける。バック・コーラスに山下達郎や大貫妙子、吉田美奈子らが参加している豪華盤です。

一度聴くだけで印象に残るリズムと、恋愛の移ろいゆくさまを季節や風景とともに切り取っていく詞は健在。その変わらない姿勢に喜びを感じる。一方、Kardelのラップを入れた(1)やアラブ風音楽の(4)なども新鮮で、そこにも彼女の色が存在しているのはさすが。

アートワークは信藤さんか、って驚いてる場合じゃないユーミンの99年リリース。この頃ユーミン聴かず嫌いだった俺がバカっちょ出船? (2)にラス・カンケルやリー・スクラーが参加しているせいか、原点に戻った素直なポップス化が進んでいる。

ユーミンの78〜89年にリリースされたアルバム17枚が、リマスタリングされ、豪華なBOX入りで蘇った。CDを取り出す時、箱のフタを開けると雛壇のように飛び出てくる、という手の込んだ作り。紙ジャケ仕様で、LPのジャケットがそのまま再現されている。

年末の恒例行事、年末のオバケ=ユーミンの新作が発表されない98年末に、リマスタリングで発売される初ベスト。新曲&「卒業写真」を新録音で収録した31曲入り2枚組。詞の中の、時代を象徴するアイテムも今や定番。改めてカリスマの風格を再確認。

ユーミンが'78年に発表したアルバム『紅雀』から最新作の『ノーサイド』まで、オリジナル・アルバムでCD化されていなかった12点の総てが、やっとCD化されて出た。'80年12月に発表された『サーフ&スノウ』以前と、ミニ・アルバム『水の中のASIAへ』をはさんで、'81年11月発表の『昨晩お会いしましょう』以降とでは、ユーミンが想定している聴き手が大きく変わっているようだ。荒井由実時代と松任谷由実時代との間にある違いは、歌われている情景のリアリティーの有無だったが、ここではニューミュージックの女王から歌謡曲の女王への歩みが始まったといえるのではなかろうか。より広い幅の聴き手を対象としはじめたのが'81年にシングル「守ってあげたい」のヒットから、ユーミンのアルバム・セールスが飛躍的に伸びているのだから……。 半年に1作のペースでアルバムを発表してきたユーミンも、最新作『ノーサイド』以降はその間隔が長くなりそう。というのも、各作品ともにしっかりと水準を保っていること自体が、実は驚異的なことなのだ。ポップ・スター、ユーミンの歴史のすごさを思い知らされる一方で、これからに期待させる作品群を持っているのがユーミンなのだ。アルバムで味わうユーミンの楽しさの他に、コンサートの楽しさもある人なのである。

ユーミンの最新アルバムです。荒井由実時代のユーミンを思わせる情景が浮かぶ曲があったりと、高いレベルを保ってアルバム造りをしているのはさすが。ファースト・アルバム『ひこうき雲』へ大きく廻って戻っていったような“女心”が歌われているようです。

歌の中の情景がメロディとサウンドによってリアリティを得ていたユーミンも、時代の気分に追いつかれ、情景の描き方が変って久しい。それでも、リアリティは回復しないままです。といっても、ユーミンのこれまでの作品の中での話でしかないが。

微妙なバランスで異邦人を装いつつ、東京レディのしたたかさを垣間見せたりするユーミンなのです。越路吹雪ラインで安定するかと見えた一時期を過ぎ、映像的なリアリティ以降に逆流パワーで作ったのが“関係のスタイル”で見せる虚実の世界です。

雑誌感覚の新作。今回のテーマは“純愛”。というわけで、タイトルは「舌を入れない接吻」。エイズ時代を象徴するようなテーマとタイトルだ。編集者としての手際は相変わらず鮮やかだけれど、妙にアナクロなレイアウト(編曲)も意図的なものなのかな。

サーフィンをテーマにした、ユーミンのニュー・アルバム。サウンド的には特に新しいことをやっているわけではなく、彼女の王道とも言えそうな音世界が展開されており、風格にあふれている。懐かしい「時をかける少女」の新ヴァージョン(8)も収録。

96年8月13,14,15日に中野サンプラザで行なわれた荒井由実コンサートのライヴ盤。コンサート自体、松任谷由実ではなく荒井由実時代の楽曲を、当時のミュージシャンとともに再現するというもので、それがこうして記録に残されただけで貴重ものだ。

全10曲中3曲がTV絡みか…とまあ、それはさておき、一時期のメディア舞い上がりブームも沈静化の方向とは御同慶の至り。これで再び、音楽のことだけ考えていればいい生活に戻れそう。というわけで、どことなく肩の力が抜けて気が楽になった姿が見える。

発売3日間で86万枚を売り上げたそうだ。そうやって、何万枚売れるかとか、彼女が何をテーマにしたとか、内容よりもその種の話題に振りまわされ気味だが、丁寧に新しい試みも随所に盛り込んである。「アニヴァーサリー」のような決定打には欠けるけど。

おっ、ユーミンが凄味を利かせたヴォーカルを露にしているじゃないか。肥大化した自分の影を、チープな姿で登場することで弄んでやろうとしているみたいに見える。状況をしっかりと見据えているその眼には、90年代末“歌謡曲”の姿が見えているのかも。

目黒のサンマじゃないが、ユーミンは荒井に限るという世代には嬉しいベストでしょう。憧れのライフ・スタイルと洗練されたサウンドとが一体となり具現化したのがユーミンであった時代をここに見るのは、70年代に青春を送った世代の内の10万人程度かも。

これまでのようにポップで弾けた明るさを、この作品に望むと驚かされるかも。前作辺りから見られる、起伏のゆったりとしたビートにノセて、ユーミンの感情的かつメロディアスな歌の数々が綴り織られてゆく。ラテンや中近東風のリズムへの挑戦も楽しい一面。

タイトルのイメージに反して、内容は詞・曲共にわりとセンチメンタルな楽曲が多い。唯一、はじけて青春してるのは(5)か。また気になるのは(3)と(6)。歌詞とメロディがサビを中心にほぼ同じ。“Good−by”と“Hello”の対比からして、対の曲と解釈しようか。

年末恒例、ユーミンの新譜です。今回のテーマは“傷つく勇気を応援します”ということだそうだが、さすがにうまく作り込まれたサウンドと詞が詰め込まれている。またまたバカ売れしそうだ。といっても今回はちょっと煮詰まり気味かな?

ユーミンの曲を、ハイ・ファイ・セット、原田知世、藤谷美樹らが、カヴァーした作品集。どのように選曲をおこなったのか分からないけど、欲をいえばもう少し、それぞれの個性がでれば良かった、と思う。(2)(5)なんかは、楽しく聴けた。

『ひこうき雲』から『14番目の月』まで、4枚のアルファ時代のアルバムからセレクトした楽曲を2枚に編集。さらにカラオケ・ディスクが付いているのがミソの3枚組。懐かしさに溢れた“シンプル・イズ・ベスト”のサウンドは日本のポップスの定番。

ロイヤル・フィルがユーミンをカヴァー。いいんだけど、するなら音くらい外さないで欲しい。聴いてみればユーミンの映画ナンバーというのはこんなに充実してるのだ。ユーミンとも映画ともちょっとイメージが違うイージーリスニング風の世界が出来あがってる。

一歩身を引いて、自身の心と、失われていく風景をしっかりと描いたようなユーミンの暗目の詞が印象深い。リード・トラックの(2)に象徴されるように、これまで以上にサンプリング・キーボードのアレンジが効いている。明暗両方の曲調を作れるさすがの才能。

雑誌感覚の新作。今回のテーマは“純愛”。というわけで、タイトルは「舌を入れない接吻」。エイズ時代を象徴するようなテーマとタイトルだ。編集者としての手際は相変わらず鮮やかだけれど、妙にアナクロなレイアウト(編曲)も意図的なものなのかな。

微妙なバランスで異邦人を装いつつ、東京レディのしたたかさを垣間見せたりするユーミンなのです。越路吹雪ラインで安定するかと見えた一時期を過ぎ、映像的なリアリティ以降に逆流パワーで作ったのが“関係のスタイル”で見せる虚実の世界です。

歌の中の情景がメロディとサウンドによってリアリティを得ていたユーミンも、時代の気分に追いつかれ、情景の描き方が変って久しい。それでも、リアリティは回復しないままです。といっても、ユーミンのこれまでの作品の中での話でしかないが。

ユーミンの最新アルバムです。荒井由実時代のユーミンを思わせる情景が浮かぶ曲があったりと、高いレベルを保ってアルバム造りをしているのはさすが。ファースト・アルバム『ひこうき雲』へ大きく廻って戻っていったような“女心”が歌われているようです。

ユーミンが'78年に発表したアルバム『紅雀』から最新作の『ノーサイド』まで、オリジナル・アルバムでCD化されていなかった12点の総てが、やっとCD化されて出た。'80年12月に発表された『サーフ&スノウ』以前と、ミニ・アルバム『水の中のASIAへ』をはさんで、'81年11月発表の『昨晩お会いしましょう』以降とでは、ユーミンが想定している聴き手が大きく変わっているようだ。荒井由実時代と松任谷由実時代との間にある違いは、歌われている情景のリアリティーの有無だったが、ここではニューミュージックの女王から歌謡曲の女王への歩みが始まったといえるのではなかろうか。より広い幅の聴き手を対象としはじめたのが'81年にシングル「守ってあげたい」のヒットから、ユーミンのアルバム・セールスが飛躍的に伸びているのだから……。 半年に1作のペースでアルバムを発表してきたユーミンも、最新作『ノーサイド』以降はその間隔が長くなりそう。というのも、各作品ともにしっかりと水準を保っていること自体が、実は驚異的なことなのだ。ポップ・スター、ユーミンの歴史のすごさを思い知らされる一方で、これからに期待させる作品群を持っているのがユーミンなのだ。アルバムで味わうユーミンの楽しさの他に、コンサートの楽しさもある人なのである。

ユーミン・ブランドの冬を感じさせる曲を集めたベスト・アルバム。荒井由実時代のユーミンとハイ・ファイ・セットだけに酒落た雰囲気をつくってくれる。30歳代のユーミン・ファンなら、ラストの「あの日にかえりたい」を聞いてジーンとするのでは……。

ユーミンが作詞か作曲している曲をユーミン本人、ハイ・ファイ・セット、ブレット&バターの歌で楽しめる。それも夏のイメージに合った曲を集めたベスト。ユーミンの「海を見ていた午後」は、もう秋の雰囲気で夏の日の想い出といった名曲。

なんたってあの幻のデビュー・シングルが含まれておる。最初のころのちょっと背のびぎみのポップさと若さ故の誠実さが切ないくらい。スマートになりそうでなりきれない女の子の気持ちを微妙なはかなさを持って歌いきった最初の人だったというだけで感動もの。

エキスプレス時代というか荒井由実だったころのユーミンのベスト・セレクションを3枚のCDにまとめたもの。パート1はかつてからあったオリジナルの『ユーミン・ブランド』とまったく同一の内容でパート2,3はそれ以外のアルバムからのものとなる。ユーミンの第1期黄金時代ともいえるフレッシュな感性と独持のユーミン・サウンドが美しくマッチした名曲ぞろいで、上品でさわやかなメロディは今聞いても大変に新鮮な印象を受ける。懐かしき青春時代とともにいつまでもとっておきたいCD。CD化によってヴォーカルのリアリティがグッとアップしているのが魅力だ。

シティ・ポップスの第一人者としての地位をユーミンが確立したアルバム。歌を聞いて情景が浮かんでくる「中央フリーウェイ」は、しっかりとロケハンまでしてつくった曲。見事に70年代の青春している(!?)アルバム。

今の松任谷由実が荒井由実と呼ばれていた頃のアルバム、と言ったら十代の子にはわかるかな? もっと年を重ねた人にはもちろんわかるよね。“ユーミン、あなたは私の青春そのもの”と目尻下げる君に。今聴いても不思議と新しい。

74年10月に発表されたユーミンのセカンド・アルバム。「海を見ていた午後」や「12月の雨」といった初期のユーミンの代表曲が聞ける。バック・コーラスに山下達郎や大貫妙子、吉田美奈子らが参加している豪華盤です。